1:2016/03/31(木) 00:22:45.48 ID:
―――いつの頃からでしょう。



ほのかちゃんを見ると、ドキドキした気持ちになるようになったのは。





凛「かーよちん、一緒に部活行こー?」トテテ

花陽「あ、凛ちゃん。うん、一緒に行こう♪」
2:2016/03/31(木) 00:23:21.57 ID:
私には、いつも親しくしている友人の……。

――ううん。


"大親友"である、凛ちゃんがいます。


凛ちゃんはいつも私のことを引っ張ってくれる大事な存在です。

私にとって、必要不可欠な人間。


凛ちゃんがいなければ、私はスクールアイドルになることすらも叶わなかったんじゃないかと思います。

そんな、特別な存在――。



でも、だからと言って……。



凛ちゃんとは、それ以上の関係になるはずはありませんでした。



そしてそれは、当たり前のこと。


それが、普通の関係――。
3:2016/03/31(木) 00:23:55.05 ID:
トコトコ…



凛「今日も勉強疲れたよ……」

花陽「ふふ……凛ちゃん、授業中寝てたよ?」

凛「そ、それはたまたまだにゃー!今日は午前中の体育が激しくて……!」

花陽「もう、凛ちゃんいつもそればっかり……」クスクス

凛「でもでも、授業中しっかり寝れたから、今日も部活頑張れそうだよ!」

花陽「ダメだよ、ちゃんと授業も聞かなくちゃ」メッ



穂乃果「あ、花陽ちゃんと凛ちゃん!」




花陽「……っ」ドキッ
4:2016/03/31(木) 00:24:25.48 ID:
凛「あ、ほのかちゃーん!」ブンブン



凛「ほのかちゃんも今から部室にいくところー?」

穂乃果「うん、そうだよーっ!」

穂乃果「……と、言いたいところなんだけどね」

凛「何かあったの?」

穂乃果「ちょっと生徒会の仕事が忙しくてね……先にそっちを片付けてから向かうよ―」タハハ

花陽「た、大変だね……」

穂乃果「いやー、ホント参っちゃうよねー」

凛「……実はほのかちゃんがサボっていたからだったりして」


穂乃果「どき」

凛「どき?」

穂乃果「い、いやだなー!!り、りりり凛ちゃん、そんなことある訳なななないよー」アセアセ

凛「完全に図星だにゃぁ……」

花陽「穂乃果ちゃんらしいね……♪」クスクス
5:2016/03/31(木) 00:24:52.75 ID:
穂乃果「と、とにかく、鬼……じゃなかった、海未ちゃんが待ってるから、ほのか、行くね!?」ブンブン

凛「生きて帰ってきてねー」フリフリ

花陽「り、凛ちゃん……っ!」

花陽「頑張ってねーっ……!」フリフリ


凛「ほのかちゃんは本当、変わらないにゃ」

花陽「……そうだね」




花陽「……でも」





花陽「そうじゃないところもいっぱいあるよ――」フワ
6:2016/03/31(木) 00:25:24.24 ID:
凛「……かよちん?」

花陽「……え?」


花陽「な、何、凛ちゃん?」

凛「いや……なんか今……」


凛「かよちん……大人っぽい、顔したなぁって」


花陽「うぇ!?大人!?」ビク

凛「……うん」

花陽「……そ、そんなこと……凛ちゃんの気のせいだよぉ……!」ドキドキ

凛「うーん……」

凛「まぁでも、一瞬だったから分からないや」

花陽「そ、そうだよ!」

花陽「ほ、ほら凛ちゃん!早く部室に行こっ!?」ドン

凛「わぁぁ、かよちん押さないでよー」タタタ…
7:2016/03/31(木) 00:25:54.92 ID:
私はいつの間にか、穂乃果ちゃんのことを目で追うようになり。


穂乃果ちゃんのことを、必要以上に気にかけていました。



それは、大親友の凛ちゃんにだって持ち得なかった感情――


穂乃果ちゃんのことを想うと、身体が熱くなり……。

穂乃果ちゃんのことを考えると、胸の動悸が激しくなる……。



それが恋だと気がつくまでには、あまりにも長い時間が必要でした。
8:2016/03/31(木) 00:26:29.73 ID:
ガチャ




凛「まっきちゃーん!!」バタン

真姫「うるさいっ!ドアを思いっきり開けないで!」

凛「あ、やっぱり真姫ちゃんいた!」

真姫「はぁ?何よそれ」

凛「ふふふー……!」ジリジリ

真姫「な、何なのよ……!」クルクル

凛「誰よりも早く部室に来るなんて、真姫ちゃん張り切ってるにゃー!」

真姫「そ、そんなこと……!」

花陽「真姫ちゃん、いつのまにか教室にいなくなってたから吃驚したよ」

真姫「……そ、その……早く来てやりたいことがあったから……」クルクル

花陽「やりたいこと?」

真姫「えっと……つ、次の新曲のことなんだけど」クルクル

花陽「えっ!新曲!?」

凛「おー!もう新曲のこと考えてるなんて、真姫ちゃん気が早いにゃ!」

真姫「……しょ、しょうがないじゃない!アイディアが湧いてくるんだから……!」

花陽「凄いね……ラブライブも終わったばかりなのに」

凛「二年生になってから、真姫ちゃんは更に凄くなった気がするよ」

真姫「そんなこと……ないと思うけど///」
9:2016/03/31(木) 00:26:56.87 ID:
凛「ね?ね?新曲はどんなの!?」ズイ

真姫「ま、まだできてないわよ……!」

凛「なんだぁ……」

花陽「ふふ……そんなにすぐ曲はできないよ凛ちゃん」

真姫「あ……で、でもね……」

花陽「?」

真姫「えっと……」

真姫「イメージみたいのは……もう固まってるの」

花陽「本当?……どういう感じなのかって、教えてもらえるのかなぁ?」

真姫「……」クルクル



真姫「曲のイメージは、”新しい私”って感じかしら……」
10:2016/03/31(木) 00:27:42.81 ID:
凛「……新しい私?」

真姫「ええ」

凛「うーん、それだけじゃなんだかよく分からないよ……」


真姫「……私たちはもう、スクールアイドル”μ's”じゃなくなったのよ」

真姫「だからこれからは、”μ's”じゃないスクールアイドルとして活動していかなければいけない……」

真姫「そんな私たちの始まり」

真姫「別のスクールアイドルとして生まれ変わる、”新しい私たち”の曲」

真姫「……それが、次の曲のイメージ」


花陽「……」


花陽「……そっか」

花陽「真姫ちゃん……そこまで考えてくれてたんだね」

真姫「べ、別に……///」クルクル

凛「新しいスタートを切る曲ってことだよね……」

真姫「……そういうことになるわね」

凛「……うん!どういう感じかはまだ分からないけど、なんだかわくわくするよ!」

花陽「……そうだね♪」

花陽「にこちゃん達三年生がいなくなって、新しく生まれ変わった私たち……」

花陽「そんな私たちの歌声を、みんなに早く届けたいね……!」

真姫「……そうね」


真姫「歌詞については、さっき、海未と相談してきたわ」

花陽「海未ちゃんはなんて?」

真姫「成長した私というものを、精一杯表現させてもらいます、って」

凛「海未ちゃんは相変わらず真面目だね……」

真姫「ま、こういう詞は海未じゃないとって気がするわ」

花陽「そうかもしれないね」クス
11:2016/03/31(木) 00:28:18.94 ID:
真姫「……それと、今回のセンターなんだけど」

凛「え、もうセンターのことまで決めてるの?」

真姫「というよりも、今回はセンターありきで思いついたようなものだし」

花陽「そうなんだ……」

花陽「うーん……新しい始まりなんだから、やっぱりリーダーのほのかちゃんかな?」

真姫「それは”μ's”での話でしょ?」

真姫「……今は別に、穂乃果がリーダーという訳ではないわ」

花陽「そっかぁ……」

真姫「今の穂乃果達、三年組も来年には卒業してしまう……」

真姫「……だったら、私たちの誰かが矢面に立つしか無いと思うの」

凛「そうだね」

花陽「あれ?それじゃあ……」

真姫「私たちには……リーダーと言うわけではないけど、この部活をまとめる新しい代表がいるでしょう?」

凛「……もしかして」チラ





花陽「……?」



花陽「っ!?」ドキッ





花陽「わたし!!?」
12:2016/03/31(木) 00:28:59.50 ID:
真姫「そうよ」コク

花陽「うえぇぇぇぇぇ!!?」

凛「かよちんがセンター!いいと思うよ!」

花陽「凛ちゃん!!?」

凛「頑張ってね!凛、応援してるよ!」

花陽「わ、私がセンターなんて……!む、むむ無理だよぉ!!」

真姫「何言ってるのよ。あなたは新しいアイドル研究部の部長でしょ?」

真姫「これからの私たちを引っ張っていく、うってつけの人物じゃない」

花陽「ま、真姫ちゃん……」


凛「……」

凛「かよちん、大丈夫だよ」ギュ


花陽「凛ちゃん……?」

凛「凛にだって、できたんだよ?」


凛「……二人が背中を押してくれたおかげで」


花陽「ぁ……」
13:2016/03/31(木) 00:29:52.30 ID:
真姫「……」

凛「かよちんに出来ないわけがないよ!」


花陽「……うぅ」


花陽「……でも……」



凛「……凛たちも、あれから成長したんだよ?」

凛「一年生じゃなくて、二年生に」

花陽「二年生……?」

凛「うん!」

凛「凛たちも上級生なんだよ!」

凛「ほのかちゃんたちと同じ!」

花陽「っ……」
14:2016/03/31(木) 00:30:24.21 ID:
真姫「……確かに、私たちも二年生か……」

真姫「……穂乃果たちが通ってきた道を、私たちも辿らないといけないよ」

花陽「……」

真姫「別にプレッシャーを与える訳じゃないけど」

真姫「花陽」

真姫「……私は、あなたなら”新しい私たち”を導いてくれると信じてる」

花陽「……真姫ちゃん」

凛「……凛たちもついてるし!」

花陽「凛ちゃん……」
15:2016/03/31(木) 00:30:55.83 ID:
そう、また二人に背中を押されたけれど――


――私は、地に根付いた足を、動かせないでいました。




私が踏み出す先の道には。



穂乃果ちゃんの顔が。



μ'sのリーダーとして。



私たちの進むべき道として。





眩しいくらいに輝く、穂乃果ちゃんの笑顔がありました。
16:2016/03/31(木) 00:31:27.52 ID:
1、2、3、4…

5、6、7、8…


花陽「……」ジー


穂乃果「ほっほっほっ……!」


花陽「……」ジー


穂乃果「……よし、上手く行ったっ!」


海未「穂乃果、タイミングが早いですよ」

穂乃果「ええー!?完璧だと思ったのにぃ……」

海未「最近色々忙しくなってきてるせいなのか、全体的に焦り気味です」

海未「もっと落ち着いてリズムを取るのです」

穂乃果「焦らせてるのは海未ちゃんじゃん……」ジト

海未「なにか言いましたか……?」

穂乃果「いーえ!鬼……じゃなかった、教官の言う通りであります!」

海未「そうですか。それじゃあ穂乃果はワンセット追加しましょうか」ニコニコ

穂乃果「海未ちゃんの鬼ーーっ!!」


ことり「あはは……」


花陽「……」ジー


ことり「……?」
17:2016/03/31(木) 00:32:19.56 ID:
穂乃果「はっはっはっ……」


穂乃果「ふぅー……も、もう疲れたぁ……」


花陽「……」ジー



ことり「……ねぇねぇ凛ちゃん」

凛「なーにことりちゃん?」

ことり「花陽ちゃん、どうしちゃったの?」

ことり「ずっとほのかちゃんのこと見てる気がするけど……」

凛「え、あー……」

真姫「……」

凛「多分、かよちん……」




穂乃果「……ふーっ!疲れたぁ!!」


穂乃果「……お水お水」


穂乃果「……」ゴクゴク



花陽「……」ジー
18:2016/03/31(木) 00:32:56.66 ID:
---------------------------------
----------------



キーンコーンカーンコーン



トコトコ…





花陽(……私が、センター)

花陽(……私が、穂乃果ちゃんの代わり……)


花陽(ううん……代わり、という訳じゃないよね)

花陽(”新しい私たち”、なんだもの……)



花陽(私が、穂乃果ちゃんになる……?)




花陽「うう……よくわからなくなってきたよぉ」トコトコ



穂乃果「……あれ?」


穂乃果「花陽ちゃん!」ブンブン

花陽「ひゃい!?」ドキッ
19:2016/03/31(木) 00:33:46.84 ID:
花陽「……あ、ほ、ほのかちゃん……?」ドキドキ


穂乃果「今から部室に行くとこかな?」

花陽「あ、う、うん……ほ、穂乃果ちゃんも?」

穂乃果「あー、ごめんねぇ、また先に生徒会の方に顔出さないといけないんだ」タハハ

花陽「そうなんだ……大変だね」

穂乃果「うーん、やっぱり三年になったら忙しくなるもんなんだねぇ」

花陽「……そ、そういうものなのかな?」

穂乃果「花陽ちゃんも三年になったら分かるよ……」ウンウン

花陽「……」


穂乃果「……?」
20:2016/03/31(木) 00:34:17.42 ID:
穂乃果「……花陽ちゃん、何かあった?」

花陽「え!?」

穂乃果「なんかぼーっと歩いてるように見えたけど……」

花陽「そ、そう……かな……?」

穂乃果「今もどことなく上の空みたいな感じだし……」



穂乃果「……もしかして」


穂乃果「センターのことで悩んでる……?」


花陽「っ!?」ドキ




花陽「……あ、あの///」



花陽「……その///」





花陽「……うん///」
21:2016/03/31(木) 00:35:05.68 ID:
穂乃果「……やっぱりかぁ」アハハ


穂乃果「そうだよねぇ……」

穂乃果「そう簡単に、はい、次はあなたがセンター!って突然言われて、受け入れることはなかなかできないよね……」

花陽「そう……だね」


花陽「……」ジー


穂乃果「……?」

穂乃果「えっと……ほのかの顔に、何かついてる?」


花陽「ふぇ!?」パッ


花陽「あ、えと、そのぉ……なんでもないよ!」


穂乃果「そ、そう……?」


花陽「あはは……」



花陽(いけない……気がついたら、穂乃果ちゃんのことじっと見つめてた……)
22:2016/03/31(木) 00:35:40.25 ID:
穂乃果「……んー」




どうすれば、穂乃果ちゃん見たくなれるのか。



どうすれば、穂乃果ちゃんになれるのか。




穂乃果「そうだっ!」




考えれば考える程、泥沼で……。



いくら考えても、答えには辿り着けそうもありませんでした。



その代わり、穂乃果ちゃんのことを必要以上に考えていたせいか。


少しずつ、穂乃果ちゃんに近づいていく気がしました。




穂乃果「花陽ちゃん、部活終わったあと時間空いてる?」
23:2016/03/31(木) 00:36:18.01 ID:
花陽「え、ほ、放課後ってこと……?」

穂乃果「うんっ!」

花陽「あ、空いてる……と思うけど……」

穂乃果「よし!じゃあ穂乃果に付き合ってよ!」

花陽「つ、付き合う……?遊ぶってことかな?」

穂乃果「うん、そう!いいでしょ!?」

花陽「あ、えっと……」


花陽「う、うん……わかったよ」

穂乃果「やった♪」

花陽「……」

穂乃果「あ、早く行かないとまた鬼……じゃなかった、海未ちゃんが怒っちゃうね」タハハ

花陽「ふふ……早く行ったほうがいいよ?」

穂乃果「うん!それじゃ花陽ちゃん、また後でね!」フリフリ

花陽「行ってらっしゃい♪」フリフリ



花陽「……」



花陽「そういえば……」



花陽「穂乃果ちゃんと二人で遊ぶって、今までなかったかも……」



花陽「……」



花陽「……///」




花陽「なんか、緊張してきました……///」
24:2016/03/31(木) 00:37:12.33 ID:
--------------------------
--------------


穂乃果「さぁーて!どこいこっか花陽ちゃん!」トコトコ

花陽「あ……え、えと……///」トコトコ


花陽「お、お任せします……///」

穂乃果「どうしたの?そんなにかしこまって?」

花陽「べ、別に、どうもしないんだけど……///」

穂乃果「んー、変な花陽ちゃん」

花陽「……///」

穂乃果「……じゃあまずは、クレープ食べて……次に、どーしようかなー……!?」

花陽「ふふ……」クスクス



トコトコ…



花陽(……ん?)



カキカキ…



花陽(あれは……)


花陽(似顔絵描き……さん?)
25:2016/03/31(木) 00:38:42.54 ID:
カキカキ…



花陽(珍しいなぁ……)


花陽(……)


穂乃果「花陽ちゃん?」ズイ

花陽「ぴゃあ!?」ドキッ


穂乃果「どーしたの?」

花陽「あ、い、いや、その……」

花陽「あれ……」

穂乃果「あれ?」

花陽「似顔絵描きさんなんて、珍しいなって思って……」

穂乃果「お、本当だー。この辺じゃあまり見ないよねー」

花陽「うん……」
26:2016/03/31(木) 00:39:16.95 ID:
カキカキ…



穂乃果「……すごい、上手だねー」

花陽「そうだね……」

穂乃果「花陽ちゃんも書いてもらう?」

花陽「うえぇ!?い、いいよぉ……!」

穂乃果「え、そう?」

花陽「う、うん……そんな、自分の顔なんて書いてもらっても仕方ないし……」

穂乃果「えー、そうかなー?可愛いと思うけど……」

花陽「か、可愛いって……///」

花陽「も、もうからかわないでよほのかちゃん……!///」

穂乃果「からかってるつもりはないんだけど……」

花陽「ほら!クレープ食べに行こ?///」トコトコ

穂乃果「う、うん」トコトコ



カキカキ…



穂乃果「……」
27:2016/03/31(木) 00:40:09.40 ID:
--------------------------------------
---------------------



穂乃果「はむっ!」パク

花陽「はむ……」パク

穂乃果「んー、美味しいねぇー!」モグモグ

花陽「わぁ、本当だねぇ♪」モグモグ

穂乃果「米粉のクレープなんて、最初はどんなのだろうって心配になっちゃったけど……」

花陽「全然普通だよ?むしろ、米粉の方がもちもちしてて美味しいと思うんだ♪」

穂乃果「うんうん!このもちもちは癖になるねぇ……!」

花陽「でも本当に、ここの米粉はいい米を使っています!」

花陽「この弾力は、恐らく山形県産か、もしくは対極に位置する熊本県産……はたまた」

穂乃果「……」クス

穂乃果「さすが花陽ちゃん!」

花陽「ふぇ……?」

穂乃果「お米のことになると、花陽ちゃんは本当に生き生きしてる!」

花陽「あ……え、えと……」

花陽「と、突然興奮しちゃって……ごめんなさい……」

穂乃果「んーん、花陽ちゃんらしいし、それが花陽ちゃんの魅力だよ♪」

花陽「っ……///」ドキ

穂乃果「そういう一つのことにひたむきな花陽ちゃんが、私は好きだなぁ!」

花陽「す、好きって……!///」


穂乃果「……」



穂乃果「もっと自分に素直でも……いいんだよ?」フワ

花陽「え……」
28:2016/03/31(木) 00:41:05.29 ID:
穂乃果「……ね!カラオケ行こう!カラオケ!」

花陽「え、え、か、カラオケ……?」

穂乃果「ちょっと前までは練習漬けで、息抜きの余裕もなかったしね!」

穂乃果「久しぶりに、自由に伸び伸び歌おうよ!」

花陽「あ……う、うん」

穂乃果「よーし!そうと決まったら、すぐに行くよーっ!」タタタ…

花陽「わぁぁー!ほのかちゃん早いよぉ……!」タタタ…
29:2016/03/31(木) 00:41:49.43 ID:
穂乃果ちゃんは、いつでもみんなを元気にしてくれる太陽みたいな存在だけど……。





時々顔をだす、大人びた表情……。





誰よりも頼れる先輩として、語りかけてくれる穂乃果ちゃん。






一体、どっちの穂乃果ちゃんが本物なんだろう……?
30:2016/03/31(木) 00:42:52.04 ID:
花陽『~♪』






穂乃果「……♪」



コト…



花陽「……ふぅ、久しぶりに歌えて気持よかったぁ♪」


穂乃果「さすが花陽ちゃんー!」パチパチ

穂乃果「やっぱり花陽ちゃんの歌声はいいよねぇ……!」

花陽「そ、そんなことないよぉ……///」

穂乃果「そんなことあるよ!だってあの真姫ちゃんが認めるぐらいだよ!」

花陽「ま、真姫ちゃん、割と花陽に怒ってばかりだと思うけど……」

穂乃果「花陽ちゃんは怒られても努力して伸びるから、真姫ちゃんは安心して怒ってくれるんだよ」

花陽「そう……なのかな……」

穂乃果「ほのかに対する海未ちゃんみたいなものだね!」

穂乃果「……まぁ、海未ちゃんに関しては本当に鬼……」

穂乃果「う、ううん、なんでもない」

花陽「……ふふ」
31:2016/03/31(木) 00:43:41.05 ID:
花陽「……ほのかちゃんと海未ちゃんの信頼関係って、いいなぁ」

穂乃果「え、そう……?」

穂乃果「あ、あまりオススメはできないと思うけど……」

花陽「……そんな感じで怒ったり怒られたりの関係って、素敵だと思う」

花陽「二人共、お互いのことがよく分かってるから、遠慮がないし」

穂乃果「海未ちゃんはほのかに対して遠慮がなさすぎるよ……」

花陽「でも、嫌じゃないでしょ……?」

穂乃果「うん……そうなんだけどね」

花陽「だったらそれは、良い関係だよ」

花陽「かけがえのない絆だと思う……」
32:2016/03/31(木) 00:44:07.18 ID:
穂乃果「……んー」

穂乃果「でもそれは、花陽ちゃん達三人もそうだと思うよ?」

花陽「真姫ちゃんと、凛ちゃん……?」

穂乃果「うん」

穂乃果「……三人の関係は、ほのかたち三人みたいにずっと付き合ってるみたいな関係じゃないから少し違うかもしれないけど」

穂乃果「それでも、一緒に”μ's”をやってきた絆は変わらないと思う」

花陽「……」

花陽「……そう、だよね」

穂乃果「海未ちゃんがほのかを怒るように、真姫ちゃんが花陽ちゃんを怒る」

穂乃果「ことりちゃんが海未ちゃんをなだめてくれるように、凛ちゃんが真姫ちゃんをなだめてくれる」

穂乃果「形は一つじゃないけど、根っこの部分はおんなじ」

穂乃果「誰かが支えて、誰かが引っ張る」

穂乃果「これはほのかたちも花陽ちゃんたちも、何も変わらないよ」


花陽「……」


花陽「……ううん」



花陽「違うよ……」



花陽「ぜんぜん違う……」




花陽「花陽だけが……ちがうの」
33:2016/03/31(木) 00:44:41.92 ID:
穂乃果「花陽ちゃんが……?」


花陽「……うん」

花陽「真姫ちゃんも、凛ちゃんも……花陽のことを精一杯支えてくれてる」

花陽「入部の時から、二人には背中を押されっぱなしだしね……」

花陽「だから、それは分かってるし、感謝もしてるんだ」


花陽「……でも」


花陽「花陽は……」


花陽「二人に支えられながらも……今、一人で立つことができないでいるの」
35:2016/03/31(木) 00:45:19.31 ID:
穂乃果「……」


花陽「”新しいスクールアイドル”」

花陽「”新しい曲”」

花陽「……そんな、”新しい私たち”を引っ張っていける力が……花陽には足りないの……」グス


穂乃果「!」


花陽「花陽は……ほのかちゃんに……」ポロ



花陽「ほのかちゃんみたいに……なれないんだよぉ……」ポロポロ


穂乃果「……」




花陽「うう……」ポロポロ






ギュ…





穂乃果「……そっか」ナデナデ


花陽「……ひっく」ポロポロ
36:2016/03/31(木) 00:46:30.43 ID:
穂乃果「……」



穂乃果「……花陽ちゃん、ほのかになろうとしてたんだ」




花陽「……うん」グス


花陽「……」


花陽「……みんなを引っ張っていける……ほのかちゃんみたいになろうと」


花陽「練習中の……ほのかちゃんをずっと見てたり……」


花陽「必死に……頑張ってたんだけどぉ……」ポロポロ



花陽「何が何だが……よく分からなくなってきちゃって……」グス
37:2016/03/31(木) 00:47:22.18 ID:
穂乃果「……」





穂乃果「……花陽ちゃん」

花陽「……?」




穂乃果「てい」ビシ

花陽「あいたっ!」



花陽「……ほ、ほのかちゃん……?」ウルウル


穂乃果「花陽ちゃん、ほのかのいいところって何?」

花陽「へ!?……い、いいところ……?」
39:2016/03/31(木) 00:48:00.40 ID:
穂乃果「そう」

穂乃果「試しに、穂乃果のいいところを幾つかあげてって見て?」

花陽「……え、えっと……その……」

穂乃果「……ほらほら」

花陽「うう……は、恥ずかしくて言えないよぉ……!///」


穂乃果「それじゃあ、ほのかが代わりに言うよー?」

花陽「代わり!?」


穂乃果「ほのかは、明るくて元気いっぱい」

穂乃果「ほのかは、夢に向かって一直線」

穂乃果「ほのかは、いつでもみんなを引っ張っていける」



穂乃果「……そんな感じ?」

花陽「あうう……///」

穂乃果「って、自分で自分のこと言うのも恥ずかしいよね///」エヘヘ
40:2016/03/31(木) 00:48:49.62 ID:
穂乃果「……今度はほのかが、花陽ちゃんのいいところを言ってくね?」

花陽「わ、私……?///」

穂乃果「それとも自分で言う?」

花陽「うう……お願いします……?///」

穂乃果「うん!」


穂乃果「花陽ちゃんは、ほのかと違っていつだって真面目に頑張ってる」

穂乃果「花陽ちゃんは、ほのかと違って周りをしっかり見て歩いてる」

穂乃果「花陽ちゃんは、ほのかと違って他人を支えることができる」


花陽「……///」


穂乃果「そんな感じかな!」

穂乃果「あ、あとほのかより可愛い!」


花陽「そ、そんなこと……!ほのかちゃんの方が可愛いよぉ……!///」

穂乃果「ほのかは大雑把でいい加減だからね……」

穂乃果「花陽ちゃんの丁寧で、女の子らしいとこ……ほのかは好きだよ!」

花陽「うう……///」
41:2016/03/31(木) 00:49:44.43 ID:
穂乃果「……花陽ちゃん」

穂乃果「ほのかと花陽ちゃんは……こんなに違うんだよ」

花陽「……」

穂乃果「ほのかは、今言った花陽ちゃんの良いところ、全部欲しいし、真似したい!」

穂乃果「……でも、無理なんだ」

穂乃果「もちろん、努力でなんとかなることもあるけど……」

穂乃果「それ以上に、花陽ちゃんでなければいけない部分のほうが多いんだよ」

花陽「ぁ……」

穂乃果「花陽ちゃんのいいところは、花陽ちゃんだから」

穂乃果「ほのかのいいところも、ほのかだから!」

穂乃果「誰も……花陽ちゃんにほのかを求めてないんだよ?」
42:2016/03/31(木) 00:50:11.89 ID:
花陽「……」


花陽「……でも……」



花陽「……それでも……!」



花陽「……私が……花陽が……」


花陽「みんなを引っ張っていかなくちゃいけないと思ったら……」

花陽「私じゃ……真姫ちゃんや凛ちゃんの前に立って歩き始めるなんてこと……」

花陽「できない……から」

花陽「ほのかちゃんみたいに……」

花陽「ほのかちゃんみたいにならなくちゃ……!」


穂乃果「できなくていいんだよ」

花陽「え……?」
43:2016/03/31(木) 00:50:52.62 ID:
穂乃果「だって花陽ちゃんはそういうの苦手だもん」


穂乃果「……でもそれは悪いことじゃないし」

穂乃果「みんな知ってることだよ」


花陽「だから……!」





穂乃果「だったら、みんなで一緒に歩いていけばいいんだよ」


花陽「……みんな、で……?」


穂乃果「そう、みんなで」
44:2016/03/31(木) 00:51:45.11 ID:
穂乃果「真姫ちゃんと凛ちゃん……勿論、卒業するまでの間は私たちも!」

穂乃果「みんなで足並みを揃えて歩いて、ゴールが近くなったら走ってもいい……」

穂乃果「そんなペースだって、いいと思うよ」


花陽「……そう……なのかな……」


穂乃果「花陽ちゃんはこれから、みんなを引っ張っていく立場になるかもしれないけど……」

穂乃果「でも安心して?」

穂乃果「傍に、必ず二人の暖かい手があるから……」


穂乃果「ほのかがそうだったように……」
45:2016/03/31(木) 00:52:52.30 ID:
花陽「……」


穂乃果「それでもほのかは……」

穂乃果「そんな手に気が付かず突っ走ってばかりだったから、失敗も多かったけど」アハハ


花陽「……」



花陽「……」クス


花陽「ほのかちゃん……らしいね」



穂乃果「……うん!」



花陽「……」


花陽「……ほのかちゃん」



花陽「……ありがとう」

花陽「ほのかちゃんの言葉、凄い嬉しいよ……」


穂乃果「良かった……」
46:2016/03/31(木) 00:54:34.38 ID:
穂乃果「花陽ちゃん……センター、頑張れそう?」

花陽「……うん……頑張ってみる」


穂乃果「そっか……」



穂乃果「いやぁ……最初は花陽ちゃんが凄い目で睨んでくるからなにごとかと思ったけど……」

花陽「に、睨んでは、ないと思うけど……」

穂乃果「凄かったよー!ほのか、何かいけないことしちゃったのかとあせっちゃったもん……」

穂乃果「それに……海未ちゃんじゃなく、花陽ちゃんから睨まれるなんて……」

穂乃果「きっと取り返しのつかない間違いなんじゃないかと……!」アワワ

花陽「そ、そんなに花陽が怒ると怖いかな……」

穂乃果「怖いなんてもんじゃないよー!」

花陽「ふふ……」


花陽「……」
47:2016/03/31(木) 00:55:13.01 ID:
花陽「……うん」

花陽「しばらくずっと、ほのかちゃんを見てた」


花陽「ほのかちゃんのこと、少しでも多く考えれば……ほのかちゃんに近づけるかなって」

穂乃果「うう……な、なんか恥ずかしい……ね///」

花陽「……」クス

花陽「ほのかちゃんって細かい動作が多くて、小動物みたいでとっても可愛いんだなって思ったよ」

穂乃果「そ、それって褒めてるの……?///」

花陽「ほ、褒めてるよぉ……!」

花陽「……えっとね、ほのかちゃんは食べてる時の表情がころころ変わるのも可愛いし、食べ過ぎて海未ちゃんに怒られてしょんぼりしてる顔も可愛かった♪」

穂乃果「ほ、本当に色々見てるんだねぇ……」

花陽「他にも……ほのかちゃんはダンスしている時の表情が誰よりもカッコよくて可愛いし、水を飲んでいる時の口元なんかは凄い色気があるし……それとそれと……」

穂乃果「だ、だめえぇぇぇぇぇ!!」

花陽「ふぇ?」キョトン
48:2016/03/31(木) 00:55:46.35 ID:
穂乃果「な、なんかそれ以上の情報は危ない気がするからダメーっ!」ドキドキ

花陽「……あ、う、うん……そうだね、ごめん」


穂乃果「……///」

花陽「……///」


穂乃果「そ、それだけみてれば、余計ほのかになろうなんて思わなかったんじゃない……?///」


花陽「……///」



花陽「……」




花陽「……ううん」



花陽「それでも花陽は……」


花陽「ほのかちゃんになりたかったよ……」



穂乃果「……そ、そうなんだ……///」
49:2016/03/31(木) 00:56:18.88 ID:
花陽「……うんとね」

花陽「ほのかちゃんの言ってくれたこともわかるし……」

花陽「真姫ちゃんや凛ちゃんがそばに居て支えてくれることも信じてる」


花陽「三人で一緒に歩いていければ、どこまでだって行ける気がするよ」

花陽「μ'sで走リ抜けた、あの輝かしい道を……もう一度走ることだって……」


穂乃果「……」


花陽「でもそれにはやっぱり……」


花陽「”新しい私”には……」


花陽「……ほのかちゃんのような……太陽が必要なのかな……って……」
50:2016/03/31(木) 00:57:17.22 ID:
穂乃果「……///」



穂乃果「え、えっと……」



穂乃果「ほのかのこと、べた褒めだね……///」


穂乃果「恥ずかしいというか、なんというか……///」


花陽「……だって、ほのかちゃんは本当にすごいもん」

花陽「今、この瞬間だって、花陽には眩しいよ」


穂乃果「そ、そうなんだ……///」



穂乃果「……///」
51:2016/03/31(木) 00:57:54.60 ID:
花陽「……えっと」


花陽「ごめんね、ほのかちゃん」

花陽「わがまま、だよね?こんなの……」

花陽「大丈夫だよ……?」

花陽「ほのかちゃんの言う通り、二人を信じて頑張ってみる」

花陽「きっとそれでも、うまくいくとは思うんだ」

花陽「だから、心配しないで……?」



穂乃果「花陽ちゃんっ!」

花陽「ぴゃい!?」ドキッ
52:2016/03/31(木) 00:59:11.65 ID:
穂乃果「……」


花陽「……ほ、ほのかちゃん……?」



穂乃果「ごめんね」

穂乃果「ほのか……花陽ちゃんの気持ち、考えてなかった」


花陽「……」


穂乃果「……先輩として」

穂乃果「これから頑張らなければいけない後輩に、ただ危険のない安全な道を選ばせてた」

穂乃果「心配だったから……上手くいってほしいから……」


花陽「ほのかちゃん……」


穂乃果「でも、そうじゃないよね」


穂乃果「……少なくとも、ほのかはそうじゃなかった」


穂乃果「ほのかは……自分自身で、満足の行く形の橋を、自分の手で作って渡ってた」


穂乃果「……一番いいと思う選択を、自分自身で選んでた」
53:2016/03/31(木) 00:59:47.85 ID:
穂乃果「もし……それでも花陽ちゃんがほのかになりたいっていうなら……」


穂乃果「全力でほのかを伝授するよっ!」ドーン

花陽「でんじゅ……!?」


穂乃果「きっと見てるだけじゃ分からない事のほうが多いと思うし……」

穂乃果「ほのかがほのかを、ありのままに花陽ちゃんに伝えるよっ!」バーン

花陽「あ、ありのまま……///」

穂乃果「さぁ!」ズイ

花陽「へうっ!?」ドキッ

穂乃果「花陽ちゃん!ほのかの何が知りたい!?」

花陽「……え、えっと……そ、そのぉ……」ドキドキ

花陽(ち、近いよぉ……///)
54:2016/03/31(木) 01:00:30.16 ID:
穂乃果「花陽ちゃん……?」

花陽「あ、えと、その、ね……?」

花陽「じゃ、じゃあ……とりあえず、カラオケだし……」

花陽(一度離れてぇぇ……///)

花陽「ほ、ほのかちゃんの歌が聞きたいかな……?///」

穂乃果「よしきた!」パッ


花陽「……///」


穂乃果「えっと……じゃあこれかなー♪」



ピピピ



~♪



穂乃果『あーあー』


穂乃果『よし、花陽ちゃん!じゃあほのかの姿、よく見ててね!』


花陽「う、うん……」
55:2016/03/31(木) 01:01:19.58 ID:
穂乃果『~♪』



花陽(あ、あはは……)


花陽(ほのかちゃんになりたいって……そういうことじゃないんだけど……)


花陽(でも……)


花陽(それも含めて、ほのかちゃんらしいのかな……)


花陽(……)


花陽(……そっか)


花陽(こういう、強引なところというか……)


花陽(思い込んだら一直線なところが……ほのかちゃんなんだよね……)
56:2016/03/31(木) 01:01:51.79 ID:
花陽(……)


花陽(それに、相手に納得させてしまう力強さみたいなのもあるし……)



花陽(でもそんなことより……ほのかちゃん、無防備すぎる気が……///)


花陽(あれも……一つの武器なのかも……?///)



花陽(……///)




穂乃果『~♪♪』
57:2016/03/31(木) 01:02:19.81 ID:
花陽(それにしても……)



花陽(歌を歌ってるほのかちゃんは……全くの別人……みたい)



花陽(カッコよくて……たまに、とびきり可愛くなる……)


花陽(多分……三年生になってから、それまでと段違いになってる気がする)



花陽(……なんだろう)


花陽(……普通に、見惚れちゃう……///)




穂乃果『~♪』チラ



花陽「っ!」ドキ
58:2016/03/31(木) 01:02:49.61 ID:
花陽(……な、なんだろう……)



花陽(……ほのかちゃんが、いつも以上に艶やかに見える……///)



花陽(……あれ?)



花陽(もしかして……これ……)





穂乃果ちゃんを追い続けた視線は、いつしか恋へと―――


私の中の穂乃果ちゃんは、親しい仲間でも友人でもなく―――


一人の女の子として、大きく変わっていったのでした―――
59:2016/03/31(木) 01:03:24.96 ID:
花陽(……そ、そんなの、変だよぉ……!!)


花陽(お、女の子に恋するなんて……な、何かの勘違い……!!)


花陽(……そ、そうだよね)


花陽(ほのかちゃんは、花陽のあこがれ……)


花陽(花陽がなりたいと思う存在そのもの……)


花陽(私にとっての……アイドルみたいな存在だから……!)



花陽(こういう気持ちになるんだよね……)
60:2016/03/31(木) 01:04:15.89 ID:
花陽(……うん)



花陽(ほのかちゃんは……私のにとってのアイドル……!)



花陽(だから……そんなほのかちゃんを見て、たくさん勉強して……)

花陽(私もほのかちゃんみたいに……)


花陽(真姫ちゃんや凛ちゃんを引っ張っていけるように頑張るの!)



花陽(……だから)スク



穂乃果『おっ?花陽ちゃん?』

花陽「ほのかちゃん!花陽も一緒に歌うよ!」

花陽「デュエットしよっ!」


穂乃果『……いいねぇー!』ニコ


穂乃果『新しいユニットの誕生だよっ!』
61:2016/03/31(木) 01:04:55.03 ID:
―――ほのかちゃんという、私にとってのアイドルを目指す。


そんな明確な目標を持った私は、二年生と三年生の期間。



周囲を驚かせる程の変化を遂げて、”新しい私たち”を導いていきました。




でもそれは、また別のお話。


絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃんたちが抜けたあとに六人で頑張った……


新しいスクールアイドルの、新しいエピソード―――
62:2016/03/31(木) 01:05:27.60 ID:
--------------------------------------------------




――――結局。


高校在学中に、穂乃果ちゃんへの恋心が”恋”そのものへと昇華することはありませんでした。



あくまでも、憧れの存在として。


私の目標である存在として。


想いを、誤魔化し続けてきました。
63:2016/03/31(木) 01:06:05.94 ID:
―――そして、二年後の春。

私が大学生へと進学する年のこと―――



花陽「……はぁ……はぁ……」タタタ…


穂乃果「……あ、きたきた」





ほのかちゃんという目標を追い続ける過程で、私たちは必然的に一緒にいる時間が長くなり……。



それまでとは比べ物にならないぐらいの勢いで、お互いの距離が縮まっていきました。



それは傍から見れば、恋人のようであったと……後に聞かされました。
64:2016/03/31(木) 01:06:44.36 ID:
花陽「穂乃果ちゃ~~~~ん!!」タタタ

穂乃果「花陽ちゃーん!こっちこっちーー!!」ブンブン

花陽「はぁ……はぁ……!えへへ……お待たせ♪」

穂乃果「ううん、ぜーんぜん♪」



私はこの年。


晴れて、穂乃果ちゃんと同じ大学へと通うことになりました。




穂乃果「花陽ちゃん、入学おめでとう♪」ニコ

花陽「あ、ありがとう……///」
65:2016/03/31(木) 01:07:30.98 ID:
穂乃果「……あはは、なんかこうやって大学内で顔を合わせるのは新鮮だけど……」

花陽「……ふふ、最近はいつも一緒だったから、そんな気がしないよね」

穂乃果「そうだねっ」

花陽「あはは♪」


穂乃果「それじゃー、先輩らしくキャンパス内を案内しようかなっ!」

花陽「おおー!キャンパス内って、穂乃果ちゃん大学生みたい!」

穂乃果「みたいって……」

穂乃果「あ、あたり前だよー!これでももう大学二年生なんだからぁ!」プンプン

花陽「ふふ、冗談だよ♪」

穂乃果「もぉー!」



トコトコ…
66:2016/03/31(木) 01:08:24.38 ID:
花陽「それにしても、穂乃果ちゃんが美大を選ぶとは思わなかったなぁ……」

穂乃果「あ、バカにしてるでしょー!」

花陽「うーん、ちょっとだけ」ペロ

穂乃果「うう……花陽ちゃん……最近意地悪……」ウルウル

花陽「ご、ごめんね穂乃果ちゃん……」

穂乃果「むぅ……」


穂乃果「……」



穂乃果「……穂乃果は」

穂乃果「三年生の途中から、何がやりたいかよくわかんなくなっちゃってたからね……」

穂乃果「アイドル活動を花陽ちゃんたちに任せて……穂乃果たちが引退したあと……」

穂乃果「次に、穂乃果がやりたいことは?って、思っちゃったんだ」

花陽「……」
67:2016/03/31(木) 01:08:56.37 ID:
穂乃果「穂乃果、それまでスクールアイドルのことで頭いっぱいだったから……」

穂乃果「それが終わっちゃったら、なんにもなくなっちゃった……」


穂乃果「どーしよーって、色々な新しいことをして、考えて、色々な人に相談して……」

穂乃果「花陽ちゃんにも、相談したよね」

花陽「うん……あの時穂乃果ちゃん、すごい困ってた顔してたよ」

穂乃果「あはは……結構本気で悩んでたからね」


穂乃果「でも、そんな時……美術の時間で描いた絵を先生が凄い評価してくれてね」

穂乃果「それまで、美術の時間に目一杯時間かけて書いたことなかったんだけど……」

穂乃果「ちょうど、何がしたいかに迷ってた時だったから……」

穂乃果「思いきり時間をかけて、自分の想いをこれでもかっていうくらい表現してみたんだよね」

穂乃果「そしたら……いつの間にか、新しい道が開けてた」
68:2016/03/31(木) 01:09:32.77 ID:
花陽「……」

花陽「……私、穂乃果ちゃんが美術得意だったなんて、全然知らなかったなぁ」

穂乃果「みんなそれ言うよね……」

穂乃果「どーせ、穂乃果はグラウンド走ってたほうがお似合いだって言いたいんでしょー?」

花陽「そ、そこまでは言わないけど……」

花陽「でも、急に凄いよね。今まで絵の道に進もうなんて、考えたことなかったんでしょ?」

穂乃果「そりゃあね……というよりも、考えるより前に廃校問題になっちゃってたから、自然とスクールアイドルやってたって感じだし」

花陽「そ、そうだね……」

穂乃果「そんな新しい可能性があるんだったら……」

穂乃果「穂乃果の絵で、誰かを楽しませる……誰かを笑顔にできるなら……頑張ってみたいな、って思ったの」フワ

花陽「……///」
69:2016/03/31(木) 01:10:17.91 ID:
穂乃果「……?花陽ちゃん、どうしたの?」


花陽「……い、いや……穂乃果ちゃん、大人びた表情になったなぁと思って///」

穂乃果「ふぇ!?///」ドキ


穂乃果「な、なに急にー?///」

花陽「だって、穂乃果ちゃん……」

花陽「前だったら、『穂乃果の絵で誰かを楽しませるよ!やるったらやるっ!』って感じだったのに……」

花陽「急にそんな憂いを帯びた笑顔見せられたら……はぅぅ……///」ドキドキ


穂乃果「花陽ちゃん……穂乃果を褒めたいの?それとも虐めたいの……?」


花陽「褒めてるよぉ……!」
70:2016/03/31(木) 01:10:47.10 ID:
穂乃果「……」


花陽「……?」


穂乃果「それにしても、花陽ちゃんも……変わったね」

花陽「え……そ、そう?」

穂乃果「うん!」


穂乃果「……なんだか、前より生き生きしてる!」

花陽「そ、それじゃあ昔が死んでたみたいだよぉ……」

穂乃果「あ、ほら、それ!そういうの!」

花陽「ふぇ……?」

穂乃果「前だったら、そういう皮肉めいた切り返しみたいなの?なかったと思うし」

花陽「ひ、皮肉……」

穂乃果「最近じゃ、穂乃果は口で虐められてばかりだし……」シュン

花陽「そ、そんなこと……!」

花陽「あるようなないような……」

穂乃果「ううー……」
71:2016/03/31(木) 01:11:32.70 ID:
穂乃果「だからね……あんまりがむしゃらに走り過ぎて……」

穂乃果「他人に影響をあたえすぎるのも良くないなぁって、最近は冷静に考えることができたんだよ、穂乃果も」アハハ…

花陽「あ、あはは……」


穂乃果「……」


穂乃果「……それにしても」


穂乃果「花陽ちゃんも同じ大学にするとは思わなかったな」


花陽「えっ……」ドキ
72:2016/03/31(木) 01:12:06.48 ID:
穂乃果「生き生きしてるってことは、やっぱりやりたいことがあるからだと思うし……」


花陽「えっと……」ドキドキ



穂乃果「ここで、この大学で、自分の道を見つけたってことだよね?」


花陽「うんと……」



穂乃果「花陽ちゃんはお米のイメージが強いから、そういう専門のところ行くかと思ってたけど」

穂乃果「だから、最初うちの大学に来たいって言われた時は吃驚したよー」


花陽「……うん///」



穂乃果「花陽ちゃんも絵に興味あったの?」
73:2016/03/31(木) 01:12:49.99 ID:
―――だって、私の憧れは。


私の目指す道は……。



穂乃果ちゃんだから……。




花陽「わ、私は絵はあまり……分からないんだ」


穂乃果「そうなの?」


穂乃果「じゃあなんで……?」
74:2016/03/31(木) 01:13:19.26 ID:
私がここに来た理由は一つ。



先に行くあなたに追いつき、一緒の歩幅で歩いて行きたいから。



私は……花陽は、走ってきたんだよ―――?






花陽「私は……」



花陽「私がここを選んだ理由はね……」







花陽「穂乃果ちゃんのことが大好きだからですっ!」






穂乃果「へ……」
75:2016/03/31(木) 01:14:32.96 ID:
花陽「私のことをいつも優しく、暖かい目で見守ってくれる穂乃果ちゃんのことが大好きですっ!」



花陽「穂乃果ちゃんは、いつでも輝いてるけど……」



花陽「いつか私も輝きたいと思って、傍にいたいと思って走ってきました!」




花陽「穂乃果ちゃんの傍にいること……それが、花陽のやりたいことですっ!」






穂乃果「……」



穂乃果「……///」
76:2016/03/31(木) 01:15:02.97 ID:
花陽「……へ、変かなぁ……?」


穂乃果「うぇ!?……あ、べ、別に……」


穂乃果「変では……ない、のかな……?///」



花陽「……///」


穂乃果「……///」



花陽「ずっと……私の中で、穂乃果ちゃんは……憧れだったから」

花陽「いつまでも、私にとってのアイドルだったから……」


花陽「そんな私のアイドルを、傍で支えることができたら……幸せだろうなって、思ったの」




花陽「……ダメ、かな……?///」
77:2016/03/31(木) 01:15:35.24 ID:
穂乃果「あ、えと……」





穂乃果「……ダメじゃない、よ///」



花陽「っ///」




穂乃果「あ、でもでも!」


穂乃果「そっか……告白……だもんね///」




穂乃果「あう……///」




花陽「……穂乃果……ちゃん……?」
78:2016/03/31(木) 01:16:10.56 ID:
穂乃果「あ、あの……ね……」


穂乃果「穂乃果……正直に言うと……たぶん、よくわかんない……と思う」


花陽「……うん」



穂乃果「お、女の子を好きになる……とか……」

穂乃果「あ、あまり……考えたことなかったから……」



穂乃果「でも……そっか……」



穂乃果「花陽ちゃんは……穂乃果のこと……」



穂乃果「……」



穂乃果「……ほのかのこと、いつから好きだったの……?///」
79:2016/03/31(木) 01:16:48.97 ID:
花陽「……いつ?」







―――いつの頃からでしょう。



ほのかちゃんを見ると、ドキドキした気持ちになるようになったのは。





それは多分―――





花陽「穂乃果ちゃんが、スクールアイドルになった日から……」


花陽「……ずっと、好きだったと思うよ♪」
80:2016/03/31(木) 01:17:21.76 ID:
穂乃果「……///」



穂乃果「……そっか///」



穂乃果「……穂乃果のこと、最初から支えててくれたのは、花陽ちゃんだったよね……」





穂乃果「……」





ギュ…




花陽「……///」



穂乃果「……///」





―――最初から。



穂乃果ちゃんは、私にとってのアイドルであり。



私だけのアイドルでした―――





花陽「……大好きだよ♪」
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
81:2016/03/31(木) 01:18:04.19 ID:
----------------------------------
---------------------
-----------




エピローグ――。





穂乃果「……」

花陽「……」


穂乃果「……」カキカキ

花陽「……」


穂乃果「……」

花陽「~~」


穂乃果「……」カキカキ

花陽「……ほ、穂乃果ちゃん……」ググ


穂乃果「ダメ、動いちゃ」

花陽「あうう……」ピタ



穂乃果「……」カキカキ

花陽「……」


穂乃果「……」

花陽「穂乃果ちゃん……」


穂乃果「もう少しで終わるから、じっとしてて」

花陽「はい……」
82:2016/03/31(木) 01:18:36.78 ID:
花陽(……)


花陽(……///)


花陽(絵を描いてる時の穂乃果ちゃんは……全くの別人みたい)


花陽(スクールアイドルの時とはまた違う、鋭い表情……)


花陽(あの表情に射抜かれただけで……私は……///)



花陽(だから……怒られるとわかっても、ちょっぴり動いちゃったり……)


穂乃果「花陽ちゃん」ギロ

花陽「ひゃい!///」



穂乃果「……言うこと聞いて?」

花陽「……うん///」



花陽(……ああ///)


花陽(普段見せないこのSの部分が、たまりません……///)
83:2016/03/31(木) 01:19:05.78 ID:
穂乃果「できた!」

花陽「本当…‥?」

花陽「ふぅ……ううーん!」ノビー

穂乃果「花陽ちゃん、お疲れ様♪」

花陽「身体が固まっちゃったよぉ……」

穂乃果「長時間ありがとね、穂乃果につきあってもらって」

花陽「ううん、全然いいよ♪」

花陽(あの表情が見れるんだったら……何度でも……///)

穂乃果「?」



花陽「でも、急に花陽の似顔絵が書きたいなんて、どうしたの?」

穂乃果「あー、うん……」


穂乃果「……えっとね」


穂乃果「そう言えば、そんなことあったなーと思って……」

花陽「そんなこと?」

穂乃果「前に二人で遊びに行った時、似顔絵描きの人を見たの覚えてる?」

花陽「ええ……?」

花陽「うーん……覚えてるような……?」

穂乃果「あはは、あんまり記憶になくてもしょうがないよ。別に書いてもらったわけじゃないし……」

花陽「……?その人と出会ったことが書くきっかけになったの?」

穂乃果「……うーん、どうなんだろ」

穂乃果「……んー」

穂乃果「でも、最終的にはそうだったと思う!」

花陽「??」
84:2016/03/31(木) 01:19:40.35 ID:
穂乃果「……あの時、花陽ちゃんが似顔絵書いてもらいたそうな顔をしてるなって思ったの」

花陽「え、そ、そんなこと思ったかなぁ?」

穂乃果「穂乃果にはそう見えたんだ」

花陽「う、うん」

穂乃果「その時の花陽ちゃんの表情が忘れられなくて……」

花陽「……///」

穂乃果「花陽ちゃんには言ってなかったけど、進路に迷ってた時に美術の時間で描いた絵」

穂乃果「……あれ、花陽ちゃんの似顔絵だったんだ」

花陽「うぇ!?わたし!?」

穂乃果「……うん」

穂乃果「どうしても描いてみたくて、思いっきり花陽ちゃんを描いてみた」

花陽「……そうだったんだ///」

穂乃果「そしたら、まさかの大絶賛だったんだよ」アハハ




穂乃果「……あの時、似顔絵描きの人に出会ってなくて」

穂乃果「あの花陽ちゃんの表情を見れてなかったら……」


穂乃果「今の自分はなかったって思うんだ」


花陽「……」



穂乃果「本当に、そんな些細な変化で……人生って変わっちゃうんだよ」

花陽「……」


花陽「そう……かもしれないね」
85:2016/03/31(木) 01:20:11.26 ID:
穂乃果「だからね」

穂乃果「私の想いが変わらないうちに……」


穂乃果「ハイ!」



花陽「あ、これが私の似顔絵……?」

穂乃果「うん♪」

穂乃果「うまく描けてるかな……?」

花陽「わぁ……素敵♪」

穂乃果「良かった……♪」


穂乃果「……」


穂乃果「でも、あの時の絵を再現しようと頑張ってみたけど……できなかったなぁ」

花陽「え、どうして……?」


穂乃果「だって……」


穂乃果「今の花陽ちゃん、あの頃よりずっと魅力的になってるんだもん///」



花陽「え……///」







穂乃果「花陽ちゃん、大好きだよ♪」







終わり。
87:2016/03/31(木) 01:26:59.12 ID:

ほのぱなも素晴らしいな
89:2016/03/31(木) 01:51:55.92 ID:
ほのぱなとは珍しい
90:2016/03/31(木) 04:21:01.23 ID:
おつ
かよちんの描写に号泣
91:2016/03/31(木) 05:38:56.55 ID:
ほのぱな素晴らしい
かよちんの心理描写が丁寧で引き込まれました