1:2015/08/28(金) 22:41:24.16 ID:
海未「………………」チュルル

海未「……ぶほっ!」



海未(不思議です)

海未(凛や希と食事に行くたびに、不思議に思うんです……)

海未(なぜラーメンをすすれるのでしょうか?)

海未(私がすすろうとすると、途中で勢いが足りないのか、むせてしまいます……)

海未(しかも必ずヤケドするんですよね…………)

海未(私と凛たち、何が違うんでしょうか…………不思議です)
5:2015/08/28(金) 22:44:28.06 ID:
凛「…………」チュルチュル

海未「…………」

海未(凛が部室でカップめんを食べています。とても上手にすすってますね)

海未(観察してみましょうか。凛を見ていれば何かわかるかもしれません)

海未「…………」

凛「……ごちそうさまニャ!」

海未「え…………」

海未「凛はラーメンを食べるのが早いのですね」

凛「そうかな?普通だと思うよ」

海未(観察しようと思ったら、すでに食べ終えてました……)
7:2015/08/28(金) 22:46:52.24 ID:
海未「今日は付き合ってくれてありがとうございます、凛」

凛「海未ちゃんからラーメンのお誘いなんて!」

凛「えへへ、凛嬉しいニャ!毎日でも誘ってほしい!」

海未(あのあと、何度かカップめんを食べているのを見る機会がありました)

海未(しかしカップめんだと、凛はあっという間に食べてしまうんです)

海未(そこで、近場のラーメン屋に連れて行くことにしました)

海未(これでなんとか凛の、麺をすする光景を観察できそうです)
8:2015/08/28(金) 22:49:20.81 ID:
凛「いっただっきまーす!」

海未「………………」ジー

海未(さて、食べ始めましたね……まずは……)

海未(んん?結構な量を、ぐわしと掴んでいますね)

海未(あの量を凛の小さな口に入れるというんですか……)

凛「……ふー……」チュルチュル

海未(!…………なんということでしょう。麺が吸い込まれていきます!)

海未「………………」ジー

凛「…………」チラッ
9:2015/08/28(金) 22:51:49.51 ID:
凛(さっきからこっち見てる!すっごい見てる!!)

凛(しかも真剣な顔で!)

凛(な、なんなんだろ…………)

凛「あ、あの海未ちゃん?」

海未「なんでしょうか」

凛「早く食べないと伸びちゃうよ?」

海未「……そうですね」

凛(とりあえず、顔を丼の方へ向かせることに成功したニャ……)
10:2015/08/28(金) 22:54:40.91 ID:
海未「………………」チラッ

凛「…………ふーふー……」チュルチュル

海未(このふーふーして冷ます動作)

海未(これも重要なんでしょう。凛はヤケドしませんし)

海未(しかし、これなら私もしてるのですが……)

凛「…………」チュルチュルチュル

海未「………………」ジー

海未(そして怒涛の勢いのすすり!潔いです!)

海未(どうしてなんでしょうか。あんなにも上手くすすれるのは)

凛「…………」チラッ
11:2015/08/28(金) 22:56:31.54 ID:
凛(海未ちゃん!自分の丼ぶりを見てよ!)

凛(なんで凛のこと見てくるの!?)

海未「………………」ジー

凛「う、海未ちゃん……なんかずっと見てきてないかニャ?」

海未「そ、そんなことありません……」

凛「本当?」

海未「ええ」

凛(ウソにゃ……ずっと見てきてるよ!……まさか―――)

凛(凛のラーメンに何か入れた!?)
12:2015/08/28(金) 22:59:13.82 ID:
凛「…………」ササッ

海未「!」

海未(見ましたよ!今、底から麺を掬い上げてました!)

海未(なるほど、底の方の熱い麺を外に出すんですね!)

海未(そうすることで、冷ますことができる……ふむ……)

海未「…………」マジマジ
14:2015/08/28(金) 23:01:28.41 ID:
凛(何か入ってないか、確認したけど……)

凛(特にないニャ……いたって普通)

凛(そもそも海未ちゃんがそんなことするわけないよね)

凛(うーん……何で海未ちゃんは……)

凛「…………」チラ

海未「…………」ジー

凛「…………ねえ海未ちゃん」

海未「……な、なんでしょうか」

凛「何で凛のこと見てるの!」

海未「見てませんよ!見てないです!」

凛「じゃあなんで目が合うの!」

海未「ついです!うっかりです!偶然にです!」
16:2015/08/28(金) 23:05:01.51 ID:
―――――――――
――――――

海未「…………」チュル…

海未「……ぶほっ……ごほっ」



海未(あれから何度か凛をラーメンに誘い、見ていましたが―――)

海未(結局未だにすする方法がわかりません…………)

海未(調べてみたところ、すするには吸う力も重要なようです)

海未(ストローでその強さが試せる。ということなので…………)

海未(凛に、この紙パックのジュースを飲んでもらいましょう)
17:2015/08/28(金) 23:06:51.34 ID:
凛「え?このジュースくれるの?ありがと、海未ちゃん!」

海未「はい、ぜひ今、まさに今飲んでください」

凛「うーん……今はあんまりノド乾いてないニャ……」

海未「今です。今飲んでほしいです」

凛「う、うん……わかったニャ」

凛「…………」チュー

海未「…………」ジー

海未(ううん……特別変わったところはないように見えますが)

海未(もうちょっと、見てましょう……)
19:2015/08/28(金) 23:09:11.82 ID:
凛(ジュースをくれた―――)

凛(と思ったら、またラーメンの時みたいに見てきたよ!)

凛(なんなの?海未ちゃんなんなの!?)

海未「…………」ジー

凛(まるで品定めするかのような真剣さ!)

凛「…………」チラッ

海未「…………」ウンウン

凛(なんかうなずいてる!)
20:2015/08/28(金) 23:12:57.21 ID:
海未(ストローで飲むのは、私もできます)

海未(しかし、結構飲むのに時間がかかってしまいます)

海未(一方凛は飲むのが早いんですね。一気にパックがへこんでますし……)

海未「…………ふぅむ」

凛「………………」チュー…バコッ

凛「ぷは……飲み切っちゃった」

海未「……あ、パックは私が捨てておきます」
21:2015/08/28(金) 23:14:46.04 ID:
海未(どうやら、やはり凛は吸う力が強いようです)

海未(麺をすするには、きっとそれが必要なんでしょう)

海未(吸う力は、おそらく口の周りの筋肉によるもの……)

海未(そこで私は調べました。顔の筋肉なら、笑顔を意識すればよい)

海未(ということらしいです。笑顔…………よし)

海未(凛に会うたびに笑顔の練習をしましょう)

海未(我ながら名案ですね)
22:2015/08/28(金) 23:17:42.50 ID:
―――――――――
――――――

海未「凛!」

凛「あ、海未ちゃん!」

海未(ここで笑顔。咀嚼筋や口輪筋を意識して――)

海未「…………」ニコー

凛「海未ちゃん……?」

海未「今日も頑張りましょう!」

凛「う、うん……」
23:2015/08/28(金) 23:19:27.30 ID:
海未「ああ、凛じゃないですか」

凛「海未ちゃんも体育なんだっけ?」

海未「…………」ニコォ

凛「え、なに…………」

海未「はい、そうなんですよ」

海未「今までは体育館でしたが、今日は外なんです」

凛「へ、へー……」
25:2015/08/28(金) 23:21:45.12 ID:
凛(何でいちいち黙るの?そして笑うのぉ!?)

凛(なんなんだろう……?)

凛(海未ちゃん、最近、ラーメン屋によく誘ってくれるし)

凛(あまーいジュースをくれるけど……)

凛(いっつも凛の顔を見てくるニャ…………)

凛(しかも、真剣な顔で…………)
26:2015/08/28(金) 23:23:12.85 ID:
海未「…………」チュル…

海未「…………ぶほっ」




海未(笑顔をして顔の筋肉を鍛えてみましたが――)

海未(相も変わらず、すすれるようにはなりません…………)

海未(やっぱり、凛がすすっているところを見て学ぶのが一番の近道)

海未(今度はうちに来てもらって、思う存分食べてもらいましょう)

海未(替え玉し放題ですし……)

海未(よし!そうと決まればさっそく準備です!)
27:2015/08/28(金) 23:25:11.74 ID:
凛「海未ちゃんのお手製ラーメン食べ放題!?いいの!?」

海未「はい!ただお手製と言っても、市販のやつですが」

凛「行くにゃ行くにゃ!」

海未「よかったです。それなら、今日は一緒にそのままうちに行きましょう」

凛「うん!」

海未(やりました!これですすりの極意、見放題です)
28:2015/08/28(金) 23:26:41.96 ID:
凛「いっただっきまーす!」

海未「………………」ジー

海未(ラーメン屋では冷ましの極意はマスターしましたが……)

海未(肝心なすすりは、今一つです)

海未(そこで、今日こそすすりをマスターさせてもらいます!)

凛「……ふーふー……」チュルチュル

海未(うんうん。このすすりっぷりです)

海未(不思議ですね。あの勢いですすって、なぜむせないんでしょうか)

海未「………………」マジマジ
31:2015/08/28(金) 23:28:59.91 ID:
凛(海未ちゃんがラーメン作ってくれるのは嬉しいけど……)

凛(見られながら食べるのは、正直つらいニャ…………)

海未「………………」ジー

凛「…………」チュルチュル

海未「…………あぁ!」ウンウン

凛「…………あの海未ちゃん、自分の分はいいの?」

海未「私の分ですか?私はいいんです」

海未「好きなだけ食べてください」ニコ

凛「う、うん……」
32:2015/08/28(金) 23:30:32.92 ID:
海未(麺はできるだけまとめて、ひとかたまりに……)

海未(少ない量で食べようとするより、その方がすすりやすいんでしょうか)

海未(口は―――少しすぼめるんですね)

海未(ふふ、だんだんわかってきましたよ!)

凛「…………」チュルチュル

海未「………………」ジー
33:2015/08/28(金) 23:32:58.91 ID:
凛「…………」チラッ

凛(海未ちゃん、凛のことずっと見てるけど……)

凛(なんだか笑ってる…………)

凛(凛が食べるところ、そんなに面白いの……?)

凛(それとも…………他に何か笑うようなことあるの?)
35:2015/08/28(金) 23:34:40.64 ID:
凛「ごちそうさまでした」

海未「あれ?もういいんですか?」

凛「うん。おいしかったニャ!ありがと、海未ちゃん!」

海未「まだはいるでしょう?ほら替え玉行きましょう!」

凛「でも、もうお腹いっぱいだよ……」

海未「遠慮しなくてもいいですよ?」」

海未(まだすすりについて、見るべきものがあるはずです……)

海未(もっと見せてください!あなたのすすりを!)

凛「海未ちゃん……凛、もうおなかポンポンで……」

海未「もう少しだけ!」

凛「え、えぇ…………」
36:2015/08/28(金) 23:37:14.71 ID:
凛「…………」チュルチュル

凛(なんで凛…………無理やりラーメン食べさせられてるの……)

凛(しかも、海未ちゃんは…………)

海未「…………ぉぉ…………あぁ!」ウンウン

凛(………………笑みを浮かべながらずっと見てくるニャ)

凛(しかも、なんか変な声あげながら、うなずいてるよ!)

凛(……なんなの?ホントなんなの!?)
37:2015/08/28(金) 23:40:12.31 ID:
海未(わかりました!凛のアゴは、食べる麺に対してあまり動いていません)

海未(麺をすするとき、あまり噛まずに食べるのがコツなんですね!)

海未(私は噛もうとして、中途半端なすすりをしていた)

海未(これが原因ですね。もうほとんどわかりましたよ!!)

海未(それにしても、いつもうちで作ってるラーメンですが)

海未(凛が食べると本当に―――)

海未「……おいしそうです」
39:2015/08/28(金) 23:42:21.30 ID:
凛「え、海未ちゃんもやっぱり食べたいの?」

海未「あ、いえ…………」

凛「………………?」

凛(凛のほうを見ながら、軽く笑みを浮かべておいしそう……)

凛(それでラーメンじゃないとすると…………)

凛(それって―――まさか凛!?)

凛(なわけない……よね?)
41:2015/08/28(金) 23:44:33.23 ID:
凛「………………」チュルルル

海未(…………いいすすりぷりですね)

海未(見てると、やっぱり食べたくなってきます……)

海未(色々、今日で会得しましたし、今ならすすれる。そんな気がします!)

海未(よし…………)

海未「やっぱりいただくことにします」

海未(今から私は、凛と一緒に豪快に麺をすするんです)

海未(もう、むせこむのとはおさらばです!)

海未「………………ふふ」
42:2015/08/28(金) 23:46:57.61 ID:
海未(麺も茹で上がって……)

海未(できました!なんだか、いつもよりおいしそうです)

海未(すすりを習得したことおかげです。きっとそうです)

海未「では、いただきます!」

海未(いつもはスープから頂いているのですが、今日はすすりたいので――)

海未「まずはこっちから先に…………」

海未「………………」チュル

凛「………………」
43:2015/08/28(金) 23:48:55.90 ID:
凛(こっちからって、ラーメンしか目の前にないよ!?)

凛(他に何食べるの!?)

凛(うーん、よく考えてみないと…………)

凛(最近海未ちゃんはラーメンをごちそうしてくれたり、あまーいジュースをくれたり……)

凛(その時に凛をじっと見てて…………なんだか嬉しそうに……)

凛(はっ!……まさか……)

凛(ラーメンやジュースをくれたのは……?)

凛(もしかして……凛を太らすため……?)
44:2015/08/28(金) 23:50:48.21 ID:
海未「…………」チュルルル

凛(じゃあ凛をずっと見てきたのは…………あっ!どこがおいしいか考えてとか……)

凛(笑ってたのは……太って順調に凛がおいしくなっていってるから……)

凛(そして、こっちからというのは……メインディッシュが他に…………!?)

凛(ま、まさか―――……)



凛「う、海未ちゃん!り、り、凛を食べようとしてる!?」

海未「…………ぶほっ!」



おわり
51:2015/08/29(土) 01:39:32.10 ID:

良いオチだった
53:2015/08/29(土) 05:05:37.90 ID:
いいオチ
56:2015/08/29(土) 08:05:31.95 ID:
ラーメンスレ?
57:2015/08/29(土) 08:18:10.07 ID:

かわいいオチでほっこりした
62:2015/08/29(土) 08:56:45.59 ID:
かわいすぎ乙
うみちゃんはこういうよくわからん事で悩む姿が似合うなあ
64:2015/08/29(土) 09:56:42.87 ID:
乙可愛かった
俺も凛ちゃんのお腹ポンポンしたい