1:2015/08/07(金) 19:00:32.08 ID:
海未「ここは?」

気がつくと私は真っ白な空間に一人でいました

海未「自宅にいたはずなのですが」

海未「一体・・・?」

海未「・・・」

海未「不気味ですね」

海未「うう・・・」

海未「・・・あれ?こんなところに扉が」

海未「さっきまで無かったはずですが・・・」
4:2015/08/07(金) 19:03:21.46 ID:
海未「なんでしょう?この扉」

海未「何か書いていますね」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「どういう事でしょう?」

海未「あ、また扉に文字が」

『明日は晴れ』

『明日は雨』

海未「なんですか?これは」

海未「う~ん、とりあえず晴れの扉を開けてみましょう」

海未「えい」ギィィ

・・・・・・・・・
6:2015/08/07(金) 19:06:21.21 ID:
海未「ん」

海未「私の部屋・・・」

海未「変な夢でした」

海未「今日の天気は」

海未「晴れ・・・ですか」

海未「・・・」

海未(なんだったのでしょう、あの夢)

海未ママ「朝食が出来ていますよ」

海未「あ、はい」

海未(まあ気にしても仕方ないですね)
7:2015/08/07(金) 19:09:26.01 ID:
部室

海未「さあ、練習ですよ」

花陽「頑張ろうね!」

凛「頑張るにゃ!ね、真姫ちゃん!」

真姫「そうね」

にこ「にこっ♪」

ことり「行こう、絵里ちゃん希ちゃん」

絵里「そうね」

希「皆元気やね」
8:2015/08/07(金) 19:12:37.37 ID:
海未「ふう、今日はここまでにしましょう」

絵里「そうね」

花陽「お腹空いたね」

凛「凛、ラーメン食べにいきたい」

海未「食べすぎは駄目ですよ、花陽」

花陽「私だけなのぉ!?」

海未「またダイエットしたいんですか?」

花陽「うう・・・」

凛「太ってるかよちんも好きにゃ」

花陽「ふとっ・・・」ガーン
9:2015/08/07(金) 19:15:21.26 ID:
海未の部屋

海未「さて、そろそろ寝ますか」

海未「・・・」

海未「・・・」スヤスヤ

海未「・・・」

海未「あれ?」

海未「またこの夢ですか?」

私はまた、真っ白な空間にいました
10:2015/08/07(金) 19:18:29.38 ID:
海未「怖い・・・なんだと言うのですか・・・」

海未「あ、また」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「早く目を覚ましてください私・・・」

『明日は練習有り』

『明日は練習無し』

海未「練習?」

海未「そんなもの有りに決まっているではないですか」

海未「・・・なんでしょう、意味が分かりませんが」

海未「この夢も気持ちが悪いですからね、無しを選びましょう」

海未「これで練習が有りなら、こんな夢気にする必要が無くなりますからね」

海未「まあ有りに決まっていますが」

海未「という事で無しの扉を」ギィィ

・・・・・・・・・
11:2015/08/07(金) 19:21:21.37 ID:
海未「・・・もう朝ですか」

海未(それにしても二日連続で同じ夢を見るなんて)

海未(何か悪い予感がしますね)

海未(気のせいでしょうが・・・)

海未「・・・」

海未(とりあえず気にしないことです)

海未(・・・練習、私がすると言えばそこで終わりですよね)
12:2015/08/07(金) 19:24:41.69 ID:
部室

海未「それじゃあ練習しましょうか」

絵里「ごめんなさい、今日は亜里沙と約束があって」

希「ウチもバイトで急遽呼ばれて」

にこ「私も今日はママが居ないから家事があるのよね」

真姫「ママ?」

にこ「お母さん!」

凛「凛も今日は用事があるから、ごめんね」

花陽「私も・・・ごめんね」

真姫「実は私も家の用事で」

海未「ええ!?皆ですか!?」

ことり「珍しい事もあるねえ」

海未「・・・」

海未「二人で練習しましょうか、ことり」

ことり「えーとね、実は私も」

海未「ええ!?」
13:2015/08/07(金) 19:27:47.46 ID:
ことり「すごい偶然だよね」

海未「こんな事あり得るのですか?」

ことり「とにかくごめんね」

海未「はい・・・」

海未「まあ、一人でも練習は出来ますからね」

海未「電話?ちょっとすみません」prrr

ことり「うん」

海未ママ『~~~~』

海未『~~~?~~~・・・』

海未「・・・」

海未「急用で・・・私も帰ることになりました」

ことり「ぜ、全員用事がある事になっちゃったね」

にこ「ま、それなら皆で帰りましょ」

海未「はい・・・」

海未(こんな事が・・・)
14:2015/08/07(金) 19:30:21.58 ID:
自宅

海未(あり得るのでしょうか、こんな事が)

海未(まさか本当にあの夢の選択が?)

海未(・・・)

海未(寝るのが怖いです・・・)

海未「・・・」

海未「・・・」スヤスヤ

海未「・・・」

海未「また・・・ですか・・・」
15:2015/08/07(金) 19:33:20.48 ID:
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「しかしこの選択肢自体はあまり現実世界に影響がない」

海未「それだけがせめてもの救い・・・」

『園田海未の父親が風邪をひく』

『園田海未の母親が風邪をひく』

海未「・・・」

海未「なんですこれは・・・」
16:2015/08/07(金) 19:36:21.82 ID:
海未「お父様とお母様のどちらかが風邪・・・?」

海未「この扉を開けたら本当に?」

海未「・・・」

海未「私の選択次第で」

海未「お父様とお母様が・・・」

海未「お父様・・・」ギ・・・

海未「お母様・・・」ギ・・・

海未「選べるはずがありません」

海未「私には」

海未「無理です!」

海未「選べません!」バン!バン!

・・・・・・・・・
17:2015/08/07(金) 19:39:21.72 ID:
海未「あっ」

海未「私、両方の扉を開けてしまったかも・・・」

海未「この場合、一体・・・?」

海未「とりあえず様子を見に行きますか」トタトタ

海未「おはようございます、お父様、お母様・・・」

海未ママ「海未さん・・・」

海未パパ「・・・」

海未「二人ともどうしました?」

海未ママ「二人とも風邪を・・・」

海未「えっ!?」

海未「わ、私看病します!」

海未ママ「いいのですよ、私たちでなんとかしますから」

海未ママ「海未さんは心配しないで学校へ」
18:2015/08/07(金) 19:42:22.21 ID:
海未「でも・・・」

海未(やっぱりあの夢は本当だったのですね)

海未(私のせいで二人とも風邪をひいて)

海未(学校なんて行けるわけが・・・)

海未ママ「大丈夫ですから、ね?」

海未「は、はい」

海未(やはりあの夢で選んだ選択は現実になるのですね)

海未(しかも今日の夢は直接人に危害を加える選択でした)

海未(では明日は?明日はもっと・・・)

海未「・・・」
19:2015/08/07(金) 19:45:23.23 ID:
海未「ただいま帰りました」

海未ママ「おかえりさない海未さん」

海未「風邪良くなったみたいですね」

海未ママ「ええ、もう大丈夫ですよ」

海未「良かった・・・本当に良かったです」

海未ママ「ふふ、大げさですね」

海未(私のせいですからね・・・)

海未(今日は学校に居てもずっと上の空でした)

海未(練習も理由をつけて帰ってきましたが)

海未(ひとまず風邪が治って一安心です)

海未(ですが)

海未(眠るのが・・・怖い・・・)
21:2015/08/07(金) 19:48:28.06 ID:
海未「どうしたらいいのでしょう」

海未「もう寝ない方がいいのかも知れません」

海未「ですが不眠は生活に様々な影響が・・・」

海未「・・・」

海未「・・・」スヤスヤ

海未「・・・」

海未「寝てしまいましたか・・・」
23:2015/08/07(金) 19:51:27.31 ID:
海未「これ以上酷い選択は・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「・・・」

『絢瀬絵里がケガをする』

『東條希がケガをする』

海未「絵里、希・・・」

海未「どちらかがケガなんてそんな・・・」

海未「?」

海未「扉の文字が消えて・・・?」

『絢瀬絵里が』

『絢瀬』

『』

『高坂穂乃果をこの世界に連れ戻す』
24:2015/08/07(金) 19:54:28.28 ID:
海未「なんですかこれは?」

『高坂穂乃果をこの世界に連れ戻す』

『東條希がケガをする』

海未「選択肢が・・・変化した?」

海未「この世界に連れ戻すとはどういう・・・」

海未「人の名前・・・ですよね?」

海未「聞いたことが無い名前ですが・・・」

海未「妖怪の類・・・というわけでは無いですよね」

海未「何故急に選択肢が変化したのでしょう?」

海未「・・・」

海未「高坂穂乃果・・・?」
25:2015/08/07(金) 19:57:26.35 ID:
海未「高坂穂乃果とは一体・・・」

海未「誰かの知り合いでしょうか?」

海未「あ、穂むらさんって名字は高坂と言ったような?」

海未「いえ、まず『この世界に連れ戻す』って意味が分かりませんね」

海未「・・・」

海未「でも片方が希にケガをさせてしまう扉なら」

海未「この高坂穂乃果の扉を開けたほうが良いのは明白です」

海未「よく分かりませんがこちらなら誰も困らない・・・はずです」

海未「ちょっと不気味ですが」

海未「高坂穂乃果を・・・」

海未「この世界に・・・」

海未「連れ戻す・・・」ギィィ

・・・・・・・・・
26:2015/08/07(金) 20:00:35.07 ID:
穂乃果「・・・え?」

私の名前は高坂穂乃果です

穂乃果「なんで私まだ夢の世界にいるの?」

私はこの夢の世界から・・・ううん、全部の世界から消えた・・・はずなのに

なんでここにいるの・・・?

穂乃果「どうなってるの?」

私は夢を見ていました

私はその夢の中の選択で大切な人たちを・・・消していきました

消えた人たちは最初から世界に存在しなくなってしまいます

何人も、何人も消えていきました

そして最後の選択で私は私を消したのです

私が消える代わりに今まで消えた人が元に戻る

最後にその扉を開けた・・・はずでした

穂乃果「消えてない・・・?」
28:2015/08/07(金) 20:03:20.74 ID:
穂乃果「どうして消えてないの?」

穂乃果「あの時・・・」

―――穂乃果(じゃあね、みんな)―――

―――穂乃果(じゃあね、海未ちゃん)―――

穂乃果「確かに私は消えたはずなのに・・・」

穂乃果「一体どうなってるの?」

穂乃果「消えたみんなは元に戻ったの?」

穂乃果「わかんない・・・」

穂乃果「それに、なんで扉が無いの?」

穂乃果「この世界に来ると必ず扉が出てきたのに」

穂乃果「全然出てこない」

穂乃果「もうなんにも分かんないよ~・・・」
29:2015/08/07(金) 20:06:31.08 ID:
穂乃果「ただこの夢が終わってないって事は」

穂乃果「消えた皆は元に戻ったって事でいいのかな?」

穂乃果「でも私は消えてないし・・・」

穂乃果「う~ん」

いくら考えても答えは出ません

それに選択の扉も出てこないので、私はただこの夢の世界で立ち尽くす事しか出来ませんでした

穂乃果「はあ・・・」

海未「うう・・・また来てしまいました」

穂乃果「ん?」

海未「え?」

穂乃果「あ・・・」

海未「えっ・・・だ、誰ですか?」

穂乃果「海未ちゃん!」
30:2015/08/07(金) 20:09:20.93 ID:
穂乃果「海未ちゃん!どうしてここに?」

海未「えっどうして私の名前を・・・」

穂乃果「え?海未ちゃん何言って・・・」

海未「そもそもこの世界になぜ人が・・・あ」

海未「もしかしてあなたは・・・」

海未「高坂穂乃果・・・さん?」

穂乃果「・・・」

どういうこと・・・?
32:2015/08/07(金) 20:12:25.25 ID:
海未ちゃんが私の事を知らない・・・?

いや

私の事を覚えていない・・・?

どうして?

この現象は・・・まさか

・・・なるほど、なんとなくだけど分かってきた

やっぱり私は消えたんだ

現実の世界から
36:2015/08/07(金) 20:15:46.55 ID:
穂乃果「あの~」

海未「っ!」ビクゥ

海未「・・・高坂穂乃果さんですか?に、人間ですよね?」

穂乃果「・・・ぷっ」

穂乃果「人間に決まってるじゃん!」

穂乃果「あははは、海未ちゃんってば」

海未「うう・・・」

穂乃果「私は高坂穂乃果だよ、ちゃんとした人間だから安心して」

海未「良かった・・・でもあなたは一体誰なのですか?どうしてここに?」

穂乃果「それは・・・」

それは私にも分からない

ただ分かる事は、私は現実の世界からは消えてしまった

でも夢の世界からは消えなかった

それしか分からない

一体どうなってるの・・・?
37:2015/08/07(金) 20:18:26.97 ID:
穂乃果「えっと・・・」

海未「あ、扉が」

穂乃果「えっ?ほ、ほんとだ!扉が出た!」

穂乃果(でもどうして急に扉が?さっきまで全然出なかったのに)

海未「今度は何ですか?」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

穂乃果(どんな選択が・・・)

『ヒデコが消える』

『フミコが消える』

穂乃果「!!」

海未「消える・・・?」

穂乃果(同じだ!私の時と!)
38:2015/08/07(金) 20:21:32.17 ID:
海未「消えるとは一体?」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「は、はい」

海未(何が起きているのか・・・理解が追いつきません)

海未(今度の選択は『消える』?『消える』とは何が起きるのですか?)

海未(あとこの高坂穂乃果さん、一体誰?なぜここに?私が連れ戻したのですか?)

海未(連れ戻した?どこから?ああもう何が何やら)

穂乃果(海未ちゃんも相当混乱してる)

穂乃果(でも私も何が何やら)

穂乃果「お、落ち着いて状況を整理しよう」

海未「は、はい」
40:2015/08/07(金) 20:24:20.92 ID:
海未「・・・というわけで・・・」

穂乃果「・・・ふむふむ・・・」

穂乃果(なるほど、今は海未ちゃんが夢を見てる張本人なのか)

穂乃果(それで『私をこの世界に連れ戻す』って扉を開けたから)

穂乃果(私は帰ってこれた・・・この世界にだけ)

穂乃果(まあ現実の世界では消えたままみたいだけど)

穂乃果(扉が出なかったのも夢を見てるのが海未ちゃんだから)

穂乃果(海未ちゃんが来ないと扉は現れない・・・)

穂乃果(そして海未ちゃんは今回初めて『消える』扉を開ける)

穂乃果「なんとなく分かったよ」

海未「私は全く分かりません・・・そもそもあなたは一体何者なのですか?」

穂乃果「う~ん、なんて言ったらいいのか」
42:2015/08/07(金) 20:27:25.91 ID:
穂乃果(海未ちゃんは私が消えてる世界にいるから)

穂乃果(私の事はまったく知らないんだよね)

穂乃果(『消える』扉もまだ開けた事がないからそんなの信じられない・・・当然だよ)

海未「あなたの事を信じてないわけでは無いですが、やっぱり・・・」

穂乃果「うん、信じられないのは分かるから気にしないで」

穂乃果「でもこの選択肢を見て」

『ヒデコが消える』

『フミコが消える』

穂乃果「消える、っていうのはほんとに消えちゃうの」

穂乃果「世界に最初から存在しない事になっちゃうの」

海未「そんな非科学的な事が・・・」

穂乃果(ほんとはこんな事したくないんだけど・・・)

穂乃果「・・・試しに扉を開いて現実世界に戻ってみて」
43:2015/08/07(金) 20:30:33.96 ID:
穂乃果「私も試したことがあるんだけど、この夢は絶対に覚めないの」

穂乃果「扉を開けないと、何日でもこの世界に閉じ込められたまま」

穂乃果「いつかは気が狂って扉を開けてしまう・・・」

海未「そんな・・・」

穂乃果「それに、この状況を口で説明するのは限界があるから・・・」

穂乃果(私最低だ・・・)

穂乃果(これしか方法が無いとはいえ)

穂乃果(また人を消すの?)

穂乃果(試しに・・・人を消すの?)
44:2015/08/07(金) 20:33:44.81 ID:
海未「この扉を開いたら、どちらかが消えるんですか?」

穂乃果「・・・うん、最初から居なかった事になるんだよ」

海未「ヒデコとフミコのどちらかが・・・」

穂乃果「私も・・・」

穂乃果(消した・・・ヒデコ、フミコ)

穂乃果(せっかく帰ってこれたのにまた消えるの・・・?)

穂乃果「ううん、なんでもない」

海未(?)

海未(しかしやはり信じられませんね、消えるなんて)

海未「ではヒデコの扉を・・・」

穂乃果「・・・」

穂乃果(ヒデコ・・・)

海未「開けますね・・・」ギィィ

・・・・・・・・・
45:2015/08/07(金) 20:36:21.14 ID:
穂乃果「行っちゃった」

穂乃果「海未ちゃんに信じてもらえないと話が始まらないとはいえ」

穂乃果「試しに開けてみて、なんて・・・」

穂乃果「人の命を・・・ううん、人の存在を何だと思ってるの?私は・・・」

穂乃果「酷すぎるよ・・・」

穂乃果「せっかく世界が元に戻ったのに」

穂乃果「また消えていくなんて」

穂乃果「一体なんなの?この夢は」

穂乃果「はあ・・・どうしたらいいんだろう」

穂乃果「そもそもどうして選択肢が変わって『私を連れ戻す』なんて扉が・・・」

穂乃果「考えても分かるわけないか・・・」

穂乃果「こんな夢の事なんて・・・」
46:2015/08/07(金) 20:39:21.20 ID:
穂乃果「まだかな海未ちゃん」

海未「・・・」

穂乃果「あ、海未ちゃん」

海未「・・・」

穂乃果「・・・消えたんだね、ヒデコが」

海未「・・・」コクン

穂乃果「これで・・・私の言う事信じてもらえたかな?」

海未「・・・」コクン

穂乃果「じゃあもう一度話そう、今度は全部理解してもらえるまで話すよ」

海未「・・・」
47:2015/08/07(金) 20:42:23.12 ID:
私が見ていた夢の事

その結末

そして現在へ

私の身に起こったことを出来るだけ細かく伝えた

穂乃果「・・・というわけなんだよ」

海未「じゃああなたも以前に私と同じ夢を見ていて、最後は自分自身を消して・・・」

海未「消えたみんなを元に戻した・・・」

穂乃果「うん」

海未「それを私が・・・連れ戻した」

穂乃果「うん」

海未「信じられないような話ですが、今日ヒデコが消えて・・・」

海未「信じるしかないみたいですね」

穂乃果「うん」

海未「・・・」

穂乃果(つらいよね、やっぱり・・・)
48:2015/08/07(金) 20:45:26.16 ID:
穂乃果(なんとかしてちょっとでも元気づけなきゃ)

穂乃果「ねえ海未ちゃん」

海未「はい」

穂乃果「私いくつに見える?」

海未「・・・はい?」

穂乃果「ねえねえいくつに見えるかな?」

海未「えっと・・・」

海未「同い年くらいですか?」

穂乃果「うん正解!同い年だよ!それに海未ちゃんの幼馴染だよ!」

海未「え!?」

海未「あ、すみません」

穂乃果「いいよ、だって忘れてるんだから」

海未「は、はい」

穂乃果「えへへ」
49:2015/08/07(金) 20:48:25.60 ID:
穂乃果「あと、私もアイドル研究部だったんだよ」

海未「えっ!?」

穂乃果「信じられないのは分かるよ、覚えてないなら当然だよ」

海未「そう、だったのですか・・・」

海未「ごめんなさい、思いだせなくて・・・」

穂乃果「仕方ないよ、私は消えてるんだから」

海未「そうですか、私たち一緒にアイドルをやっていたのですね」

穂乃果「うん、とっても楽しかった!」

穂乃果「海未ちゃんもすっごく可愛かったよね!」

海未「そう言われると照れますね」

穂乃果「海未ちゃんは恥ずかしがり屋さんだもんね」

海未「・・・本当に、どうして思い出せないのでしょう」

海未「きっとあなたとは仲が良かった・・・のですよね?」

穂乃果「うん!とっても!」

海未「覚えているあなたが羨ましい」
50:2015/08/07(金) 20:51:27.46 ID:
穂乃果「絵里ちゃんは元気?希ちゃんは?にこちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃん、真姫ちゃんは?」

穂乃果「8人で色んなことしたんだよ!」

海未「・・・あれ?」

海未「今なんと・・・今挙げた人の名前をもう一度教えてくれますか?」

穂乃果「あ、海未ちゃんにとってアイドル研究部は7人なのか」

海未「ですからもう一度!」

穂乃果「え?う、うん」

穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃん、真姫ちゃん」

海未「・・・え?」

穂乃果「え?」

穂乃果「私は居ない世界だから、海未ちゃんを入れて7人でしょ?」

海未「い、いやそうではなくて」

海未「ことりは・・・?」

穂乃果「?」
51:2015/08/07(金) 20:54:26.21 ID:
穂乃果「ことり・・・ってなんの事?」

穂乃果「ペット?」

海未「いえことりですよ南ことり、私の幼馴染なんですが」

海未「髪の毛をこう・・・トサカのようにしている」

穂乃果「な」

穂乃果「何言ってるの海未ちゃん・・・」

穂乃果「南ことり?幼馴染?っていうか髪をトサカ?なんで?」

穂乃果「何の事・・・?」

海未「なっ・・・え?え?」

穂乃果「誰?南ことり・・・ちゃん?」

穂乃果「海未ちゃんの幼馴染は音ノ木では私だけじゃ・・・?」

海未「・・・」

海未「そうですか、そういう事ですか・・・」

穂乃果「・・・」
54:2015/08/07(金) 20:57:45.77 ID:
海未「あなたがいた世界では、ことりが消えていた・・・」

穂乃果「!・・・そんな事って・・・」

海未「私が知っているアイドル研究部は私、ことり、絵里、希、にこ、凛、花陽、真姫」

穂乃果「8人・・・!」

海未「そうです、8人です」

穂乃果「私はことりちゃん?を・・・知らない?」

穂乃果「南・・・ことり」

海未「ええ」

穂乃果「・・・」
55:2015/08/07(金) 21:00:26.78 ID:
海未「つまりあなたの前には、ことりが夢を見ていた」

海未「ことりも自分を消して世界を元に戻した・・・」

穂乃果「その・・・ことりちゃんがいない世界で今度は私が夢を見て」

穂乃果「次は私が消えた世界で海未ちゃんが夢を見てる」

海未「この夢は一体・・・」

穂乃果「終わりが来ないって事・・・?」

穂乃果「この夢は誰かから誰かに移って」

穂乃果「永遠に誰かを苦しめ続けるの・・・?」

海未「悪夢ですね・・・しかも終わりの無い悪夢」

穂乃果「そんな・・・この夢からは永遠に解放されないの?」

海未「・・・」
56:2015/08/07(金) 21:03:23.53 ID:
穂乃果「・・・」

海未「とりあえず今回の選択肢を見てみましょう」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「・・・」

『絢瀬絵里が消える』

『東條希が消える』

穂乃果「絵里ちゃんか希ちゃんのどっちかが消える・・・」

海未「一体どうすれば・・・?」

穂乃果「・・・」
57:2015/08/07(金) 21:06:21.67 ID:
穂乃果「海未ちゃん」

海未「はい?」

穂乃果「『私を連れ戻す』選択肢が出た時、何故か扉の文字が変わったって言ったよね」

海未「はい」

穂乃果「なんでかな?」

海未「えっ?」

穂乃果「なんでそんな事が起こったんだろう」

海未「それは・・・分かりません」

穂乃果「海未ちゃん、この夢の世界で何か変わった事とかしなかった?」

海未「変わった事ですか?」

穂乃果「扉を開ける以外に・・・なんでもいいから」

海未「扉を開ける以外には何も・・・」

海未「・・・あっ!」
58:2015/08/07(金) 21:09:46.84 ID:
海未「私、その選択の一日前の夢で」

海未「両方の扉を開けました!」

穂乃果「!」

海未「起きたら両方の選択肢が反映されていて」

海未「そして次の日の夢で扉の文字が変わって・・・」

穂乃果「それだよ!」

海未「えっ?」

穂乃果「私は今まで『二つの選択』の意味を間違えてたのかも」

穂乃果「今までは目の前にあるこの扉『Aを開ける』か『Bを開ける』かが二つの選択だと思ってた」

穂乃果「でも違うんだよ」

穂乃果「海未ちゃんが両方の扉を開けて、さらにどっちも現実に反映されたって事は」

海未「『二つの選択』の本当の意味は違う・・・!」
60:2015/08/07(金) 21:12:47.73 ID:
穂乃果「それがまだ何か分からないけど」

穂乃果「本当の意味にたどり着けたらもしかして・・・」

海未「すべて元通りに?」

穂乃果「うん!もしかしたらだけど・・・」

海未「では考えましょう!本当の『二つの選択』の意味を!」

穂乃果「両方の扉を開ける事が出来たなら」

穂乃果「『扉を一つ開ける』か『扉を二つ開ける』かが本当の選択?」

海未「でもそれでは何も変わりませんでした・・・」

穂乃果「でもこの選択をしたら次また扉の文字が変わるかも」

海未「・・・確かに」

穂乃果「やってみる価値はあるよ・・・けど」

海未「・・・」

穂乃果「これを試したら二人一気に消える・・・」
61:2015/08/07(金) 21:15:27.45 ID:
穂乃果(本当の『二つの選択』の意味を探すには)

穂乃果(試すしかない・・・けど)

海未「・・・やります、私」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「あなたの話では、このまま誰かが消え続けるだけ」

海未「なんとかしないと結局最後には皆消えてしまう・・・だから」

海未「ここはやるしかないのです」

海未「私が・・・この夢からみんなを救ってみせます」

海未「もちろんあなたの事も・・・!」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

海未「心配してくれるのですね・・・私は大丈夫です」

海未「皆を消した罪は背負っていくつもりです」

穂乃果「・・・ごめんね、ありがとう」
62:2015/08/07(金) 21:18:22.04 ID:
海未「それでは行きます」

穂乃果「うん」

穂乃果「待ってる」

海未「はい、また戻ってくる事になるでしょうけど」

穂乃果「・・・」

海未「・・・」バン!バン!

・・・・・・・・・
63:2015/08/07(金) 21:21:25.81 ID:
穂乃果「・・・」

穂乃果「どうなるのかな」

穂乃果「あんなこと言ったけど」

穂乃果「この夢からほんとに解放されるの?」

穂乃果「『二つの選択』の本当の意味なんてあるの・・・?」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

穂乃果「ごめんね、つらい思いさせて・・・」
64:2015/08/07(金) 21:24:20.87 ID:
穂乃果「・・・」

海未「・・・」

穂乃果「あ、海未ちゃん、どうだった?」

海未「両方消えていました・・・」

穂乃果「そっか・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「・・・」

『矢澤にこが消える』

『西木野真姫が消える』

海未「あなたを連れ戻す扉が現れた時は、ここで選択肢が変わったのですが・・・」

穂乃果「・・・」

海未「・・・変わりませんね」

穂乃果「そうだね・・・」
65:2015/08/07(金) 21:27:43.68 ID:
海未「くっ・・・!」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

海未「大丈夫です、探しましょう」

海未「『二つの選択』の本当の意味を」

穂乃果「・・・うん」

穂乃果「じゃあ今度は私が扉を開けるよ」

海未「あなたが?」

穂乃果「『海未ちゃんが扉を開ける』か『私が扉を開ける』かでまた扉の文字が変わるかも」

穂乃果「もしかしたら私が開けたら、現実の世界に行くのは私になるんじゃないかな」

穂乃果「そうなれば、現実世界で消えたはずの私が戻る事になる」

穂乃果「突破口が開ける・・・かな?」

海未「やってみましょう!」

穂乃果「うん・・・正解なんて見当もつかないから・・・」

海未「やってみる価値は十分にあります」

海未「思いつくことは全て試しましょう」
66:2015/08/07(金) 21:30:23.77 ID:
穂乃果「じゃあ行くよ」

海未「はい」

穂乃果「ごめん、にこちゃん」バン

穂乃果「?」

穂乃果「何も起こらない?」

穂乃果「海未ちゃん!これって・・・」

穂乃果「・・・いない」

穂乃果「私が開けても、海未ちゃんが現実に戻るのか」
67:2015/08/07(金) 21:33:23.10 ID:
海未「はっ」

海未「私の部屋?」

海未「扉は・・・私は開けていないはず」

海未「そういう事ですか・・・」

海未「にこ・・・」
68:2015/08/07(金) 21:36:20.98 ID:
部室

海未「・・・」

ことり「海未ちゃん?」

海未「ことり」

ことり「元気ないよ?」

海未「平気です・・・」

ことり(どう見ても平気じゃないよ・・・)
69:2015/08/07(金) 21:39:22.66 ID:
海未「・・・」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「にこは・・・消えていました」

穂乃果「ごめん・・・」

海未「何故謝るのです、さあ次の可能性に賭けましょう」

穂乃果「うん」
70:2015/08/07(金) 21:42:38.65 ID:
それから、私と海未ちゃんは必死で正解を探した

扉を壊したら?駄目、壊せない

この空間はホントに何も無い、果ても無い世界なの?

どこかに別の扉は・・・?

駄目、2つの扉以外はこの空間には何もない

じゃあ下は?硬くて掘れない

なんとかこの世界で寝てみる・・・駄目だ、やっぱり絶対寝れない

扉の開け方は?裏から開ける?そっと開ける?

同時に二人で開ける?

・・・何をやっても変わらない

状況も、扉の文字も

そうしているうちに、海未ちゃんの大切な人たちが全員消えた

でも・・・
71:2015/08/07(金) 21:45:21.85 ID:
海未「・・・」

海未「学校に行かなくては・・・」

海未「みんな・・・」

海未「ごめんなさい」

海未「・・・行ってきます」

海未「行って・・・きます」

海未「・・・」

海未「行ってきます」
72:2015/08/07(金) 21:48:25.73 ID:
学校

ことり「海未ちゃん」

海未「ことり」

ことり「どうしたの海未ちゃん、最近おかしいよ?」

海未「いえ、なんでもないです」

海未「なんでも・・・」

ことり「なんでもない訳ないでしょ!海未ちゃん・・・なんで何も言ってくれないの・・・」

海未「あはは・・・」

ことり(海未ちゃんどうしちゃったの・・・?)

ことり(こんな顔、初めて見るよ)
73:2015/08/07(金) 21:51:30.72 ID:
部室

ことり「アイドル研究部、今日も頑張ろうね!」

海未「・・・」

ことり「目指せラブライブ!でしょ?」

ことり「海未ちゃん・・・」

海未「・・・」

ことり「・・・ごめんね、私と二人なんて楽しくないよね」

海未「え?」

ことり「二人きりなんて、ろくに曲も作れないし・・・ごめんね海未ちゃん」

ことり「私のわがままでアイドル研究部に誘っちゃって・・・」

海未「そんなことないです!」
74:2015/08/07(金) 21:54:31.72 ID:
海未「私は・・・楽しいです!」

海未「ことりと・・・」

海未(絵里、希、にこ、凛、花陽、真姫・・・)

海未(それにきっともう一人・・・)

海未(私は・・・)

海未「ことりと二人きりでも・・・楽しい」

海未「こんなに楽しいなんて・・・思わなかった・・・!」ポロポロ

ことり「え!?泣いてるの!?」

海未「ちがっ・・・」ポロポロ

ことり「ごめんね、変な事言っちゃって!」

海未「そんな・・・違うのです、私の方こそごめんなさい」

ことり「う、うん」
75:2015/08/07(金) 21:57:24.94 ID:
海未「ことり」

ことり「ん?」

海未「私、ことりと一緒にアイドルが出来て良かったと思っています」

ことり「え?いきなりなに?」

海未「ことりと出会えて・・・良かった」

ことり「な、どうしたの?・・・急に真剣な顔して」

海未「ことり」

ことり「ん?」
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
76:2015/08/07(金) 22:00:39.51 ID:
海未「もし私がいなくなったら・・・どう思いますか?」

ことり「何?いきなり」

海未「あ・・・そうですよね、ごめんなさい」

海未「・・・」

ことり「・・・」

ことり「海未ちゃんが何を悩んでるのか分からないけど、きっとそれは誰にも相談出来ないような悩みなんだよね」

ことり「無理に聞こうとは思わないけど、もし話せるときが来たら話してね」

海未「・・・」

ことり「私たち・・・その・・・なんて言うか、その」

ことり「親友・・・でしょ?」

海未「ことり・・・」
77:2015/08/07(金) 22:03:26.34 ID:
ことり「もうちょっとくらい頼ってね、海未ちゃんの方がしっかりしてるのは分かってるけど・・・」

海未「・・・はい」

海未「ありがとうございます、ことり」

ことり「・・・やっと笑ったね」

海未「えっ」

ことり「海未ちゃんの笑ってる顔、久しぶり」

海未「ことり・・・」

ことり「帰ろっか」

海未「はい」
78:2015/08/07(金) 22:06:22.73 ID:
ことり「それじゃあね」

海未「あ、あの」

ことり「ん?」

海未「手を・・・繋いでもいいですか?」

ことり「ど、どうしたの海未ちゃん」

海未「駄目ですか・・・?」

ことり「・・・駄目な訳ないよ、はい!」

海未「・・・」ギュッ

ことり「・・・」ギュュ

海未「・・・ことり」

ことり「なにー?」

海未「私と友達になってくれて、ありがとうございます」

ことり「・・・変な海未ちゃん」

海未「あの時・・・」

ことり「うん、あの時・・・」

ことり「昔から恥ずかしがり屋だったね、海未ちゃん」

海未「そ、そうですね・・・」

海未「あの・・・時・・・」

―――?「見つけた!次あなた鬼だよ!一緒に遊ぼう!」―――

海未「・・・?」
79:2015/08/07(金) 22:09:22.73 ID:
海未「ではまた明日」

ことり「うん!また明日!」

また明日―――

でも

海未ちゃんは『ことりちゃん』だけは消さなかった

最後まで一緒に居たい、そう言って・・・

つまり

この後に待っているのは

最後の選択だけになってしまった
80:2015/08/07(金) 22:12:21.37 ID:
海未「・・・」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

海未「・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

海未「・・・」

『消えた人間全員が戻ってくるが、園田海未が消える』

『この夢を終わりにする』

穂乃果「そんな・・・」

海未「これが最後の選択・・・ですか」
81:2015/08/07(金) 22:15:21.70 ID:
穂乃果「なんで・・・?」

穂乃果「やっぱり正解なんてないの?」

穂乃果「私たちのやってきた事は無駄だったの?」

穂乃果「そんなのってないよ・・・」

海未「あの」

穂乃果「え?」

海未「私はみんなを戻します」

穂乃果「えっ・・・」

海未「決めていました、最初から」
84:2015/08/07(金) 22:45:51.75 ID:
海未「本当はことりとずっと一緒にいたいです」

海未「ずっとずっと・・・死ぬまで一緒に」

海未「でもそれはことりだけではありません」

海未「今は、そう」

海未「私は・・・私の身勝手で消した人たち全員と一緒にいたかった」

海未「でも私は、そんな世界をみんなから奪った」

海未「私に出来る事は、その世界をまたみんなの元へ返す事だけです」

海未「あなたに最後の選択の話を聞いた時から」

海未「最後になったらこうするって決めていました」

穂乃果「そんな・・・」

海未「最後まであなたの事は思い出せませんでした・・・それも心残りですが」

海未「私のいない世界では、皆と仲良くしてくださいね」

穂乃果「海未ちゃん・・・」ポロポロ

海未「・・・」
85:2015/08/07(金) 22:48:35.40 ID:
海未「この夢は」

海未「最後に自分が消える扉を選ぶ人のところにしか来ないのでしょう」

海未「ことりやあなたみたいな優しい人のところにしか」

海未「私も、そんな人になりたい」

海未「きっと今までもそうして、この世界は創られてきた」

海未「誰かが一人、いない世界」

海未「そんな世界で私たちは生きていくのかも知れませんね」

穂乃果「海未ちゃん・・・」ポロポロ

海未「これが世界の正しい姿なのです、きっと」

穂乃果「そんな・・・」ポロポロ
86:2015/08/07(金) 22:51:21.47 ID:
穂乃果「やだよ・・・」ポロポロ

海未「泣いてくれるのですね」

海未「あなたの事、思いだしたかった」

海未「きっととっても大切な友達だったのだと思います」

海未「記憶にはないけれど・・・」

海未「9人のアイドル研究部・・・」

海未「きっと今よりもっと楽しくて、歌もダンスもすごくて・・・」

海未「9人でラブライブ・・・目指したかったです」

穂乃果「うっ・・・うう・・・」グスグス

海未「それでは、さようなら」

―――ではまた明日―――

―――うん!また明日!―――

海未(ごめんなさい、ことり)

海未(明日は)

海未(会えません)
87:2015/08/07(金) 22:54:30.12 ID:
海未「私の選択は―――」

穂乃果「待って!」ガシッ

海未「!?」

穂乃果「待って海未ちゃん!」

海未「離して・・・!」

穂乃果「きっとあるはずだよ!何か方法が!」

海未「・・・もう無理ですよ!」

海未「こうするしかないでしょう!」

穂乃果「やだ!」

穂乃果「私も夢を見てた時、すごくつらくて!すごく怖くて!」

穂乃果「誰にも相談できなくて!一人で悩んで!」

海未「・・・」

穂乃果「・・・寂しくて、悲しくて」

穂乃果「でも・・・消える扉を選ぶしかなかった・・・」
88:2015/08/07(金) 22:57:21.80 ID:
穂乃果「でも今は違う」

穂乃果「一人じゃない」

穂乃果「どんなに怖くても、一人じゃないから」

穂乃果「なんとかなるって思える」

穂乃果「海未ちゃんも私を信じて」

穂乃果「きっと正解はあるよ」

海未「・・・」

海未「私だって・・・」

海未「本当は皆と一緒にいたい・・・」

海未「消えたくない・・・」

海未「でもこうするしか・・・」

海未「こうするしかないんです・・・」

海未「・・・うわぁ~・・・わぁ~ん」ボロボロ
89:2015/08/07(金) 23:00:24.55 ID:
海未「うわぁ~・・・あ~ん」ボロボロ

穂乃果「海未ちゃん・・・」

穂乃果(一番つらいのは海未ちゃんなんだよね・・・)

穂乃果「・・・」

穂乃果(考える・・・!)

穂乃果(今、今考えないと!)

穂乃果(何か・・・!)

穂乃果(何かあるはず!絶対に!)

穂乃果(考えを一回リセット!)

穂乃果(そもそも私は何故この空間に戻れたのか)

穂乃果(私がここに来た意味・・・)

穂乃果(それが一番のヒントのはず・・・!)
90:2015/08/07(金) 23:03:27.04 ID:
穂乃果「この世界・・・」

穂乃果「夢の世界・・・」

穂乃果「夢の扉・・・?」

穂乃果「ユメノトビラ・・・」

穂乃果「私たちの曲にある・・・」

穂乃果「・・・」

穂乃果「夢の扉~♪」

穂乃果「ずっと探し続けた♪」

穂乃果(はは、今の状況そのまんまだ)

穂乃果(・・・?)
91:2015/08/07(金) 23:06:40.77 ID:
穂乃果(鍵はここにある・・・)

穂乃果(ここ・・・?)

穂乃果(出会いの意味を見つけたいと願ってる・・・)

穂乃果(出会いの意味・・・?)

穂乃果(君と僕にも扉が現れる・・・)

穂乃果(扉が現れる・・・?)

穂乃果(でも現れたのは扉じゃなくて私だけどね)

穂乃果(!!)

穂乃果(まさか!)
92:2015/08/07(金) 23:09:31.98 ID:
穂乃果「海未ちゃん!」

海未「ふぇ・・・」グスグス

穂乃果「この空間で!まだ探して無い所がある!」

海未「え!?」

穂乃果「私!」

海未「え?」

穂乃果「私だよ!」

海未「?」

穂乃果「海未ちゃんの夢の世界で、海未ちゃん以外のもの」

穂乃果「それは扉と」

穂乃果「私!」

海未「!」

穂乃果「扉の文字が変わって私がこの世界に現れた意味」

海未「まさか・・・!」

穂乃果「本当の扉は、私なんだよ!」
93:2015/08/07(金) 23:12:26.97 ID:
海未「あなたが・・・扉」

穂乃果「そう」

穂乃果「私が扉を開けた時、現実に戻ったのは海未ちゃんだった」

穂乃果「その時に気づくべきだったね・・・」

穂乃果「現実の世界で消えた私は、やっぱりまだ存在が完全に戻ったわけじゃない」

穂乃果「扉として、この世界に戻ってきた」

穂乃果「それが、私と海未ちゃんの出会いの意味」

穂乃果「『目の前の扉を開ける』か『現れた扉を開ける』・・・」

海未「それが本当の『二つの選択』・・・!」
94:2015/08/07(金) 23:15:22.46 ID:
穂乃果「私のお腹あたり、触ってみて」

海未「・・・!」スゥ

穂乃果「多分、通れると思う」

穂乃果「でもこの扉、つまり私」

穂乃果「何も書いてない、んだよね・・・」

海未「そんな・・・」

海未「それではあなたを通っても、どうなるかは分からない・・・?」

海未「そんな・・・せっかくここまで来たというのに」

海未「これでは通りたくても通れない・・・!」

海未「どうして・・・最後の最後で・・・」

海未「うう・・・」

穂乃果「・・・」
96:2015/08/07(金) 23:18:21.27 ID:
海未「どうすれば・・・」

穂乃果「でも」

穂乃果「もうこの扉に賭けるしかないよ」

穂乃果「海未ちゃんはもうこの扉を信じるしかないんだよ」

海未「・・・」

穂乃果「確かに不安だけど」

穂乃果「きっと大丈夫」

穂乃果「・・・行って」
97:2015/08/07(金) 23:21:22.47 ID:
海未(これが本当に正解?)

海未(この扉を通ったら)

海未(消えた人も元に戻らないで、私もこの人も消えてしまう・・・)

海未(そんな最悪の結末だってあるのでは?)

海未(怖い・・・怖い)

海未(せっかく仲良くなれたのに)

海未(ここでお別れになるかも知れない)


穂乃果(この扉・・・)

穂乃果(海未ちゃんが通った後、どうなるかは分からない)

穂乃果(まず私は今『扉』なんだ)

穂乃果(もし世界が元に戻っても)

穂乃果(私はずっとこのままこの世界に取り残されて)

穂乃果(ここで永遠を生きるのかも知れない)

穂乃果(でも)

穂乃果(これしかない)

穂乃果(仮に私だけはこのままでも)

穂乃果(私はそれでもいい・・・!)
98:2015/08/07(金) 23:24:22.12 ID:
海未(それに・・・)

海未(またことりに会えるかも、そう思ったら)

海未(消えたくない気持ちがこんなに強くなるなんて)

海未(嫌・・・)

海未(あなたは・・・怖くないの?)

海未(聞かせて、あなたの気持ちを・・・)
100:2015/08/07(金) 23:27:34.51 ID:
海未「あなたは・・・怖くないのですか?」

穂乃果「・・・穂乃果!」

海未「え?」

穂乃果「ずーっとあなたあなたって!」

穂乃果「なんで名前で呼んでくれないの!」

海未「で、ですがその・・・馴れ馴れしいかと」

穂乃果「私はすでに海未ちゃんの事海未ちゃんって呼んでるじゃん!」

穂乃果「幼馴染なんだよ?私たち」

穂乃果「多分・・・私たち3人」

穂乃果「ことりちゃんも入れて、きっと3人一緒だったはずだよ!」

海未「!」
101:2015/08/07(金) 23:30:21.83 ID:
海未(・・・)

海未(これは・・・)

海未(記憶にないはずなのに、思い出せないはずなのに)

海未(なぜか分からないけど、とっても懐かしい気がします)

―――穂乃果「今度はことりちゃんが鬼!」―――

―――ことり「くやしーい!」―――

―――穂乃果「ん?」―――

―――穂乃果「見つけた!次あなた鬼だよ!一緒に遊ぼう!」―――

―――海未「うん!」―――

海未(もう・・・)

海未(・・・大丈夫)

海未「・・・ほ、穂乃果」

穂乃果「うん!」
103:2015/08/07(金) 23:33:21.39 ID:
海未「・・・私、穂乃果と出会えて良かったです」

海未「少しの間でしたが、友達になれて・・・心強かった」

穂乃果「私も海未ちゃんに出会えて良かったよ!」

穂乃果「現実の世界でも、夢の世界でも出会えて良かった!」

海未「この先に何があっても、ずっと友達でいてくれますか?」

穂乃果「うん!ずっと友達だよ!」

海未「・・・ありがとうございます」

穂乃果「こちらこそ!」

穂乃果「・・・それじゃいいですか?」

海未「・・・うん!」

海未「・・・」

海未「私の・・・いえ」

海未「私たちの選択は―――」

ギィィィィィ・・・
104:2015/08/07(金) 23:35:21.77 ID:
いつもと変わらない朝

ことり「ふわぁ・・・」

ことり「まだちょっと眠いよ・・・」

ことり「今日も練習頑張らなきゃ」
105:2015/08/07(金) 23:36:21.64 ID:
絵里「さて、それじゃ遅刻しないようにね、亜里沙」

亜里沙「はーい」

絵里「行ってきます」
106:2015/08/07(金) 23:37:21.68 ID:
希「今日の運勢は・・・」

希「吉かあ」

希「ま、今日も一日ガンバろ!」
107:2015/08/07(金) 23:38:21.52 ID:
にこ「行ってくるわね」

にこママ「行ってらっしゃい」

にこ「にっこにっこにー♪っと」
108:2015/08/07(金) 23:39:21.90 ID:
雪穂「行ってきまーす」

雪穂「ねむ・・・」

雪穂「ふわぁ」
109:2015/08/07(金) 23:40:21.45 ID:
凛「・・・」スヤァ

凛「・・・」スヤァ

凛「ラーメン・・・」スヤァ
110:2015/08/07(金) 23:41:22.26 ID:
花陽「今日のご飯はいい仕上がりだね!」

花陽「お弁当も楽しみ!」

花陽「はぁ、最高!このつや!」
111:2015/08/07(金) 23:42:21.51 ID:
真姫「それじゃあ行ってきます、パパ」

真姫「ん」チュ

真姫「~♪」
112:2015/08/07(金) 23:43:42.28 ID:
屋上

絵里「それじゃあ練習始めるわよ」

希「あ、えりち久々にあれやらない?」

絵里「あれ?」

希「点呼、とるの」

にこ「良いわね」

絵里「なんでわざわざ?」

希「カードが告げるんよ、今日はやった方がいいって」

絵里「相変わらずね」
113:2015/08/07(金) 23:45:04.54 ID:
凛「凛もやった方がいいと思う!」

花陽「わ、私もそんな気が・・・」

真姫「ま、久々にやってもいいかしら」

にこ「素直じゃないわね」

真姫「何よ!」

ことり「じゃあいくよ!」
114:2015/08/07(金) 23:46:24.63 ID:
ことり「1!」

真姫「2!」

凛「3!」

花陽「4!」

にこ「5!」

希「6!」

絵里「7!」

絵里「・・・さて」

タッタッタ・・・

ことり「も~」

海未「すみません!遅くなりました・・・って」

海未「あ、それ!」

絵里「ほら早く」

希「7人で終わっちゃうよ~?」

ことり「早く!早く!」

海未「あわわ、ま、待ってください」

海未「8!」
115:2015/08/07(金) 23:47:39.83 ID:
真姫「さ、それじゃそろそろ」

凛「にゃ」

花陽「り、凛ちゃん」

にこ「にっこにっこに」

タッタッタッタ・・・

にこ「ふん」

海未「・・・」
116:2015/08/07(金) 23:49:21.77 ID:
真姫「やれやれ」

凛「ぴったりだにゃ」

花陽「良かった・・・」

絵里「ま、揃うまで待つつもりだったけど」

にこ「別にどっちでもいいじゃない」

希「素直じゃないなあ、一番そわそわしてたくせに」

にこ「なによ!」

ことり「うふふ」

ガチャ

穂乃果「はあ・・・はあ・・・」

海未「・・・」

海未「穂乃果」

穂乃果「あ、海未ちゃん!」

海未「・・・さ、早く!」

穂乃果「あ、それ・・・うん!」

穂乃果「9!」

何一つ欠けていない世界

今度こそ本当に

いつもと変わらない日常
117:2015/08/07(金) 23:50:23.20 ID:
音ノ木坂学院 アイドル研究部

9人のスクールアイドルグループ

ラブライブを目指して活動中

グループ名

9人の歌の女神『μ’s』

キャッチフレーズ

『みんなで叶える物語』
118:2015/08/07(金) 23:51:21.92 ID:
穂乃果「究極の選択!!」
おしまい
125:2015/08/08(土) 00:04:00.09 ID:
面白かった
129:2015/08/08(土) 02:48:29.66 ID:

よりよい選択というのは針の穴に糸を通すよりも難しい