1:2015/07/13(月) 00:19:14.89 ID:
にこ「本当にいいの?食べさせてもらって……」

真姫「この前、家に行った時にご飯食べさせてもらったでしょ?お返しよ」

にこ(お返しって……あのパスタ、ソース代含めて100円もしないんだけど)

にこ(まぁ、この際細かいことは無しよね、一皿で元をとれるなんて傑作だわ、ふっふっふ)

真姫「なに笑ってるのよ」

にこ「お寿司楽しみだなぁ~って」

真姫「ふふん、まあ期待しときなさい」

にこ「あれ?ここじゃないの?」

真姫「回転寿司なんか行かないわよ」

にこ「えっまさか」

真姫「ほら、ここよ」

にこ「どっしぇー!!」

真姫「わっ!びっくりした……変な声出さないでよ!」

にこ「こ、こ、ここ?」

真姫「そうよ、ここ。お金は心配しないで、パパの知り合いの店だから……金券貰ってるの、ほら」

にこ「……いち、まん、えん?一食でいちまんえん?」
4:2015/07/13(月) 00:23:14.61 ID:
にこ「ねぇ~~かっぱ寿司にしない?やっぱり……」

真姫「なに言ってるの、入るわよ」

カラカラカラ

にこ「うう……」

真姫「二名で予約していた西木野です」

にこ「何よ予約って……」

「こちらにどうぞ」

にこ「えっ、個室!?」

真姫「もう、いちいち驚かないでよ、普通でしょ」

にこ「はぁ~すごい」キョロキョロ

真姫「キョロキョロしないの……ほら、早く入って!」

にこ「あっ、水槽にカニがいるわよ!」

真姫「いいから入って!」
8:2015/07/13(月) 00:27:43.89 ID:
「お飲物の方は」

真姫「ウーロン茶でお願い。にこちゃんは?」

にこ「うーん、それじゃあ私はカルピス」

真姫「ちょっと、ちょっと……カルピスなんかないわよ……居酒屋じゃないんだから」

にこ「えっ……じゃあ私もウーロン茶で……」

真姫「ちゃんとメニュー見て頼んでよね」

にこ(だってメニューみたら値段も目に入るから……うう)

にこ「あれ?メニューに値段が書いてない」

真姫「コースよ」

にこ「コース?」

真姫「注文するんじゃなくて、なにが来るかもう決まってるの」

にこ「ば、馬鹿にしないでよ!知ってるわよ言葉の意味くらい!」
10:2015/07/13(月) 00:33:26.84 ID:
「季節の小鉢三品でございます」

真姫「ありがとう」

にこ「それじゃ、いただくわよ!」モグモグ

真姫「もう、がっつかないでよ……」

にこ「」モニュモニュ

真姫「……」

にこ(うーん、お醤油が足りないわね……それにコショウももう少し欲しいわ……)

にこ「真姫ちゃん、美味しい?」

真姫「小さい頃に来たことあるんだけど、やっぱり美味しいわね」

にこ「へぇ~……(美味しいんだ……)」
12:2015/07/13(月) 00:37:29.07 ID:
にこ「わっ!この小鉢、ウニが乗ってるじゃない」

真姫「そうね」

にこ「う、ウニ……本物だわ……ウニ……はぁ~~……輝きが違うわね……」

真姫「早く食べたら?」

にこ「待ちなさい!まずは香りを楽しむのよ……」

真姫「ええ……」

にこ「すぅ~~ん……はぁぁ、すごい……」

真姫「ちょ、ちょっと」

にこ「それじゃあいよいよ味の方を……」パクッ

にこ「あああ~~♡とろける~~♡♡」

真姫(すごい顔してるわね)
15:2015/07/13(月) 00:40:30.91 ID:
にこ「いやぁ、なんだか申し訳ないわね、こんな良いもの食べさせて貰って」

真姫「別に、大したものじゃないわよ」

にこ「むむっ、金持ち特有のいやみ……」

「失礼します」

真姫「ついでにお皿下げてもらいましょう」

にこ(次の料理はおすしかなぁ~~?)

「毛ガニでございます」

にこ「ファッ!?」
17:2015/07/13(月) 00:45:54.28 ID:
真姫「へ、変な声出さないでよ」

にこ「け、け、毛ガニ?もしかして、さっきの水槽の、カニ、カニ、カニ」

真姫「だから落ち着いてって!」

にこ「ひょえええ……プリプリの身だわ……すごい……ママに持って帰ってあげようかしら……」

真姫「はいはい、早く食べて」

にこ「よっと……」パクッ

にこ「!!!!!」

にこ「ああああ~~、あっ、あ~~♡」

真姫「よだれ溢れてるわよ」

にこ「な、な、なによこれ、なによこれ、最高じゃないの」

真姫「ふふふ、美味しいでしょ?」

にこ「うう~、すごい」
18:2015/07/13(月) 00:49:01.65 ID:
にこ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

真姫「だ、大丈夫?」

にこ「この湧き上がる感動をどこにぶつけたら良いのかわからないのよ、あああ……」

真姫「いちいち大げさなんだから……」

にこ「ね、ねぇ、ここ寿司屋よね?」

真姫「そうよ、だから毛ガニが出てきたでしょ」

にこ「なるほどね……寿司屋って、毛ガニが出てくるのね……ふむ!」

真姫「さっきからテンションがおかしいわね」
19:2015/07/13(月) 00:54:46.10 ID:
「お造りです」

にこ「へっ?おさしみ?」

真姫「そうよ」

にこ「お寿司屋さんなのに、おさしみ……なるほどね、これもスタンダードなのね、不思議だわ」

真姫「はいはい」

にこ「マグロね、これは。やっと見慣れたやつが出てきて安心したわ」

にこ「」パクッ

にこ「んん~~!絶品ね……」

真姫「よかったわね」

にこ「いつも食べてるマグロと全然違うわ……舌でとけてるみたいな食感……あぁ~~っ!」パタパタ

ベシッ

真姫「痛っ!ちょっと、足バタバタさせないでよ、当たったじゃない」

にこ「ごめんね~」

真姫「まったく、もう」
23:2015/07/13(月) 01:00:31.54 ID:
「焼物各種になります」

にこ(いつお寿司が出てくるのかしら)

真姫「お寿司は次よ」

にこ「えっ、エスパー?」

真姫「顔見たらわかるわよ、それくらい」

にこ「なかなかやるじゃない」モグモグ

真姫「はいはい」モグモグ

にこ「あーっ、焼いたお魚は美味しいわね、凛はこんな美味しいものが食べられ無いなんて、かわいそうね~」

真姫「凛のことはいいでしょ、今は」

にこ「あれ~?雰囲気壊れちゃったかしら」

真姫「べ、別にそういう意味じゃなくて」

にこ「まぁ、凛にはまだこの店は早いわね……ふっふっふ」

真姫「調子いいんだから……」
24:2015/07/13(月) 01:04:21.11 ID:
にこ「……?」

真姫「どうしたの?」

にこ「い、いまただならぬ気配を感じたわ」

真姫「何よそれ」

にこ「く、来るわ!ついに来るわ!!あれが!」

真姫「……」



カラカラ

にこ「おお……おお、おおお……!」

真姫「もう、静かにしてよ!」


「失礼します」


「お寿司十貫でございます」



キラキラキラキラ



にこ「あ、ああああ、あああ」

にこ「ああああああ……」

にこ「はぁ、ふぅ、はぁ」

にこ「き、綺麗……輝いてる……」
27:2015/07/13(月) 01:09:53.84 ID:
にこ「中トロ、これが、中トロ」

にこ「あ、あ、あ」プルプル

真姫「手が震えてるわよ」

にこ「南無三!」パクッ



スポーン!(魂の抜ける音)



にこ「あれ?」

にこ「どこよここ」

にこ「さっきまで真姫ちゃんとお寿司を食べていて……」

にこ「どうしてこんな川沿いにいるの?」

「にこちゃ……にこちゃ……」

にこ「何か聞こえるわ」

「にこちゃん!にこちゃん!」

にこ「真姫ちゃんの声」

にこ「……」





真姫「にこちゃん、にこちゃん!」ユサユサ

にこ「はっ」

真姫「ど、どうしたのよ急に倒れて」

にこ「た、倒れてた?」

真姫「トロを口に入れたまま倒れたのよ」

にこ「あ、あはは……は、恥ずかしいわね、次から気をつけるわよ、あははは」
28:2015/07/13(月) 01:15:14.19 ID:
にこ「穴子、ウニ、ホタテ、数の子、なにかよく分からない白身の魚……」モグモグ

にこ「な、なんでこんな美味しいのよ、殺人級だわ……」

真姫「良かったわね」

にこ「本当に私が今まで食べてたのはお寿司だったのかしら、うっ、うっ」ポロポロ

真姫「ちょ、ちょっと!今度は何泣いてるのよ!」

にこ「うぅ~~美味しい、美味しいよぉ……えぐっ」

真姫(こんなに喜んでくれるなんて予想外すぎるわ)

にこ「い、イクラ……シャリの上に収まらない、この大量のイクラ……!」

パク

にこ「あぁ……♡」
31:2015/07/13(月) 01:19:23.85 ID:
「吸い物です」

にこ「ふぁぁ……お寿司、終わっちゃった……」

真姫「美味しかった?」

にこ「……言葉にできないわ」

真姫「ふぅん」

にこ「はぁぁぁぁぁ……」

真姫「長いため息……」

にこ「ちょっと、凄まじ過ぎたわ……異次元の体験……」

真姫「だから、大袈裟なのよいちいち……」

にこ(普段からこんなものばっかり食べてるのかしら……う、羨ましい……)
34:2015/07/13(月) 01:25:15.54 ID:
「デザートでございます」

にこ「♬」

真姫(本当に嬉しそうな顔してるわね)

真姫(ちょっと、どうしようかと迷ったけど……)

真姫(連れてきて良かったみたいね、ふふふ……)

真姫(はぁ、私もこんな楽しそうに生きたいわね……)


真姫「ごちそうさまでした」

にこ「ごちそうさまでした……」

真姫「さ、帰りましょ」

にこ「うん」

にこ(……水槽のカニが減ってる)

「お会計 二万円です」

にこ(聞きたくない言葉が出てきたわ)

真姫「はい、金券でお願い」

「ありがとうございました」


カラカラカラ……


にこ「ふぅ~~っ外はいいわね……なんだか、現世に帰ってきた気分」

真姫「またそんなこと言って……」
36:2015/07/13(月) 01:30:08.90 ID:
にこ「真姫ちゃん」

真姫「な、なによ」

にこ「今日はありがとう!美味しかった!」ニコッ

真姫(……!!)

にこ「こんなの初めて食べたから、舌がびっくりしちゃったけど……」

真姫「……」

にこ「あ、あれ、どうしたのよ」

真姫(はぁぁ……)

真姫(本当に、連れてきて良かった……)

にこ「どこ見てんのよ、おーい」

真姫「……はっ」

にこ「真姫ちゃんも美味し過ぎて茫然自失?」

真姫「そ、そんなわけないでしょ、にこちゃんと違って、私は慣れてるのよ」

にこ「ふぅん……」

真姫「さっ、もう夜も遅いし、帰りましょ」

にこ「そうね、帰ろ……」
40:2015/07/13(月) 01:39:24.50 ID:
一週間後


花陽「回転寿司って、大好きですっ、色々楽しく回ってて……しかも美味しい!」

にこ「はぁ、花陽、これが本物のお寿司だと思っていたら恥ずかしいわよ」

花陽「ええっ、どういう意味?」

真姫(何か言い始めた……)

にこ「まぁ、確かに美味しいけどね……最高のものを食べていたら、満足は出来なくなっちゃうのよね~~、ふふふ」

穂乃果「えーっ!にこちゃん、回らないお寿司食べたことあるの!?」

にこ「まぁ、ちょっと、ね……◯◯って店で……」

穂乃果「◯◯!そこ、お父さんとお母さんが結婚記念日だったから、私も行ったことあるよ!」

にこ「げっ……(まさか穂乃果があの味を知っていたとは……)」

海未「私も先月行きました、父と一緒に……」

にこ(そ、そんな……遅れてた?私……)

真姫「どうしたのよ、急に黙っちゃって……」

にこ「……な、なんでもないわよ、なんでも……」

にこ「あっ、コーン!」

にこ「んん~~っ……美味しいわね……」

穂乃果「にこちゃんは子供だなぁ~」

にこ「なによ、誰が子供よ!」

穂乃果「だってコーンでそんなに喜んで……」

にこ「なにが悪いのよーっ!」



真姫(……にこちゃんはにこちゃんね……)

真姫(また金券が手に入ったから、今度は……)

真姫(……どうしようかな?)
41:2015/07/13(月) 01:39:42.81 ID:
おしまい
50:2015/07/13(月) 01:53:35.57 ID:
いい飯テロだった
51:2015/07/13(月) 01:53:57.33 ID:
餌付けされるにこにーかわいい
52:2015/07/13(月) 01:55:51.40 ID:
完全に胃袋掴まれちゃってますねぇ
55:2015/07/13(月) 02:42:19.19 ID:
ほんと可愛すぎ…乙です
56:2015/07/13(月) 02:54:04.08 ID:
飯食って天国っぽいところに行くとは…にこちゃん超味覚審査員の素質があるな
63:2015/07/13(月) 07:05:52.08 ID:
いや、面白かった
今晩寿司にするわ
66:2015/07/13(月) 08:29:38.23 ID:
今日は寿司だな
なお回る模様