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:2015/06/28(日) 23:04:03.05 ID:
ことり「お前は誰だ」

鏡「」

ことり「お前は誰だ」

鏡「」

ことり「お前は誰だお前は誰だお前はだれだおまえはだれだ」

鏡「」

ことり「この鏡に映っているのが私の顔……?

あれ、私ってこんな顔だったっけ? なんか気持ち悪い……。これは誰?」

鏡「」

ことり「おまえはだれだ……なに……こわい……きもちわるい……。

私って誰? なんだっけ、なんだっけ、私こんな顔だったっけ、わたしって何?

うわ……きもちわるいなんかきもちわるい……」

鏡「」

ことり「わたしはだれだ? いやあ……やだ……」
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
3:2015/06/28(日) 23:07:48.75 ID:
海未「もしもしことり? どうしたんですか」

ことり「海未ちゃん! わたしの顔が変なの! 私の顔が、顔が……!」

海未「ことり……? 落ち着いて、なにがあったんですか」

ことり「私が……私が……ねえ海未ちゃん、わたしってことりだよね!? わたしって南ことりだよね!?」

海未「なにを……そうですあなたはことりですよ、ことり? もしもし?」



ツー……ツー……ツー……
7:2015/06/28(日) 23:23:33.89 ID:
穂乃果「――でね!」

ことり「ふんふん」

海未「ことり、穂乃果。おはようございます」

ことり「あ、おはよう海未ちゃん」

海未「ことり! 昨日の電話はなんだったんですか、心配したんですよ」

ことり「あはは……ごめんなさい」

穂乃果「なになに?」

海未「突然、『私はことりだよね?』と」

穂乃果「なんじゃそりゃー」

ことり「あのね、鏡の中の自分に向かって『お前は誰だ』って言い続けるとおかしくなっちゃうんだって。

ゲシュタルト? がなんとかかんとか? あれ、違ったかな」

穂乃果「タルト? おいしそう」

海未「それを夕べやってみたと……」

ことり「うん。本当に自分が気持ち悪くなっちゃったの。危ないからやっちゃだめだよ」

海未「あ、当たり前です。そんな恐ろしいこと」

ことり「絶対ダメだよ!」

穂乃果「ふぅーん……」
12:2015/06/29(月) 00:14:17.70 ID:
海未「ジー……」

絵里「あらっ? どうしたの海未、鏡なんて見つめて」

海未「あっ、いや、これは」

真姫「ふふっ♪ 海未ちゃんもそうだったのね」

海未「もしかして真姫も? そうなんです実は……」

真姫「自分に見とれていたんでしょ?」
海未「違います」

絵里「じゃあ何をしていたの?」

海未「れ、練習です……」

絵里「え? なんの練習って?」

海未「えがおの……練習をしていたんですっ! うぅ何度も言わせないで恥ずかしい!」

真姫「笑顔?」

海未「はい。武道は型が肝心。いつも鏡で確認しています。

同じようにアイドルは笑顔が肝心。いつものように鏡でチェックしてみようと思ったんです」

絵里「へえ。笑顔のねえ……。そうだ、一人でやるより誰かに見てもらったほうがいいわよ」

真姫「そうね。私たちが練習に付き合ってあげるからやってみて。はい」
13:2015/06/29(月) 00:20:17.36 ID:
海未「無理です恥ずかしい!」

絵里「何言ってるの! ヘンな笑顔でステージに立つほうが恥ずかしいでしょ!」

海未「……! 確かに!」

真姫(ナイスエリー!)

絵里「私たちはあなたのことを思っているの」

海未「確かに……」

真姫「そうよ。ここで私たちにかく恥なんてしれたものよ。まずは鏡に向かってはい、やってみて」

海未「では……にこっ!」

にこ「よんだ?」

海未「よんでません」
14:2015/06/29(月) 00:23:24.01 ID:
絵里「うーん、まだ表情が硬いわ」

海未「ふふ……」

絵里「なにがおかしいの……?」」

海未「今のが本気だとでも思いましたか」

絵里「ま、まさか……!」

海未「今のは軽いウォーミングアップに過ぎません」

絵里「ハッタリよ!」

海未「では見せてあげましょう。これが私の……毎日の練習の成果です! にこっ!」

にこ「よんだ?」

海未「よんでません」
15:2015/06/29(月) 00:25:47.22 ID:
海未「どうですか? 鏡の中の私のスマイルは」

絵里「たしかに……鏡の中のあなたは最高の笑顔よ」

海未「そうでしょう! 研究を重ね見つけたこの角度!

左に少し首を傾けて右から見せるんです。この角度が一番なんです!」

真姫「でも鏡だから左右反転してない?」




海未「あっ」
16:2015/06/29(月) 00:30:11.19 ID:
真姫「鏡の中の海未ちゃんはたしかになかなかの笑顔だけど……

ちょっと実物とは違うって言うか……いや、そんなに大きな違和感じゃないんだけど」

海未「そんな……鏡に映るこの笑顔は本当の私の笑顔ではないのですか……」

絵里「反転しているとほんの少し実物とは違うわよね」

海未「私はどうすれば……人間は自分の本当の姿をみることはできないのですか」

真姫「方法はあるわ」

海未「それはいったい……」

真姫「鏡に映った海未ちゃんをさらに鏡に映せばいいのよ!」

絵里「その手があったか!」

海未「さすが天才真姫!」
17:2015/06/29(月) 00:36:58.06 ID:
絵里「真姫、もう少し左!」

真姫「こう?」

海未「待って、私の顔が映らなくなってしまいました」

真姫「もっと首傾けて!」

海未「いたたたたた」

絵里「どけて海未、それじゃ私の鏡に真姫の鏡が映らない!」

海未「こうですか……いたたたたたた」

真姫「絵里、もっとかがんで! 片ひざついて」

絵里「わかったわ。海未、もう少し体そって」

海未「こう……ですか……いたたたたたた」

絵里「そうそこ! はい笑って!」

海未「に……にごっ……」

真姫「ヒドイ顔」

海未「ぞんな……」



にこ「写真……撮ってあげようか……?」



うみまきえり「その手があったかあああああああああああああああああああああああ」
19:2015/06/29(月) 00:42:47.38 ID:
花陽「あの三人、なにしてるの?」

凛「さあ。頭の悪い凛にはわからないにゃ」

希「にひひ。いやあ面白い写真が撮れた。後でみんなに送っとこ♪」

ことり「あの、そろそろ練習……」

にこ「えー? まだ穂乃果ちゃんがきてないけど?」

ことり「今日は穂乃果ちゃんは学校お休みなの」

凛「えー!? あの穂乃果ちゃんが!?」

希「今日はヤリがふるかな」
20:2015/06/29(月) 00:46:55.83 ID:
海未「ぜぇ……ぜぇ……もういいです……一人でやります」

絵里「あら、どうしたの海未、鏡なんて見つめて」

真姫「自分に見とれているんでしょ」
海未「違います」



花陽「あの……海未ちゃんはたちは何を……」

凛「もうあの三人は放っておくにゃ」



にこ「ニコはかわいい。ニコはかわいい。ニコニーは世界一かわいい」

凛「こっちはこっちで何やってるの……」
21:2015/06/29(月) 00:50:03.02 ID:
にこ「鏡の中の自分に向かっていっているのよ♪ ニコは世界一かわいいっ」

凛「……」

希「にこっち、凛ちゃん本気でひいてる」

にこ「何言ってるの。ふざけてるんじゃないニコよ。こうやって暗示をかけるの。

鏡に向かっていったことは全部本当になるんだよ♪」

希「ああ、確かにあるね。そういうの」

凛「ふぅーん……」
22:2015/06/29(月) 00:54:16.16 ID:
・・・・・


凛「……眠れないなあ」

カチ……コチ……

凛「……」

カチ……カチ……

凛「……ちょっとだけ」



カチ……



凛「誰も見てない。ここは凛の部屋。……だから大丈夫。ちょっとだけ……」



コチ……



凛「……やっぱりダメだ。凛には似合わないよ。スカートなんて」
23:2015/06/29(月) 00:55:52.00 ID:
凛「凛はほら……こんなにかわいくなくて」



鏡「」



凛「凛はかわいくなくて」



鏡「」



凛「凛は全然女の子っぽくない」
24:2015/06/29(月) 00:59:32.40 ID:
凛「”私”には……スカートなんて似合わない」



にこ『鏡に向かっていったことは全部本当になるんだよ』



凛「あっ……。

はは、本当だ。ほら、やっぱりそうなんだ……」



にこ『こうやって暗示をかけるの。ニコはかわいい。宇宙一かわいい!』




凛「わ、私は……」




凛「私はか、か、かわ……」




凛「ダメだ……」
27:2015/06/29(月) 04:14:52.39 ID:
花陽「希ちゃん、顔に何かついてるよ……アレ、擦ってもとれない?」

希「え、どれどれ? 花陽ちゃん手鏡貸して」

花陽「ごめんね、私鏡持ち歩いてなくて」

希「えー! 女子たるもの鏡くらい持ってないと」

花陽「そういう希だって持ってないとでしょ!」

希「ウチはたまたま忘れたんよ。普段はちゃーんと持ってますー」

花陽「そうなの?」

希「……」

花陽「な、なんですか」

希「昔なんかで聞いたけど、自分に自信ない子は部屋に鏡一個もないっやって」

花陽「へ、へえー。急にどうしたの?」

希「いや。なんとなく」
28:2015/06/29(月) 04:24:41.78 ID:
海未「鏡なら私のがありますよ。どうぞ」

希「おっありがと。……なんやインクが頬についてる」

凛「なんでインクなんか?」

希「あー、心当たりあり過ぎてわからん。でも海未ちゃんは意外と鏡持ってるんやね」

海未「それは……」

凛「自分に見とれるためでしょ」
海未「違います」

凛「えーちがうのー?」

海未「もう! 希、済んだなら早く返して下さい」

希「そんな急かさなくてもー。あ、もしかして使ってる途中だった? ごめんごめん」

凛「自分に見とれてたんでしょ」
希「違います」

海未「もはや私なしで成立するんですか……そのやり取り」

希「Without Umi」

凛「英語!? もしかして希ちゃんって外国人」
希「違います」

海未「しつこい!」
29:2015/06/29(月) 04:29:53.90 ID:
凛「まあまあ海未ちゃん。怒るとシワが増えるよ」

海未「増えません! そもそもまだない筈です!」

希「それはどうかな……」

海未「え……そんなまさか」

希「自分で確認してみ……はい、鏡」

海未「ど、どこにシワなんて……まさか本当に怒りすぎて眉間にシワが……」

希「あっれー? 海未ちゃん鏡なんか見つめてどうしたん?」

凛「自分にみとれてるんでしょ」
海未「違います」
30:2015/06/29(月) 04:34:59.74 ID:
ことり「……」

絵里「どうしたのことり、神妙な顔して。あの三人のバカ騒ぎはいつものことでしょ」

ことり「……」

絵里「ことり?」

ことり「凛ちゃんはもう少しかな……」

絵里「……? そ、そういえば穂乃果は今日も休みなのね。みんなでお見舞いにでも行く?」

ことり「……あ、絵里ちゃんおはよう。なに?」

絵里「えっ」
31:2015/06/29(月) 04:46:17.11 ID:
・・・・・

カチ……コチ………

凛「また眠れない……」

カチ……

希『自分に自信ない子の部屋には、鏡がないんやって』


凛「じゃあどうして……凛の部屋にはあるんだろう……」


自分に見とれてるんでしょ


凛「違います」

コチ………

じゃあこうして一人暗い部屋の鏡の前で、お前はどうしてスカートを

凛「鏡さん……教えてよ。

どうかとびっきり……かわいくしてよ」

にこ『ニコはかわいい! 宇宙一かわいい!』

カチ……

凛「私はかわ
32:2015/06/29(月) 04:50:56.97 ID:
・・・・・

絵里「それ本当?」

真姫「そうなのよ。あの二人が揃ってダウンなんて、おかしなこともあるわね」

希「ヤリどころか……オタマジャクシがふるかなこれは」

花陽「凛ちゃんまで学校お休みなんて」
37:2015/06/29(月) 14:54:05.41 ID:
海未「ブンッ! ブンッ!」

絵里「あら、どうしたの海未。鏡の前で頭振り回して」

真姫「また首いためるわよ」

海未「実は、自分の後姿が見たいんです」

絵里「自分の後姿か……確かになかなか見る機会はないわね」

海未「そうなんです。だからこうして……ブンッ! ブンッ!」

真姫「なるほど。高速で動いて鏡に映った自分の後姿を見ようとしていたのね」

海未「さすが真姫。察しがいいですね」

絵里「なるほど。理論上は『鏡に後姿が移っているうちに前を見る』ことができればそれは可能ね」

海未「そういうことです!」

真姫「私たちも手伝うわ」
38:2015/06/29(月) 15:01:03.35 ID:
海未「ブンブンッ!」

真姫「もっとはやく」

海未「ブンッ!」

絵里「もっとはやく」

海未「ブンブンブンブンブン」

真姫「どうやらダメみたいね……」

絵里「速さが足りない」

海未「私がスローリィ!?」

絵里「それすなわち、残像を残すほど速いということ」

海未「そんな……無理です」

真姫「諦めるの?」

海未「……」

真姫「あなたならできる」

海未「もう一度だけ……やってみます」

絵里「そのいきよ!」

海未「はあああああああああああああ!」
39:2015/06/29(月) 15:04:39.45 ID:
希「あら花陽ちゃん、寝グセあるよ」

花陽「えっどこ?」

希「ちゃんと朝、鏡みてる?」

花陽「ど、どこですか? 見えないよぅ」

希「ほい。こうして鏡を二枚使えば後姿も見えるよ」



うみまきえり「その手があったかあああああああああああああああああああ」
40:2015/06/29(月) 15:15:26.64 ID:
花陽「凛ちゃん、明日は来るかなあ」

ことり「さあ。どうだろうね」



・・・・・

カチ……コチ……

凛「私はかわ……」



鏡「ねえ凛ちゃん」

凛「……!?」

鏡「凛ちゃんの部屋には、鏡ってある?」

凛「あ、あるよ……」

鏡「えーあるの!? あんなに自分のことかわいくない言う癖に!?」

凛「そっ……それは」
41:2015/06/29(月) 15:17:40.21 ID:
ことり「ねえ本音のところどうなの?」

凛「凛はかわいくなんてないよ!」

ことり「本当は自分のことかわいいと思ってるんじゃないの」

凛「そんなこと、絶対にない」

ことり「夜な夜なスカート持って鏡眺めてるのに?」

凛「どうしてそれを……」

ことり「本当はわかってるんじゃないの?」

凛「や、やめて……」

ことり「本当はかわいいって言ってほしいんでしょ? 女の子っぽいって言ってほしいんでしょ?

かわいいスカート履いて……」

凛「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて」



・・・・・

ことり「大丈夫だよ花陽ちゃん。明日はきっと元気な凛ちゃんに会えるよ!」

花陽「うん……ありがとうことりちゃん」
42:2015/06/29(月) 15:34:41.90 ID:
次の日、凛ちゃんの練習儀はスカートになった。



凛「みんなおはよう」

海未「よかった凛。からだの、調子……は……?」

にこ「どうしたの凛ちゃん!? その服……」

凛「なにが?」

にこ「う、ううん。いい! 凛ちゃんかわいいニコ」

凛「ごめんね、私が休んじゃって」

絵里「いいのよ。具合はもういいの?」

凛「うふ。もう大丈夫。休んだ分今日は私が頑張らないと!」

花陽「凛ちゃん……?」

凛「さあ練習いくよー♪ かわいい私の私のかわいい私はかわいいからかわいい」

ことり「凛ちゃん、元気になってよかった」

凛「うふふふふ。ありがとう。ことりちゃんのおかげで私、本当の私に気がつけたの」


私はかわいい私はかわいい私はかわいい私はかわいいかわいいかわいい
48:2015/06/29(月) 22:49:24.79 ID:
絵里「今日はこの三人で練習よ」

海未「鏡の前で確認しながら踊りましょう」

真姫「じゃあいくわよ! スリートゥワンゼロ ここで登場」

海未「やさしげーな言葉さっさやくー」

絵里「私は誰でしょう? 知りたくなったでしょう?」

海未「私は誰でしょ……う」


ことり『鏡に向かってお前は誰だって言うと……」


海未「……!」
49:2015/06/29(月) 22:57:39.31 ID:
絵里「海未? どうしたの」

海未「やめましょう」

絵里「え?」

海未「鏡に向かって『私は誰でしょう』はダメです」

絵里「なんで?」

海未「自我が崩壊してしまうんですよ」

絵里「なにそれ? 都市伝説?」

真姫「鏡の中の自分に『お前は誰だ』と言い続けるのよ。眼を見て顔を見て。

そうするとだんだん、自分の顔が気持ち悪くなってくるの」

絵里「な、なにそれやめてよ」

真姫「ま、せいぜいお風呂に入る時や歯を磨くときに思い出さないことね」
50:2015/06/29(月) 23:03:39.03 ID:
・・・・・

にこ「今日で何日目?」

希「穂乃果ちゃんまた休みなのねえ。

それに……」

真姫「凛が来たと思ったら今日はエリーがお休みなのね」

凛「ことりちゃん、何か知ってる?」

ことり「今回は知らないよ。海未ちゃん何か言ったんじゃない?」

海未「え? どうして私なんですか。昨日まで元気でしたよ」
51:2015/06/29(月) 23:07:52.90 ID:
ことり「たとえば、『鏡に向かってお前は誰だ、と言ってはいけません』とか」

海未「……!」

真姫「言った……わね。それがなに?」

ことり「鏡を見るたびに頭によぎっちゃうんだよ。

たとえ口にしなくても……」


お前は誰だ



お前は誰だ
52:2015/06/30(火) 00:42:45.09 ID:
海未「まさか、それが原因で休んだとでも言うんですか」

ことり「本当に気がついてないんだ」

海未「何が……」

ことり「穂乃果ちゃんが休んだタイミングだってそうだよ」

海未「ことりが……鏡の話をしたあと……で、でもことりは休んでないでしょう」

ことり「ことりって誰!」

海未「えっ……」

ことり「海未ちゃんにはわからないよ。私の気持ちも、穂乃果ちゃんのことも」

海未「そっ……こ、ことり……?」

ことり「わからないでしょ? 自分が誰なのかわからないなんて感覚」

海未「わ、わからない……」

ことり「じゃあ……やってみなよ」



お前は誰だ

お前は誰だ
53:2015/06/30(火) 00:46:48.45 ID:
・・・・・

海未「お前は誰だ」

鏡「」

海未「お前は誰だ」

鏡「」

海未「お前は誰だお前は誰だおまえは誰だおまえはだれだ」

鏡「オマエハダレダ」

オマエハダレダオマエハダレアアメアオイダカレだ

鏡「お前はダメなやつだ」

鏡「親友の気持ちもわからない。親友の変化にも気づけない」

鏡「お前は誰だ」

海未「私は親友の気持ちもわからない。気づけない。

私はなんだ……? 私は……」



誰だ?
54:2015/06/30(火) 00:54:55.74 ID:
凛「海未ちゃんもぉ、学校来なくなっちゃったね。大丈夫かなぁ。てへ」

花陽「凛ちゃん」

凛「なあに?」

花陽「なんでもない……」

凛「ふぅん。それよりかよちん、ねえねえ私かわいい?」

花陽「う、うん」

凛「もっと言って! ねえ! 凛ちゃんかわいいって言って!」

花陽「あ、あの……」

凛「言ってよ! 私はかわいいんだって言って言ってもっと言って!

私はかわいいかわいいかわいいかわいい! ねえ言ってよ私はかわいいでしょかわいいよねえ!?

やだ……いやだいやだ私はかわいいんだからかわいいって言ってよじゃないとまるでかわいくないみたい!

かわいいって言って! かわいいって言って! 言って言って言って言えかわいいって言え!」
55:2015/06/30(火) 01:06:21.53 ID:
ことり「なにしてるの? 真姫ちゃん」

真姫「みてわからない? 鏡に見とれてるのよ」

ことり「そっかあ」

真姫「こんなにかわいい私ですもの」

ことり「でも、言うほどじゃないよね」

真姫「え!?」

ことり「真姫ちゃんのお部屋には、鏡がいっぱいあるんだろうなあ。

そうやって、さみしさを紛らわしてたの?」

真姫「ちょっと喧嘩売ってるの?」

ことり「え? ごめん違うよ。ただ真姫ちゃんも案外たいしたことないって話。

自分が思ってるほど、いいものじゃないと思うけどな」

真姫「バカ言わないで知性あふれるこの美貌が……」

ことり「だから、そうでもないんだって。別に不細工ってわけでもないけど。

そう。普通。真姫ちゃんは普通だよ。ごく普通」

真姫「そんなわけない! 私は特別なんだから!」

ことり「どこにでもいる顔。なんの特徴もない顔。毎日見てないと忘れちゃう顔。

ほら、その鏡をよく見てごらんよ。目も鼻も口も、ただの記号にしか見えない。

のっぺらぼうの上に、ただ記号が乗っかっているだけなんだよ」
56:2015/06/30(火) 01:14:47.52 ID:
真姫「やめてよ!」

ことり「どうして鏡から目をそらすの? あなたは自分に見とれてたんでしょ?

それとも自分の顔がただの記号になるのが恐ろしい?」

真姫「そんなわけ……」

ことり「鏡には何が映ってる?」

真姫「わたしよ西木野真姫よ。のっぺらぼうなんかじゃない」

ことり「違うよ」

真姫「えっ」

ことり「それはあなたじゃないよ。そこに移ってるのはあなたじゃない」

真姫「違うわこれはわたしよ!」

ことり「違う。それはあなたじゃない」

真姫「わたしよ!」

ことり「目閉じないで。ううん。あなたはもう目を閉じれない。目の前にいる人をみてごらん。

それはあなたじゃない。あなたじゃない。あなたじゃないの。あなたはあなたじゃないの」

真姫「きもちわるい……やめ……」

ことり「やめない。それはあなたじゃない」

真姫「わたしじゃない……? これがわたしじゃないなら……わからない顔がわからない顔がきもちわるい」
57:2015/06/30(火) 01:23:01.96 ID:
真姫「顔が……顔が……」

希「なにブツブツ言ってるん?」

真姫「いやあ! 誰!?」

希「誰って……ウチよ。ほら」

真姫「やめて顔が気持ち悪いの……顔が……顔じゃないの……顔ってなに……?」

希「……オタマジャクシがふりはじめたか」

真姫「ふってないわよ」

希「……。やだもー! 顔が気持ち悪いなんてひどいー。

ほら、この写真みて。これがウチで、これが真姫ちゃん」

真姫「やめてみせないで!」

希「ちゃんと見て! これはあなた! これは真姫ちゃんだよ大丈夫!」

真姫「う……ハア……」

希「大丈夫だから。これは真姫ちゃんだから」

真姫「……」

ことり「希ちゃん」

希「……! ことりちゃん」
62:2015/06/30(火) 01:33:11.86 ID:
ことり「だからさあ……それ、やめてよ」

希「ことりちゃんこそ一体……」

ことり「ことりって誰!」

希「みんなをどうしたいの?」

ことり「ほらまた知ったような口きく。見透かしたような態度とる」

希「鏡なんて……真実じゃない! 鏡が移すのは自分じゃない!

だから鏡に映るものを否定しても自分を否定することにはならない!

だからウチは鏡がだいっ嫌い!」

ことり「つまり希ちゃんは自分がだいっ嫌いなんだね」

希「違うよ」

ことり「じゃあ写真は真実なの? それを指して『これはウチ』なんて言ってたけど」

希「それは」

ことり「それは希ちゃんじゃないよね?」

希「だって……写真は大切な思い出だから……」

ことり「鏡も写真も何が違うの? どっちも真実じゃないでしょ」

希「違うよ写真は思い出を形に残して……」

ことり「形にしなきゃ残せない程度の思い出がなんですか?」
63:2015/06/30(火) 01:44:20.13 ID:
希「そっ、れは……いや! 私は負けないよ! 私は私!」

ことり「お前は誰だ」

希「ウチは東條希。たとえ自分で自分を否定しても、みんながウチをそう呼んでくれる」

ことり「みんながそう呼んでいるのも、記憶の中だけでしょ?

仮に今呼ばれたとしても、次の瞬間には過去になってる。今のあなたを証明するものってなに?

ねえ希ちゃん」

希「その記憶が、思い出が自分でしょ。その記憶が私を私たらしめている」

ことり「じゃあその記憶が本物だってことを証明してよ」

希「ヘリクツやめてよ。ウチはあなたと哲学を論じたいわけじゃない」

ことり「毎日家で一人、写真をながめることで安心してるくせに」

希「なんでそれ……」

ことり「本物かどうかわからない記憶を真実かもわからない写真におさめて満足ですか?」

希「じゃ……じゃあ何が自分が自分であると証明するっていうの!」

ことり「そんなものないよ」
65:2015/06/30(火) 01:53:22.55 ID:
ことり「生まれた身体は今はもう細胞ひとつ分子ひとつも残ってない。

生まれてから今まで連続的な意識もない。どこかで途切れて、その後と前のつながりを証明するものもない。

自分が自分である証拠なんて、どこにもないんだよ」

希「そんなの……そんなのこわいよ……」

ことり「もう一度聞くよ」



お前は誰だ



希「わ、わからない……でも、でもみんなが私を希って呼んでくれるから……」

ことり「そうだね。自分って誰かが承認してくれないとなくなっちゃうんだよ。

私たちは、誰でもないんだよ。やっと認めてくれたね」

希「い、いや……だ、誰か! 誰か私を呼んで! 私って希だよね!?

誰か! 私はだれ、だれ? 答えてよ!」
66:2015/06/30(火) 01:55:46.23 ID:
ことり「……」

希「ことりちゃん! 私は誰なの!? 私を呼んで! じゃないと私……」

ことり「ことりって誰?」

希「あ……」




ほら。もう誰も誰でもない。
67:2015/06/30(火) 02:00:09.92 ID:
にこ「にっこにっこにー! ニコはかわいい! ニコは宇宙一かわいい!」



お前は誰だ



にこ「ニコは大銀河宇宙ナンバーワンアイドル!」



お前は誰だ



にこ「誰がなんと言おうとニコはにこニコ♪ かわいいにこニコ♪」



お前は誰だ




にこ「よくわかんないけどー、ニコがかわいいならそれでいいよね♪」



ちょっ……



にこ「ニコはかわいい♪ ニコはかわいい♪ にっこにっこにー!」
69:2015/06/30(火) 02:13:37.03 ID:
顔なんて記号だよ。鏡に映ってるのはあなたじゃない

にこ「それでもニコがかわいいってことは揺るがないよ」

あなたが矢澤にこである証拠なんてどこにもない

にこ「もし私が矢澤にこじゃなくても、私がかわいいってことは揺るがないニコ」

自分が誰かわからないくせに?

にこ「自分が誰だったとしても、ニコはかわいいニコ。

なにが真実だとか真実じゃないとか、自分が自分である証明ができないとか。だからなに?

そんなもの、とっくの昔にどうでもいいのよ。わかった? ことり」

ことり「ことりって誰?」

にこ「知らないわよそんなの。ただ私の便宜上あなたをことりって呼ぶことにしてるだけ」

ことり「あなたってほんと……」
76:2015/06/30(火) 15:07:45.19 ID:
にこ「さて、ことりちゃん。ニコにまだ何か用? ねえことりちゃん。どうなのよことりちゃん聞いてる? ことりちゃん」

ことり「だから……私は……ことりちゃんじゃない!」

にこ「ことりちゃんがことりちゃんのことをことりちゃんだと思ってなくてもニコはことりちゃんをことりちゃんて呼ぶよ。

だってことりちゃんはことりちゃんだもん。なんか難しいこといろいろあるみたいだけど、ことりちゃんはことりちゃんでいいんだよ」

ことり「ことりちゃんことりちゃんことりちゃんことりちゃんうるさい!」

お前は誰だ

ことり「私はことりちゃんじゃない!」

私は誰だ?

本当の私に気がつけたの

私は最低です……

顔が……顔が……

誰かウチを呼んで!

にこ「希ちゃん」

私は誰だ?

本当の私に気がつけたの

私は最低です……

顔が……顔が……

希「誰かウチを呼んで!」
77:2015/06/30(火) 15:09:32.63 ID:
にこ「真姫「ちゃん」

私は誰だ?

本当の私に気がつけたの

私は最低です……

真姫「顔が……顔が……」

希「誰かウチを呼んで!」

にこ「海未ちゃん」

私は誰だ?

本当の私に気がつけたの

海未「私は最低です……」

真姫「顔が……顔が……」

希「誰かウチを呼んで!」
78:2015/06/30(火) 15:11:36.18 ID:
にこ「凛ちゃん」

私は誰だ?

凛「本当の私に気がつけたの」

海未「私は最低です……」

真姫「顔が……顔が……」

希「誰かウチを呼んで!」

にこ「ことりちゃん」

ことり「私は誰だ?」

凛「本当の私に気がつけたの」

海未「私は最低です……」

真姫「顔が……顔が……」

希「誰かウチを呼んで!」

にこ「大丈夫。ニコが何回でもみんなの名前を呼んであげるよ」
79:2015/06/30(火) 15:16:55.24 ID:
ことり「……もういいや」

にこ「ことりちゃんはことりちゃんだよ。ことりちゃんでいいんだよ」

ことり「っふふ」

にこ「なにかおもしろかった?」

ことり「うん……ふふ。わかった。いいよ。全部教えてあげるから、行こうよ」

にこ「どこに?」

ことり「みんなで行ってみようよ。ことりちゃんの家に」
80:2015/06/30(火) 15:42:37.89 ID:
ピンポーン……

「はーい」

にこ「自分の家なのにインターホン?」

こトリ「いいからいいから」

ガチャガチャ

「いらっしゃい。あれ、みんなも」

にこ「……? この子は誰?」

ことり「……」

「え?」

ことり「ことりちゃんは……あれから一回も学校に来てないんだよ」

「みんなでおみまいにきてくれたの? ありがとう」



にこ「ちょっと待ってよじゃあ……」



あなた誰なの……?
81:2015/06/30(火) 15:58:06.81 ID:
ことり「……? ごめんね、何日も休んじゃって」

にこ「この子が……ことり……?」

ことり「どうしたの? にこちゃん」

にこ「そ、そうよ、そうだ!」

「言ったじゃない。記憶が正しい証拠なんてない」

にこ「あなた誰よ!」

「だからさぁ……私はことりじゃないって言ってたじゃん。

『ことりはことりでいいのよ』だっけ? ぷぅー! はずかしー!

誰かわからない人にそんなこといって本物のことりちゃんはほったらかしって!」

にこ「や、やめて……」

「自分ばっかでメンバーのことなんかどうでもいいあなたにお似合いだよね!」

にこ「そんなことないもん……」

「鏡に向かってかわいいかわいいって暗示をかけるんでしょ? 暗示って! そうでもしなきゃ自分を保てなかったぁ?」

にこ「あ……ア……」

「ほらみんな、こんな人に名前を呼ばれたくらいで自分を自分だと言える?」
82:2015/06/30(火) 16:05:47.23 ID:
希「にこっち……」

海未「にこ……」

真姫「にこちゃん……」

凛「にこちゃん……」

にこ「やめてよやめて! こんなのニコじゃない! わからないわからない! みんなが誰かわからない……

そんなのありえない! こんなのスーパーアイドル矢澤にこなんかじゃない!」

海未「それじゃあ……」

「また自分が誰か……」

わからなくなっていく……



「ほら、あなたが名前を呼んであげないと」

にこ「……」

「私のこともうことりちゃんって呼ばないの?」

にこ「だってあなたことりちゃんじゃないじゃない……」

「そうだね。みんなも本当にみんなか確証持てないよね」

にこ「……」

「あなた自身もだよ」



お前は誰だ
83:2015/06/30(火) 16:14:52.96 ID:
もう誰が誰かわからない

「私って誰なの? ねえ誰か!」

「お前は誰だ……お前は誰だ……」

お前ってなに!? 私ってなに!?

私って本当に私なの!?

「私って私でいいんだよね、誰か答えてよ!」

もう誰も誰でもない

「お前は誰だ、お前は誰だ……ふふ。みんな鏡をのぞいてごらんよ。

それはあなたじゃないよ……聞いてみなよ。あなたはだぁれ?」




ことり「待って、どうしてそんなひどいこと言うの? 私が休んでいる間みんなに何をしていたの?

穂乃果ちゃん」

穂乃果「さあ。でもひどいのはみんなだと思わない? 私のことことりちゃんって呼ぶんだよ」
85:2015/06/30(火) 18:40:56.98 ID:
・・・・・

第二回ラブライブ出場を決める前。

開催されることを知ったみんなは口をそろえて出場しようと言った。でも……。

穂乃果「出なくてもいいんじゃない?」



そう言った私にみんなは……。



海未「穂乃果、自分の顔が見えますか?」

穂乃果「みえ……ます……?」

海未「では……”鏡の中の自分はなんと言っていますか!?”」



私はみんなで歌って踊って、みんなが幸せならそれで……



凛「”穂乃果ちゃんらしくないよ!”」



じゃあこの鏡に映っているのは誰なの? 私ってなんなの?

私らしさを決めるのは……私ではないの?

穂乃果「お前は誰だ……お前は誰だ……お前は誰だ……」
86:2015/06/30(火) 18:49:18.11 ID:
わたしはわたしがだれだかわからなくなった。

みんなのこともわからなくなった。

そうしてわたしはきがついた。わたしなんてものはどこにもない。

それをみんなにもおしえてあげなきゃとおもった。



ことりちゃんに「お前は誰だ」を教えた。

ことりちゃんは実践して、そうして次の日から学校に来なくなった。



「それはおかしいです! 私の記憶では二人とも……」

「何回言わせるの? 記憶なんて何の意味もないんだよ。

みんな最初から壊れていたんだよ。それを……鏡をじっと見つめれば見えてくる」
87:2015/06/30(火) 18:53:45.14 ID:
・・・・・>>7

海未「――でね!」

海未「ふんふん」

海未「ことり、穂乃果。おはようございます」

海未「あ、おはよう海未ちゃん」

海未「ことり! 昨日の電話はなんだったんですか、心配したんですよ」

海未「あはは……ごめんなさい」

海未「なになに?」

海未「突然、『私はことりだよね?』と」

海未「なんじゃそりゃー」

海未「あのね、鏡の中の自分に向かって『お前は誰だ』って言い続けるとおかしくなっちゃうんだって。

ゲシュタルト? がなんとかかんとか? あれ、違ったかな」

海未「タルト? おいしそう」

海未「それを夕べやってみたと……」

海未「うん。本当に自分が気持ち悪くなっちゃったの。危ないからやっちゃだめだよ」

海未「あ、当たり前です。そんな恐ろしいこと」

海未「絶対ダメだよ!」

海未「ふぅーん……」
88:2015/06/30(火) 19:00:04.03 ID:
穂乃果「どうしたの海未ちゃん、鏡なんか見つめて」

海未「鏡? 何を言っているんですかことり」

穂乃果「自分に見とれてたんでしょ」
海未「違います」

穂乃果「海未ちゃん、それは鏡だよ」

海未「なにをおかしなことを。ねえ穂乃果」

鏡「そうだよー! ヘンなことりちゃん!」

穂乃果「待ってよ! 穂乃果は私だよ!」

海未「ラブライブ、頑張りましょうね。穂乃果」

鏡「うん! よーし頑張るぞー!」

海未「それでこそ穂乃果です。『出なくてもいい』なんて穂乃果が言うはずなかったんです」
90:2015/06/30(火) 19:05:23.54 ID:
海未ちゃんに教えてあげなくちゃ。真実を。

それは私ではないと言うことを。

ああ、もう、私は私ではなく、海未ちゃんも海未ちゃんではない。

みんなもうみんなじゃないんだ。誰も誰でもないんだ。

鏡を通して教えてあげよう。みんな、鏡を見て。

本当がなんなのか聞いてみよう。

お前は誰だお前は誰だお前は誰だおまえはだれだ

オマエハダレダ
91:2015/06/30(火) 19:09:46.82 ID:
そうして全ては終わった。

誰もが誰でもなくなったの。

今こうして喋っているのも誰かわからない。

私かもしれないし、ほかの誰かかもしれません。

これはある意味、みんなが一つになったってことやん。

今日も私は鏡の前でこうつぶやくにゃ。「お前は誰だ」

全部終わったんだ。
92:2015/06/30(火) 19:16:26.97 ID:
・・・・・






花陽「でも、まだ私がいるよ? 私はまだ花陽のままだよ? 穂乃果ちゃん」

穂乃果「花陽ちゃん……? どうして!?」

花陽「私の部屋には……鏡がないから」
93:2015/06/30(火) 19:45:09.63 ID:
穂乃果「花陽ちゃんは……鏡を見ない……?」

花陽「うん」

穂乃果「なら誰よりも早く……」

花陽「うん。私はドンくさくて……そう。劣等感の塊で、だからいつも自分がおぼろげだった。

だから今更……自分が誰かわからなくなったくらいで、自分を証明できないくらいで……。

壊れられるほど、私の自意識は強くない」

穂乃果「そんなのずるいよ! それじゃ私が……」

花陽「別に、あなたが穂乃果ちゃんじゃなくてもいいよ。誰でもなくていい。

私も、別に小泉花陽じゃなくたっていいんだ。もういいよ。このままで。

私は無理にあなたに自分を見出させたりしない。わからないならそのままでいいよ」

「いいの……? 今まで誰も、それを許してくれなかったよ」

花陽「いいと思う。もう私たち九人みんな、誰でもなくていいよ。一人ひとりはなんでもないんだと思う。

そのかわり、九人でμ’sってことにしよう。あ、いやなら別にいいですけど……」
95:2015/06/30(火) 19:58:09.77 ID:
皮肉な話ですよね。

誰より自意識のなかった私だけが、最後まで自分であり続けることができた。

強すぎる自我は何より人間らしいけど……

鏡という名の自分を否定したり、愛したり、暗示をかけたり問いかけたり。

疑問を持ってしまったら最後、あらゆるものに意味はなく、あらゆるものに理由はなく、あらゆるものの起源がなくなる。

私の友達たちも、鏡に囲まれ、自分を見失ってしまいました。

だから私は、友達のためにこの世すべての鏡を叩き割り、この世すべての写真を燃やし尽くしましょう。

ふふふ。この世に鏡なんていらないんです。鑑なんていらないんです。

自分なんてものがあるからいけないんです。
96:2015/06/30(火) 20:02:25.29 ID:
一人目「1」

二人目「2」

三人目「3」

四人目「4」

五人目「5」

六人目「6」

七人目「7」

八人目「8」

九人目「9」

μ’s「μ’sミュージックスタート!」



それが誰であるかなんてことはどうでもいいんです。

だって、ここには確かに九人いるんだから。




ハッピーエンドですよね?
97:2015/06/30(火) 20:07:14.33 ID:
・・・・・



絵里「お前は誰だ……お前は誰だ……おっかしいなぁ……。やり方がよくわからないわ……」

亜里沙「もうお姉ちゃん! いつまで学校休んでるの!」



ことり「お前は誰だ」

終劇
101:2015/06/30(火) 21:14:24.88 ID:
面白かったと思う
最後まで見入ってたから
103:2015/06/30(火) 21:49:01.73 ID:
一番狂ってるのは誰だったんだろう。
変なss書いて悪い扱いした子もいてすみませんでした
105:2015/07/01(水) 00:47:58.86 ID:


ゲシュタルトっておもしろいね
107:2015/07/01(水) 02:03:28.62 ID:
諸法無我ずら
2期見る限り彼女らの中では「9人のなかの私」が強いアイデンティティになってそうだなって思ってたので
この締め方好き
109:2015/07/01(水) 05:05:16.41 ID:
1番かしこくないのはエリーだな