1:2014/11/13(木) 02:00:29.91 ID:
2期3話 ライブパートからのif
書き溜め有


■UTX学園 屋上

穂乃果「それじゃ、いくよ!」

穂乃果「μ's!」

『ミュージック、スタート!!』


~ユメノトビラ~


花陽(うう…緊張で身体がうまく動かないよぉ)

花陽(今まであれだけ練習したのに、頭の中が真っ白になりそう)

花陽(ダレカタスケテェ)

花陽(あっ、いけないテンポ遅れちゃ…って)

花陽「きゃっ!?」

ドサッ

凛「か、かよちん!?」

絵里「花陽!? 大丈夫!?」

にこ「ストップストップ! 音楽止めて!」

花陽「いたた…」

真姫「花陽、大丈夫!?」

花陽「ご、ゴメンなさい! すぐ立ちます!」

穂乃果「花陽ちゃん大丈夫!? 痛いとこない?」

花陽「う、ううん。大丈夫」

海未「大丈夫ではありません! 花陽、ちょっと足を見せてください」

花陽「え!? ほ、本当に大丈夫だから…」

希「アカンよ花陽ちゃん。あんな派手に転倒したんやし、足痛めてるかも」

海未「真姫、花陽を支えてますから足を診てあげて下さい」

真姫「分かったわ。花陽、ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」

花陽「だ、ダメ! ……っ!」

ことり「真姫ちゃん、どう?」

真姫「…軽い捻挫ね」
3:2014/11/13(木) 02:01:17.13 ID:
花陽「だ、大丈夫! まだ踊れるから」

絵里「ダメ! そんな状態で踊るなんて無茶よ」

花陽「でも…ラブライブが」

凛「今はかよちんの身体の方が大事だよ!!」

花陽「凛ちゃん…」

ツバサ「貴女達、大丈夫!?」

あんじゅ「外野から見てもこれはヤバいってくらい派手に転んでたけど」

海未「すみません、保健室をお借りしてもよろしいですか?」

英玲奈「もちろんだ。私が案内しよう」

海未「有難うございます。ほら花陽、保健室へ行きますよ」

花陽「でも、まだ予選が」

にこ「いいから行くの!」

絵里「肩貸すわ。海未、反対側お願い」

海未「はい」

英玲奈「こっちだ」

ツバサ「じゃあ私は先に保健室行って準備するわ」

あんじゅ「私も行くー」

花陽(ど、どどどどうしよう! このままじゃラブライブ出場どころか予選通過もできなくなっちゃう!)

ことり「…穂乃果ちゃん、どうしよう?」

希「……」

凛「……」

真姫「……」

穂乃果「ライブは中止しよう。花陽ちゃんの方が大事だもん」

にこ「」ギリッ

ことり「そう…だよね。花陽ちゃんがいないんじゃ、9人じゃないんじゃ、μ'sじゃないもんね」

穂乃果「私たちも保健室に行こう。花陽ちゃんが心配だし」

ことり「うん…」

凛「かよちん…」
4:2014/11/13(木) 02:02:18.43 ID:
■一週間後 音ノ木坂学院 屋上

ガチャ

凛「お待たせー」

にこ「遅い!」

真姫「しょうがないじゃない、掃除当番だったのよ」クルクル

絵里「花陽は?」

凛「今日も休みだって」

穂乃果「花陽ちゃん、あの日から一度も顔合わせてないね」

真姫「そもそも、学校にも来てないわ」

ことり「怪我、まだ良くならないのかなぁ」

凛「足の怪我はもう治ってるって。おばさんから聞いたよ」

海未「それじゃあ欠席の理由は」

希「精神的なモノやろね」

凛「かよちん、すっごく落ち込んでた」

にこ「別にあの子のせいじゃないんだし、誰も責めないわよ」

凛「うん、そうだけど…かよちん、ずっと気にしてるみたいで」

絵里「顔を合わせたくないっていう気持ちは分かるけど、このままじゃ何も進展しないし、そろそろ花陽も交えて今後のことを話し合わないと」

穂乃果「そうだね。ラブライブには出れなくても、μ'sの活動は終わったわけじゃないしね!」

海未「しかし、無理やり連れて来るわけにはいきませんし、どうすれば」

ことり「皆でお見舞いに行って、さり気なく話すのはどうかな?」
5:2014/11/13(木) 02:02:46.58 ID:
希「でも、大人数で行くのは迷惑にならんかな」

ことり「あ、そっか…」

絵里「凛、どうにかしてあの子を説得できないかしら」

凛「え、凛が?」

海未「この中では凛が一番長い付き合いですからね。花陽も耳を傾けてくれると思いますよ」

凛「うーん、確かに毎日お見舞いは行ってるけど。かよちん、ずっと部屋に閉じこもってるんだ」

にこ「想像以上に重症じゃない」

ことり「でも、凛ちゃんが相手なら花陽ちゃんも気まずい思いしないんじゃないかな」

真姫「そうね。幼馴染の特権ってやつかしら」

凛「…分かった。頑張って説得してみる!」

絵里「お願いね」

穂乃果「じゃあ今日はこのまま解散しよう!」

海未「では穂乃果、溜まってる生徒会の仕事を消化しましょうか」

穂乃果「えー、今日はこのまま遊びに行こうよー」

海未「駄目です」

穂乃果「ブー! 海未ちゃんのケチ!」

ことり「あはは…」
6:2014/11/13(木) 02:03:30.93 ID:
かよちん…

見てます!
8:2014/11/13(木) 02:10:26.78 ID:
■同日 花陽の部屋

花陽(もう、一週間か)

花陽(今更合わせる顔なんて、ないよ)

花陽(皆の努力を、花陽のドジで全部台無しにしちゃったんだもん)

花陽(顔向けなんて、出来ないよ…)グスッ

コンコン

凛「かーよちん、お見舞いに来たよ」

花陽(あっ、凛ちゃん)ゴシゴシ

凛「かよちん、具合はどう?」

花陽「う、うん…平気、だよ」

凛「そっか。それなら良かったニャ」

凛「今日はね、かよちんに大事な話があるんだ」

花陽「?」

凛「ドアは開けなくていいから、そのまま聞いてね」

凛「かよちん…一度、皆の前に顔出そう?」

花陽「……!」

凛「穂乃果ちゃん海未ちゃん、ことりちゃん真姫ちゃん、絵里ちゃん希ちゃんにこちゃんも心配してるよ」

凛「それに、凛だって」

凛「かよちんの顔、あの日以来一度も見てないよ」

凛「みんな、かよちんが帰ってくるの待ってるんだよ?」

花陽「……そんなこと、ないよ」

凛「かよちん?」

花陽「花陽のせいで、ラブライブ出れなくなっちゃったんだよ? 花陽なんて、もういらない子だよ…」

凛「何言ってるの! そんなことないよ!!」

花陽「アイドルなんて、花陽には無理だったんだよ。頭もよくなくて、ドジで可愛くもない花陽は、いらない子なんだよ」

凛「かよちん! いい加減凛も怒るよ! そういう話はしないって、約束したじゃん!」

花陽「無理だよ……だって、だって花陽が、花陽が悪いんだもん……」グスッ

凛「かよちん、それ以上言ったら絶交するよ!」

花陽「」グスッ

凛「誰もかよちんを責めたりなんてしないよ? みんな、かよちんを心配してるんだよ? ずっと、帰りを待ってるんだよ?」
9:2014/11/13(木) 02:11:21.96 ID:
凛「それに、かよちんには凛がついてるよ!」

花陽「……」

凛「明日の朝、迎えに来るからね。絶対に学校行こうね、約束だよ!」

凛「凛はもう帰るけど、絶対絶対、明日は学校連れてくからね!」

凛「…じゃ、また明日ね」

花陽「…」

花陽「……」

花陽「………」

花陽「花陽の、バカ。バカバカバカ!」

花陽「凛ちゃんにあんな態度取っちゃうなんて…」

花陽「……学校、行かなきゃ、だよね」

花陽「許してもらえないだろうけど、それでも、ちゃんと謝らなくちゃ」

花陽「うん、そうしよう」


■翌日 音ノ木坂学院 屋上

凛「というわけで、連れてきたニャ」

花陽「……」

穂乃果「花陽ちゃーん、怖くないから出ておいでー」チッチッチ

海未「穂乃果! ふざけてる場合ですか」

穂乃果「ふざけてなんてないよー! 花陽ちゃんがドアの隙間から出てこないんだもん」

真姫「もう、早く来なさいよ」クルクル

希「花陽ちゃん、3つ数える間に出てこないとワシワシMAXやで?」

にこ「ひとーつ」

ことり「ふたーつ♪」

花陽「ま、待って!」ガチャ

絵里「おかえり、花陽」ニコッ

花陽「た、ただいま…」

海未「怪我の方はもういいのですか?」

花陽「う、うん。今はもう大丈夫」

希「そんなに怖がらんでもええんよ。誰も取って食べたりしないから」

花陽「うん…」
11:2014/11/13(木) 02:12:57.57 ID:
凛「かよちん緊張しすぎ! ほら、リラックスリラックス」

絵里「ごめんなさい、強引に連れ出すようなことになって。でもね花陽、これは大切なことなの」

海未「これからのμ'sのことを考えなくてはいけませんからね」

花陽「えっと、ね。そのことなんだけど」

希「ん、どしたん?」

凛「かよちん?」

花陽「わ、私」

花陽「μ'sを抜けようと思ってるの」

にこ「はぁ!?」

真姫「イ、イミワカンナイ!!」

ことり「花陽ちゃん!? 何言ってるの?」

花陽「だって、今回のことは全部花陽が悪いんだもん。お荷物の花陽はいないほうがいいって、思ったの」

海未「花陽、本気でそんなことを思ってるのですか?」

花陽「…本気、だよ」

花陽「今日はね、それを言おうと思って。花陽のせいでラブライブ出場できなくなって、本当にごめんなさいって、謝ろうと思って」

穂乃果「駄目だよ花陽ちゃん! 花陽ちゃんが抜けたらμ'sじゃなくなっちゃうんだよ!?」

花陽「そんなことないよ。花陽がいない方が、きっといいんだよ」

凛「かよちん、それ本気で言ってるの?」

花陽「ごめんね凛ちゃん。花陽から誘ったのに、こんなことになって」

にこ「アンタ…言って良い冗談と悪い冗談があるわよ」

花陽「冗談なんかじゃないよ、にこちゃん。花陽はこの一週間、ずっと悩んでたんだよ」

花陽「本当に自分はアイドルなんて出来るのかって。今まではみんなの支えがあったからなんとかなったけど」

花陽「今回のことで、やっぱり花陽はアイドルには向かないんだって、思い知ったんだ」

花陽「だから、ゴメンなさい」

にこ「アンタね…!」
12:2014/11/13(木) 02:13:39.77 ID:
絵里「……」スタスタ

希「エリち?」


パァンッ


穂乃果「え、絵里ちゃん!?」

花陽「!?」

絵里「甘ったれたこと言わないで!」

絵里「アイドルに向かない? そんなこと誰が言ったの!? 誰が決めたの!?」

絵里「そうやって自分を卑下して、自分の殻に閉じこもるような真似しないで!!」

絵里「そんなの、卑怯で臆病な人間がすることよ!!」

希「エリち! 落ち着いて!」

花陽「…だって」

凛「か、かよちん? 大丈夫?」

花陽「だってしょうがないよ! 花陽は、絵里ちゃんみたいに強くないんだもん!!」

絵里「私だって強くなんかないわよ! 今だって、皆がいてくれるからここにいれるの!」

花陽「違うよ絵里ちゃん…私は。花陽は、弱い子なんだよ」

絵里「まだそんなこと言うの!?」

海未「絵里! 駄目です!!」

真姫「エリー、興奮しちゃダメ!」

花陽「私は、アイドルに憧れてるだけで、十分だったんだよ」

絵里「見損なったわ、貴女…その程度の気持ちでμ'sにいたっていうの?」

花陽「だって」

絵里「いいわ、もう。聞きたくない」

絵里「花陽、貴女μ's辞めたいって言ったわよね」

穂乃果「え、絵里ちゃん?」

絵里「丁度いいわ。そんな気持ちでこのままいられちゃ足手まといだもの。出て行ってもらえるかしら」

にこ「ちょっと絵里! アンタ何言ってるの!?」

花陽「絵里ちゃん…」

絵里「聞こえなかったかしら、ここから出て行って言ったの」

海未「絵里!!」
14:2014/11/13(木) 02:15:04.65 ID:
絵里「出て行きなさい!!」

花陽「……っ!」ダッ バタンッ

凛「かよちん!!」

海未「凛! 花陽を!」

凛「分かった!」ダッ

絵里「………」

希「エリち、いくらなんでも言い過ぎや」

ことり「いつもの絵里ちゃんらしくないよ?」

真姫「大丈夫かしら、あの子」

絵里「放っておきなさい」

希「エリち!」

絵里「いいのよ、生半可な気持ちでやられるのは迷惑だもの」

絵里「あの子もそれを望んでたんだから、それでいいじゃない」

海未「」イラッ

絵里「もういいでしょ、離してよ」

海未「絵里、花陽に謝ってください」

絵里「嫌よ」

海未「謝りなさい!」

絵里「嫌」

ことり「う、海未ちゃん落ち着いて」

穂乃果「ど、どうしよう…ねえにこちゃん、どうしたらいいの?」

にこ「狼狽えるんじゃないわよ、リーダーでしょ!」

穂乃果「でも、でも…」

希「ハイハイそこまで! まずはみんな頭冷やそ?」

希「エリち、この後ちょっと付き合ってもらうよ」

絵里「勝手に決めないd希「拒否権はなし」

希「というわけで、今日のところは解散しよか」

にこ「そうね、この状態じゃ何も進まないわ」

真姫「イミワカンナイ…」クルクル
15:2014/11/13(木) 02:20:38.77 ID:
■学園前

凛「かよちーん! 待ってー!!」

花陽「ハッ…ハッ…!!」

凛「お、追い付いた!」ガシッ

花陽「は、離して!」

凛「かよちん! 凛の目を見て!」

花陽「……」

凛「はぁ…はぁ…、絵里ちゃんも本心で言ったんじゃないよ、きっと。かよちんを心配してるから怒ったんだよ?」

花陽「そんなこと、n凛「あるよ!!」

凛「かよちん、昔からアイドルになるの夢だったじゃん。なんで、諦めちゃうのさ」

花陽「それは、私じゃアイドルなんて向かないから」

凛「そんなこと誰が決めたの?」

花陽「……」

凛「かよちんが勝手に思ってるだけでしょ? 凛知ってるよ、かよちんは誰よりも努力してるってこと」

凛「歌も振り付けも、人一倍練習してたの、凛知ってるよ」

凛「みんなだって努力して練習してるのは知ってる。でも、かよちんはもっと頑張ってるじゃん!」

凛「誰よりもアイドルが好きで、誰よりもアイドルに憧れてて、誰よりもアイドルになりたくて」

凛「そんな強い気持ちを持ったかよちんのこと、凛はずっと見てきたんだよ?」

凛「かよちん、μ'sに戻ってきてよ」

凛「μ'sはね、9人いて初めてμ'sなんだよ?」

凛「いらない子なんて、誰もいないんだよ?」

花陽「だって、私は…」

凛「花陽ちゃん!!」

花陽「!」ビクッ

凛「凛も本当に怒るからね。凛はかよちんの味方だけど、味方だからこそ、かよちんが間違った方向に行こうとしたらちゃんと叱るんだからね」

凛「正直に言うとね、凛もあの時すっごく不安だったんだよ」

凛「もし失敗したらどうしよう、自分がコケちゃったらどうしようって、ずっと不安で仕方なかったんだよ」

凛「でも、みんな同じように不安を抱えてた。それでも頑張った。不安に押し潰されないように、全力で」

凛「少なくとも、凛は後悔してないよ。だって全力で歌って踊ったもん」

凛「みんなもきっとそう。結果なんてそこまで大切じゃなかった。みんなで一緒に思い出を作れることが一番大事なんだよ」
16:2014/11/13(木) 02:21:30.89 ID:
凛「だからね、独りで抱え込まないで?」

凛「もっと、みんなを頼っていいんだよ?」

凛「凛たち、大事な友達じゃん!」

花陽「凛、ちゃん……!」ジワッ

凛「あっ、泣き虫かよちんみーっつけた!」ダキッ

花陽「きゃっ!?」

凛「いい子いい子、かよちんはよく頑張ったよ」ナデナデ

花陽「り、凛ちゃん…ここお外だよ。恥ずかしいよ」

凛「いいの! 泣き虫かよちんを助ける方が大事なの!」

花陽「うぅ…」

凛「落ち着くまでこうしててあげるから。後でちゃんと謝りにいこ?」

花陽「でも、私は」

凛「誤りに行かないなら、ずーっとこのまま頭なで続けるよ!」

花陽「そんなー…ダレカタスケテェ」

凛「ともかく、今はこの凛お姉ちゃんの胸に甘えてなさい」エッヘン

花陽「……うん」


■公園

希「エリち、少しは落ち着いた?」

絵里「元々落ち着いてるわよ」

希「ウソはいかんよ。エリち、花陽ちゃんに昔の自分を重ねてたんと違う?」

絵里「何のことかしら」

希「エリちは本当ウソが下手やね」クスクス

絵里「からかうためだけに呼んだのなら帰るわよ」

希「んもぅ、つれないなー♪」

絵里「それで、話って何かしら?」

希「さっきの話、花陽ちゃんと昔のエリちを重ねて見てたってこと」

絵里「だから違うってば!」

希「ええんよエリち、ウチの前では見栄張らんでも」

希「これでもエリちとは長い付き合いやし、考えてることはお見通しなんよ?」
17:2014/11/13(木) 02:22:46.29 ID:
絵里「はぁ…。分かった、観念するわよ」

希「うむ、素直でよろしい」

絵里「確かに花陽を見てると、昔バレエに打ち込んでた頃の自分を思い出すの」

絵里「あの頃は無我夢中だった。頑張れば頑張った分、周りの大人達は褒めてくれるし、私自身それが楽しくて頑張った」

絵里「でも、ある時ね。急に熱が冷めちゃったの。今思えばそれは、限界の壁にぶつかったからなのだと思う」

絵里「世の中には私より実力のある人間なんて沢山いる。だったら、これ以上頑張ったって無駄なんだって。現実から目を背けて自分に言い聞かせた」

絵里「それからかな、私が物事に本気で打ち込むことがなくなったのは」

絵里「…本当は怖かった。限界まで努力しても報われないことはある。自分の限界を知って絶望するのが嫌で、そうなる前に自分から身を引いてた」

絵里「傷付くのが怖くて、何事も宙ぶらりんでやってきた」

絵里「でもね、音乃木坂が廃校になるって聞いて、どうしても自分が出来ることをしたいって思ったの」

絵里「そうは思っても何をしたらいいか結局分からなくて、周りに流されるがまま生徒会長まで務めることになったけどね」

絵里「そんなとき、穂乃果たちの姿を見て思ったの」

絵里「一生徒が頑張ったところで廃校は覆せない、そう思っていたのに。あの子たちの1stライブを見て…ううん、本当はもっと前からかもしれない」

絵里「ともかく、超えられそうもないぐらい大きな壁があるのに、あの子たち…凄く楽しそうだった」

絵里「報われない努力なんて、したってしょうがないって思ってたのに。いつの間にか、何もせずに諦めてた自分が恥ずかしくなったわ」

絵里「結果を出すために努力するんじゃなくて、努力そのものを楽しんでる。そんな風に見えたの」

絵里「躓くことは恥だって思ってた私にとっては、衝撃的だったわ。あの子達は、どれだけ躓いても、真っ直ぐに努力し続けた。それが今のμ'sという形で結果を出せてる」

絵里「私は、あの子達から限界の壁の超え方を教えられたの。だから、もう一度だけ努力してみようって、恥をかいてでも頑張ってみようって思ったの」

絵里「…あの時の花陽は、そんな弱い頃の自分を見ているようで辛かった。それでつい、昔の自分を叱咤するようにあんなことしちゃったのよ」

希「ちゃんと、理解してるんやね」

絵里「みんなの前では賢い、可愛い、エリーチカでいようとする余り、言えなかったけどね」

希「ええんやない、花陽ちゃんもきっと解ってくれてると思うよ」

絵里「そう、だといいのだけれど…」

希「エリち、ちょっとこっち来て」

絵里「何よ」

希「えいっ」ギュッ

絵里「ちょ、ちょっと希!?」

希「エリち、たまには肩の力抜かんといかんよ」ナデナデ

絵里「それとこれとなんの関係があるの! こんなところで抱きつかれたら恥ずかしいでしょ!」

希「ええやん、誰も見てないし」クスクス
18:2014/11/13(木) 02:24:23.10 ID:
絵里「見てるかもしれないじゃない! それに子供じゃないんだから頭撫でないでよ!」

希「おやおや、頭撫でられるのは嫌い?」

絵里「そ、それは……嫌いじゃ、ないけど」

希「ならええやん♪」ワシワシ

絵里「ちょっと! 髪がくしゃくしゃになる!」

希「エリち、もっとウチ以外の子にも弱いところ見せてもいいんじゃない?」

絵里「な、何よ急に」

希「エリちは不器用やもんね、真面目でなんでも独りで抱え込んじゃう。そういうところ、花陽ちゃんそっくり♪」クスクス

絵里「そ、そんなこと!」

希「あるよ」

希「だって、ウチはエリちの親友やもん。エリちの強いところ弱いところ、全部知ってるんよ」

希「穂乃果ちゃん海未ちゃんことりちゃんや、凛ちゃん花陽ちゃんのように幼馴染ってほど長い付き合いじゃないけど、ウチはずっとエリちの傍でエリちを見てきた」

希「本当はね、いつエリちに見放されるんじゃないかって怖かったんよ」

絵里「そんなこと、するわけないじゃない」

希「うん、知ってる。エリちはそんなことしないって。でもね、ウチはほら、転校が多かったやん? 誰かと仲良くなってもどうせすぐ引っ越すんだからって思って、友達は作らなかったんよ」

希「折角仲良くなっても離れ離れになったら寂しいやん? だから、周囲の子達とはずっと距離を置いてたんよ。このままずーっとこんな学生時代を過ごすんかなーって思ったらなんか寂しくなって」

希「せめて高校ぐらいは一箇所に留まって過ごしたいなって思って音乃木坂に入ったんよ。そしたらまぁ神様のイタズラか、ウチと似たようなオーラを放ってる子がいてな」

希「その子はいつもキリッとしててな、傍目では生真面目でお堅い子なんかなーって思ってたんよ。でも、ウチはすぐに解った。ああ、ウチと同じで虚勢を張ってるんだって」

希「エリちの瞳、いつも寂びしそうやった。小動物みたいで、なんか放っておけなくて。気がついたら、声をかけてたんよ」

絵里「今でも覚えてるわ、怪しい関西弁で挨拶してくるんだもの」フフッ

希「コッテコテの関西弁は無理やしね。そもそもウチ、関西の出身じゃないし」

希「ともかく、この子となら仲良くなれそう。そう直感でピーンってきたんよ」

絵里「なにそれ、直感だったの」クスクス

希「お、エリち少しは元気出てきた?」

絵里「ええ、お陰さまでね。ありがとう、希」

希「いやいや、素直な子は希ちゃん大好きだから問題ないよ」

希「それじゃ、さっきのこと花陽ちゃんとみんなに謝らんとね」

絵里「そうね…花陽、許してくれるかしら」

希「花陽ちゃんはあれで結構タフやから大丈夫だと思うよ」ニシシ

絵里「そうかもね。あの子の芯の強さは私も見習いたいくらい」
19:2014/11/13(木) 02:25:44.96 ID:
希「それじゃ、今一度μ'sメンバーに招集かけんとね」


■同日 音乃坂学院屋上

海未「今、凛と花陽も向かってるそうです」

にこ「まったく、人騒がせな連中よね」

穂乃果「でも、仲直りできるみたいでよかったよ」

ことり「うん♪」

真姫「大丈夫なの、エリー?」

絵里「ええ、今はちゃんと落ち着いてる。さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい」

海未「謝るのは私達にではなく、花陽に、ですよ」ニコッ

絵里「もちろんそうだけど、貴方達にも迷惑かけちゃったからね。きちんと謝りたいの」

穂乃果「もう、絵里ちゃん! 友達なんだからあんまり堅苦しいことはしなくていいのに」

希「まぁまぁ穂乃果ちゃん、親しき仲にも礼儀ありって言うやん」

ガチャ

凛「たっだいまー☆」

花陽「……」コソッ

ことり「花陽ちゃんもおいでよー」

にこ「なにこのデジャヴ」

絵里「花陽、こっちいらっしゃいな。もう怒ってないから」

花陽「う、うん……」

希「花陽ちゃん、早く来ないとワシワシMAXするよ?」ワキワキ

花陽「はうっ! それはやめてぇー」

絵里「おかえり、花陽」ニコッ

花陽「た、ただいま…?」

絵里「…」スタスタ

穂乃果「え、絵里ちゃん!?」

希「大丈夫」

花陽「!」ビクッ

絵里「ゴメンね、花陽」ギュッ

花陽「え、絵里…ちゃん?」

絵里「痛かったわよね、本当…ごめんなさい…」グスッ
20:2014/11/13(木) 02:27:15.45 ID:
花陽「え、絵里ちゃん! 泣かないで! 花陽こそゴメンなさい…」

花陽「本当はね、自信なかったの。失敗したらどうしようって思って、怖くて、怖くて…そしたら本当に失敗しちゃって、それで…」グスッ

絵里「いいの、もう、いいのよ。貴女は精一杯やったじゃない。それに、まだチャンスならあるわ。ラブライブでなくても、μ'sが活躍できる場所はまだある」

花陽「う、うぅ……絵里ちゃん……ウワァァァァン!!」

絵里「もう、大声で泣かないの」ヨシヨシ

花陽「グスッ…グスッ…」

凛「かよちん泣き虫さんだニャ」グスッ

真姫「そういう凛だって泣いてるじゃない」ウルウル

希「これにて一件落着、かな?」

穂乃果「だね! よかったよかった」

絵里「花陽、辛いことがあったら私を頼っていいからね」

花陽「うん…」ギュッ

ことり「なんだか二人、姉妹みたいだねー」

真姫(羨ましい…)クルクル

海未「では、今日はもう遅いですし今度こそ解散しましょう」

にこ「そうね、妹達も心配してるだろうから早く帰らないと」

穂乃果「うーん、なんか今日は濃い一日だったよ」シミジミ

希「エリち、花陽ちゃん」

絵里「何かしら?」

花陽「なぁに?」グシグシ

希「ちゃーんと仲直りした二人には、ウチのご褒美として希パワーをたーっぷり注入してあげる!」

希「いっくよー、はーいプシュッ☆」

穂乃果「おおお…おっぱいがおしくらまんじゅう状態だよ」

海未「穂乃果! 意味の分からない事言ってないで帰りますよ!」

にこ「ぐぬぬ…まだよ、まだこれから……!」

真姫「にこちゃんはもう諦めたら」

にこ「なんですって!?」
21:2014/11/13(木) 02:28:13.93 ID:
ことり「あはは…賑やかだね」

凛「でも、これで元通りかな」

ことり「うん♪ また明日から9人一緒だね」

凛「よーし! 今日はみんなでラーメンパーティーするニャ☆」

穂乃果「お、いいねー。それじゃあ早速着替えて海未ちゃんの家に集合だー!」

海未「ええ!? なんて私の家なんですか!!」

希「いいからいいから」

海未「よくありません! …が、まぁ今日は大目に見ましょう。さ、帰りますよ」

穂乃果「はーい!」

花陽「…絵里ちゃん」

絵里「どうしたの?」

花陽「もし絵里ちゃんがよかったら、ね」

絵里「うん」

花陽「お姉ちゃんって、呼んでいい?」

絵里「えっ///」

絵里「う、うーん…恥ずかしいから、たまにだけなら、ね?」

花陽「えへへ、嬉しい♪」

絵里(かわいい……亜里沙と一緒に妹にしたいわ)

花陽「大好き、絵里お姉ちゃん♪」


おわり
22:2014/11/13(木) 02:28:57.87 ID:
書き溜め投下してたら終わってしまった
もう少しペース落とした方がよかったかな
25:2014/11/13(木) 02:36:26.32 ID:


りんぱなもえりぱなも見れて最高ですた
26:2014/11/13(木) 02:36:54.67 ID:

中々良かった