1:2014/10/07(火) 19:21:36.84 ID:
えり「先輩と後輩の垣根を取り払う為に敬語は禁止にしましょう」

ほのか「わかったよえりちゃん」

はなよ「で、できるかなあ……」

りん「りんはタメ口のかよちんも好きだよ」

えり「じゃあ、そういうことで」



うみ「ま……待たれよ」

八人「!?」

うみ「それは厳しい」

えり「た、確かに最初は難しいかもしれないけれど」

うみ「私、敬語とる、何もない」

ことり「うみちゃんがカタコトに!!!」

うみ「私のアイデンティティ」

まき「まあせいぜい頑張りなさい」

えり「じゃ、今日は解散」



困ったことになりました。

まさか敬語禁止なんて、どう喋っていいのかわかりません。

はあ、明日が来るのが憂鬱です。
2:2014/10/07(火) 19:22:05.73 ID:
うみ「おはよう諸君」

ほのか「おはよううみちゃん!」

ことり「おはよう」

うみ「ほのか。ちゃんと宿題はやってきたのか?」

ほのか「うん」

うみ「そうか。よくやった」

ことり「……」

うみ「では今日も行こうか」

ほのか「……うん」



放課後になりました。私は違和感なくみんなと話せるでしょうか?

えり「うみ、調子はどう?」

うみ「良好だ」

のぞみ「え……そ、そう?」

うみ「問題ない」

のぞみ「本当に?」

うみ「肯定だ」

りん「うみちゃん変だよ」

うみ「なんだと!?これではだめなのか?」

りん「なんか堅苦しいよ!もっと弾けるにゃ!」

うみ「私はどうすればいい?」

りん「りんにまかせるにゃ!」



うみ「さあ!今日も練習いっくよー!」

りん「そうにゃそうにゃ!」

ほのか「いやいやいやいやいや」

ことり「こんなうみちゃんも、悪くないかも」

うみ「まずはみんなで準備運動だよ!さあ手を広げて~」

まき「調子狂うわね……」

うみ「はーい!いっちに!さーんしっ!」
3:2014/10/07(火) 19:22:30.36 ID:
うみ「次は筋トレだよ!はい!笑顔で腹筋100回だよ!」

にこ「できるかっ!!!」

うみ「えー!できるよー!にこちゃんはいっつも笑顔!」

にこ「あああなんかムズムズする!」

うみ「ファイトッファイトッ」

にこ「見てらんないわ。ちょっとこっち来なさい」



またダメだったようです。次はにこに矯正を受けます。



にこ「できるわね?」

うみ「……」

えり「うみー、そろそろ次の……」

うみ「あーん、ダメダメダメぇ」

えり「!??」

うみ「うみじゃなくてぇ、うみみーって呼んで?」

えり「え……うみみー」

うみ「はぁい!うっみうっみうー!」

えり「ハラショー……」

ほのか「おーいうみちゃ……どうしたの?」

うみ「はわわ。みんなうみみーのことうみって呼んじゃいや~」

ほのか「なんじゃこりゃああああああああああ」
4:2014/10/07(火) 19:22:55.50 ID:
うみ「……ということでみんな、うみみーって呼んでラブアロ!」

ことり「うみちゃんかわいい!」

はなよ「これはこれでありですね。うみちゃん」

うみ「やあんどうしてうみみーって呼んでくれないのお」

にこ「なんか腹立つわね」

りん「にこちゃんみたい」

うみ「えーん、みんなうみみーいじめるよお」

のぞみ「にこっちの差金やね」

にこ「うっ!」

まき「そんなことだと思ったわ」

のぞみ「まったく」



今日もダメでした。みんなの言うとおりにやっているのに……

私はどうすれば……

はあ、明日が憂鬱です。



ほのか「うみちゃーん」

うみ「なんや?」

ほのか「今日は関西弁か……」

のぞみ「待って!それはウチの特権や」

うみ「細かいことはいいんよ」

のぞみ「せめてもうちょっときつい感じにして!」

うみ「なんでやねん!」

のぞみ「そう。そんな感じで頼むわ」

うみ「なんじゃワレぇ文句あるんかいのぉ!!!」

えり「なんか違う方言が……」

のぞみ「ご、ごめんね」

うみ「よかよか。気ぃせんでよかばい」

まき「もうめちゃくちゃだわ」

はなよ「どうして普通に喋るといる答えには行き着かないの……」
5:2014/10/07(火) 19:23:19.57 ID:
方言作戦も失敗しました。

こうなれば……いやしかし……

ふう。明日が憂鬱です。



にこ「ちょっとうみ」

うみ「なに?」

にこ「これ見てよ」

うみ「マジうけるんだけど」

にこ「!?」

うみ「半端ないわ」

にこ「うみ……」

はなよ「今日はうみちゃんどんな感じ?にこちゃん」

にこ「見ての通りよ」

うみ「ちーす。こんな感じでいくんでよろしくぅ」

まき「哀れね」

うみ「ていうかみんな遅くね?なにやってんの?」

にこ「のぞみとえりは生徒会よ」

うみ「マジか」

りん「うみちゃんちょっと古くないかにゃ?」

うみ「温故知新っす。マジ温故知新。ちょううける。的な」

はなよ「見るも無残だね」

りん「胸が痛むにゃ」

まき「もう好きにしなさい。骨は拾ってあげるから」



最終兵器のつもりが、一番不評でした。

もう残された手はもうありません……どうすれば。

ああ、そういえば借りた映画の返却日は明日でした。

もう遅いですが見てしまわないと……

……

これだ!
6:2014/10/07(火) 19:23:43.96 ID:
えり「うみ?」

うみ「それは私のことかい?」

えり「え……ええ」

うみ「まいったね。まさか私にお呼びが掛かるとは」

えり「どういうことかしら」

うみ「はっはっは。しらばっくれてくれる!」

えり「ああ、察しのとおりだよ」

うみ「なら準備はできてるのか?」

えり「まさか!昨日は家でクッキーを焼くのに忙しかったんだ」

うみ「おいおい、国家の存亡がかかってるってのに呑気なこった」

えり「バカいえ。クッキーのほうが一大事だ。焦げたらどうする」

うみ「こいつぁイカレてやがる」

のぞみ「なんの話してるん?」

うみ「おいえり、お口にチャックだ」

えり「何言ってる。こいつの耳にパンを突っ込んだほうが早い」

のぞみ「なんや楽しそうやなあ」

うみ「それもそうだ。今から焼いてくる」

えり「よく考えろ、買ったほうが早い」

うみ「ならやっぱりそのパンをお前の口に突っ込む方が早い」

えり「それじゃパンは私の血となり肉となっちまうだろう」

のぞみ「パンは主に捧げろ。お前らの分はない」

えり「なんだと?」

のぞみ「神に祈れと言っているんだ。言い残すことはあるか?」

うみ「残念だがここにはぶどう酒がない」

えり「ははっ、今の返しはイマイチだ」

うみ「徹夜で考えたってのに」



ほのか「あの三人楽しそうだけど何やってるのかな?」

ことり「またうみちゃんの新しい口調考えてるんじゃないかな?」

りん「りんも新しい口調欲しいにゃー!」
8:2014/10/07(火) 19:24:32.67 ID:
映画の口調を真似たのはなかなか好評でした。

次は別なもので試してみましょう。

明日が楽しみです。

のぞみ「今朝は遅いなあえりち」

えり「ああ。飛ばしてきた」

のぞみ「ええ?」

えり「早く行くためにバイクを軽量化してたらこんな時間だぜ」

のぞみ「本末転倒やん?」

えり「終いにはタイヤも外す超軽量化さ」

のぞみ「それじゃ走らないんじゃ?」

えり「ああ。おかげで担いで来る羽目になった。軽量化してて助かったよ」

のぞみ「そもそもえりち原付の免許持ってたっけ?」

えり「もう」

うみ「……」

えり「あっ!うみ、……おい、とびっきりのジョークを思いついたんだ」

うみ「いつまでそのノリでいる」

えり「えっ」

うみ「私に挨拶もなくいきなり話しかけるとは」

えり「そ、そうね。おはよううみ」

うみ「誰の許しを得て私と同じ大地に立つか」

えり「えっ」

うみ「わきまえろよ下々の分際で」

えり「ははあー!」

のぞみ「うみちゃん流石にそれはちょっと……ほかのでお願い」

うみ「これはダメか?」

のぞみ「ダメやね」

えり「ダメね」

うみ「口を慎めよ」

えり「ははあー!」

うみ「うむ。では新たな趣向を考えるとしよう」
9:2014/10/07(火) 19:25:26.59 ID:
まだ朝なのに没をくらってしまいました!

どうしましょう?

今日一日これでいこうと思ったのに。



ほのか「うみちゃーん」

うみ「……」

ほのか「うみちゃん?」

うみ「……」

ほのか「うみちゃああああん!!!!!」



ことり「大変!うみちゃんが喋らなくなっちゃった!!!」

にこ「ええ!?」

まき「いつかそうなる気がしてたけど」

うみ「……」

ほのか「敬語禁止だからってこんな暴挙に出るなんて!」

うみ「……」

ほのか「見損なったようみちゃん」

うみ「……」
10:2014/10/07(火) 19:25:50.84 ID:
なんとか思いつくまで無口でやり過ごさなければ。

えり「うみ……私のせいだわ」

うみ「……」

ことり「でねー、今日家庭科でお菓子作りしたのー」

りん「へー」

はなよ「もう食べちゃった?」

うみ「……」

ほのか「えいっ」

ズボッ

うみ「ぎゃああああああああああ!!!!!」

のぞみ「ほのかちゃん!?なにしたん!?」

ほのか「うみちゃんの耳にパン突っ込んでみた」

のぞみ「なんで!?」

ほのか「喋るかなーって」

えり「いやいやいや」

にこ「視覚を失ったものは他の感覚が研ぎ澄まされるというわ」

まき「聴覚を遮断して言語を取り戻させようとしたのね」

ほのか「あー……そうそう」

ことり「ううん、はなよちゃん。おかしは放課後に焼きあがるの」

はなよ「そうなんですか」

りん「食べたいにゃ」

ことり「みんなで食べようね」

うみ「ぎゃああああああああ!!!」

忘れてました!私はみんなより手際がよくて早く焼き始めたんでした!!!

急いで家庭科室へ行かねば!!!
11:2014/10/07(火) 19:26:14.76 ID:
うみ「……」

まき「焦げ臭い」

ことり「クッキー焦げちゃったね」

うみ「……」

ほのか「私たちの分があるよ」

ことり「そうだよ、元気出して。うみちゃん」

うみ「……」

ほのか「私のパンあげるよ」

うみ「んぐっ」

むりやり口につっこれました。

うぅ!喉につかえて……

うみ「……!……!」

えり「大変!飲み物!!!」

ほのか「まだブドウジュース買ってきてなくて……」

えり「ないの!?」

にこ「しょーがないわねえ」

にこが背中をトントンしてくれたおかげで大事には至りませんでした。

しかし、徹夜で考えたというのに、もう口調のアイデアがないとは……

お口にチャックも限界です。
12:2014/10/07(火) 19:26:38.64 ID:
うみ「っぷ!あははははははは」

えり「うみ……!」

うみ「はは、はあ。もうバカらしくなっちゃいました」

ほのか「うみちゃん?」

うみ「やめです。敬語禁止なんて知りません。これが私なんです」

そう。これが園田うみなんです。

私を二輪車に例えたら、この口調はタイヤです。

ないと走ることができません。

みんなに担がれるお荷物になってしまいます。

えり「私が悪かったわ。うみ。もう元通りにしましょう」



そのあと、みんなでクッキーを食べました。

えり「でね、聞いてようみ。おもしろいジョーク」

うみ「食事中です。口を慎んでください」

えり「ははあー!」



終劇
13:2014/10/07(火) 19:27:21.01 ID:
うみえり書こうとしてたのによくわからんものになった
乱文失礼しました
16:2014/10/07(火) 19:30:42.29 ID:
乙おもしろかった
21:2014/10/07(火) 20:09:38.18 ID:

平和だな
28:2014/10/08(水) 00:21:06.98 ID:
面白かった!
敬語とタメが入り交じる海未ちゃんのあの感じ、俺も好きだ
33:2014/10/08(水) 14:29:24.09 ID:
おつ
ちょっとスクフェスのストーリーにあってもおかしくないと思った